ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅            ブラック・アウト・・・1

2012-02-27 | 2章 ブラック・アウト
「トミー、駄目だったら戻ってくるのよ」
「ありがとう、マリー」
彼女はオート力車を停め、行き先と料金交渉をしてぼくを乗せ出発するまで気遣ってくれた。ニューデリー駅前のメインバザール入口でぼくはオート力車から降りた。バザール内は車輌進入禁止になっている。荷物は中型の手提げバックだけだが、英和、和英中辞典や本それに洗面用具と衣類等が入っている、5kgぐらいの重さがありそうだ。メインバザール中心部の外国人旅行者が集中するホテルは避けよう、特に日本人旅行者には会いたくなかった。駅の近くでインド人ビジネスマンが使う安いホテルがある、まずそこから当たろう。駅前からバザールに入って50mぐらい行った左側に2軒のゲスト・ハウスがあった。表通りに面した1階は商店が並んでいる。その商店の間に大理石で作られた狭くてかなり急な階段がある。通りから見ると階段を上った正面が受付カウンターになっているようだ。看板に書いてあるゲストハウスの名前は、カイラスとキーランとあり、一つの商店を挟んだ両側に階段があった。どちらにするか、ちょっと迷った。同じ様な条件で恐らく料金も同じだろう、初めてのGHだ、どちらかに決める根拠は何もない、ぼくはキーランGHの階段を上った。カウンターの中に立っている30歳ぐらいのマネージャーの顔には嫌味がない。外国人旅行者が頻繁に出入りするGHはあまり信用が出来ない。旅の初心者だと分かるとホテル代を高く請求したり、旅行代理店と組んで悪さをする。ここのマネージャーは多分オーナーの息子だろう、勝手にぼくはそう判断した。1階の商店とホテルを一族で経営しているのではないだろうか。
「1ヶ月の滞在予定だけど、部屋ある?」
「良い部屋があります」
コメント
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