ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅       マリー   15

2012-01-28 | 2部1章 マリー
 ショッカンの居場所を探してくれとフィリップスに頼んでいたが奴はもうデリーにはいない、ボンベイ(ムンバイ)へ行ったと教えてくれた。ぼくが保釈される事を知った奴はボンベイへ逃げた。考えて見ればそれで良かったのかもしれない。ぼくの目の前をちょろ々と動かれたらインディアン・マフィアを使ってでもけじめをつけ様と思っていた。しかし仕返しは相互に繰り返し泥沼化することになる。デリーを離れたショッカンに二度と会うことはないだろう。
 ぼくの予定がない日だけマリーは学校へ行っているようだ。コンピューターの勉強をしていると彼女は言っているが、何処の何という学校なのかぼくは知る理由もなかったし聞きもしなかった。アパートの出入り口である一階と二階のドアはキーがないとロックが出来ない。スペアキーがないので如何するか話し合った。マリーを学校へ送り出し中から鍵を掛けると、二世帯分の広い二階の奥の部屋に居るぼくに彼女が帰って来た事を知らせる方法がない。インターホーンのような文明の利器はインドの高級住宅といえどもなかった。二階にぼくを置いて外から鍵を掛けて彼女は学校へ行く事にした。昼間、ぼくは外出する用はないし行きたい場所もない、問題は昼食だがバナナやコーンフレークに牛乳を入れて食べるくらいで十分だ。
 夜、メインバザールの商店がシャッターを閉めるとその前に夜店がオープンする。いつも同じ場所で本が入ったダンボールを五~六個並べて商いをしているのは顔馴染みになった古本屋だ。ぼくはいつも文庫本を四冊だけ買う。店の親爺にとって日本語の本の内容など如何でも良い、本の大きさとページ数によって四十~六十ルピーの値段を付けている。初回、文庫本を四冊買うと約二百ルピーを支払うが次回、読み終わった本を持って行くと半額で引き取ってくれる。カトマンズのタメルには大きな古本屋が何軒もあるがシステムは全く同じだ。新たに四冊を買う時、前の四冊を戻すと支払いは百ルピーで済む。ページ数の多い本、特に新書版で上下二段組になった本はつい嬉しくなって買ってしまう、時間は幾らでもあったから。マリーが学校へ行った後、静かな部屋で日がなスタッフを吸っては本を読んでいた。  
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ジャンキーの旅    マリー   14

2011-07-17 | 2部1章 マリー


夕方、フィリップスがスタッフ50gとチャラスを持って来た。何度も見た事のある黒いビニールで厳重にパッキングされた50gの大パケだ。アフリカン・シンジケートはこの様にパッキングする中卸しと大きなパイプを持っているのだろう。中卸し1g、200ルピーとして50gでは一万ルピーになる。前金なしで50gのブツを渡してくれるのは中卸しとフィリップスとの信頼関係が出来上がっているからだ。中卸しは信頼できる数名のプッシャーとだけコンタクトを取りドラッグ・ビジネスをやる。一見の客と商売はやらない、密告の危険を伴うからだ。中卸しはピラミッドのトップであり彼が逮捕されればアフリカン・シンジケートは大きなダメージを受ける。メインバザールの殆どのプッシャーがデリー警察に逮捕されたが中卸しを守った。デリー警察はトップに辿り着けないだけでなくデリー中央刑務所内のアフリカン・シンジケートの活発なドラッグ・ビジネスをも取り締る事が出来なかった。
 ダンボールに入っているお金はマリーにも見せていない。アパートに戻って大使館から引き取った荷物を整理していると、そのダンボールの中には何が入っているの、と彼女の質問、ぼくは日本から送られて来た本だと嘘を言った。フィリップスに支払うスタッフ代金とマリーへ渡す生活費それにぼくが必要な金額だけダンボールから取り出した。フィリップスが持って来たスタッフは上質だった。二万ルピーを支払った。まだ刑務所に収監されているエマへの支払いもある。
「それだけあれば当分お金の心配はない」
というB高官の言葉はその後に続く
「ドラッグさえ手を出さなければ」
という言葉をぼくは感じ取っていた。これ以上大使館口座を使うのは不味い、何らかの送金方法を考えなければならない。

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ジャンキーの旅         マリー・・・・・13

2011-07-11 | 2部1章 マリー
ぼくとA書記官は事務的な後処理を行った。日本からの送金と弁護士、裁判所それにぼくの生活費等の収支明細と残金を確認した。大使館の金庫に保管されていたぼくのお金は百ルピー紙幣で二千枚、二十万ルピーは小さなダンボールに入れて運ぶ量だった。簡単に開けられないようにダンボールに入れガムテープで封印した。日本から荷物が届いていた。A5サイズくらいの英和、和英二冊の中辞典、これはたぶんA書記官が面会に来られたとき日本から送ってもらうようぼくが依頼していたものだ。スタッフのせいだろうか、随分と目が悪くなっているぼくにとってフォント数の大きい中辞典は見易かった。ぼくと甥はよく熱海や真鶴に釣りに行っていたが、ぼくがどんな本を読んでいるか知らない筈なのに、辞典と一緒に大江健三郎著「あいまいな日本の私」という新書を同封してくれていた。
引き取る荷物の整理が整いBさんの所へ挨拶に行くと
「これで当分お金の心配はないでしょう。あ、ひとつ頼みが有るのですが、刑務所内のレポートを書いてくれませんか?」
ぼくは顔を上げてBさんの目を捉えた
「いや、一応、刑務所の実態を知っておきたいので、何でも構いません収監者の日常生活や、それに刑務所内の略図のようなものがあれば分かり易いですね・・・」
「分かりました、出来上がり次第お届けします」
パールガンジ警察署に面会に来てくれた女性のCさんが玄関フロアーへ出るドアの所まで送ってくれた。執務室に入って一時間くらいは経っただろうか、見るとマリーは待合室でマガジンを読んでいた。ぼくに気付くとそれをテーブルの上に置き、待っているぼくの所へ来ると一緒に玄関へ向かった。少し感傷的になっていたのだろう、黙って歩くぼくを彼女は記遣い声を掛けなかった。

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ジャンキーの旅         マリー・・・・・12

2011-07-07 | 2部1章 マリー
「大変でしたね、もう二度とこういう事はないでしょう」
「日本のお姉さんが心配されています、この電話で元気な声を聞かせると良いでしょう、お姉さんとの約束ですから」
とBさん。大使館の時計は十一時を指している。時差は三時間、日本時間は午後二時になる、こんな時間に姉は家に居るだろうか。呼び出し音が何回か鳴って
「もしもし、・・・です」
と姉の声、一瞬ぼくは息を呑んだ
「もしもし、あ、ぼくです。釈放になって今,大使館から電話しています。もう何も心配する事はありません。裁判の後処理で二~三ヶ月くらい掛るでしょうが、それが終ったら一度カトマンズに寄り、荷物の整理が済めば帰国します。母にも心配かけましたけど、そのように伝えて下さい」
何か話そうとする姉の言葉に圧し被せるようにして
「また電話します」
と言ってぼくは電話を切った。気持ちが挫けそうになる自分の弱さを引き摺りたくはなかった。

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ジャンキーの旅         マリー・・・・・11

2011-07-04 | 2部1章 マリー
 インディアンゲートと政府機関が入ったパーラメントハウスの間を通り過ぎると整然と区画された地区がある。広い敷地内には其々の国の特徴を表現し工夫を凝らした各国大使館の建物があった。どの建物も高い塀と頑丈なゲートによって守られている。日本大使館の入口には警備員詰所がありその前だけ人が通れるようにゲートは少しだけ開けられている。マリーは何度も此処へ来て勝手を知っているがぼくは初めてだ、警備員が差し出したノートに名前と目的を記入し、ぼく達は本館玄関へ向かった。ぼくは幾つかの外国大使館へ行った事はあるがそれはビザ収得の為である。ビザ・セクションは案内板に従って進むと大体、敷地内の外れにある別館である事が多い、大使館本館に入る事はない。玄関フロアーまでは入れるがそれから先は全て中からロックされて許可を得た者だけしか中へは入られない。マリーを待合室に残してぼくだけ内部へ案内された。本館内部に入り執務室へ到るまでに何ヶ所かロックされたドアがあった。それ程複雑ではないにしてもちょっと迷路のように建てられていると思った。
 広い執務室に入ると何度も刑務所へ面会に来てくれたA書記官がぼくの方を見ている,お辞儀をして書記官の机の前へ行った。自分の身体が少し硬くなるのを感じながらぼくは収監中、お世話になった事についてお礼とお詫びを述べた。
「早く出られて良かった。そんなに硬くならずに気持ちを楽にして」
面会時や連絡書面の厳しさとは異なって優しい言葉を掛けてくれた。
「一度、上司に会ってもらいましょう」 とA書記官はさらりと言った。
大使館内の役職とはどんな風になっているのか一般人のぼくには分からない。大使、公使を別にすれば書記官の上の役職と言えば領事、参事ということになるのだろうか。一際大きい机の前に連れて行かれたぼくはBさんに自己紹介をした後、今回ぼくに関わる一連の件についてお詫びをし大使館の援助に対して感謝とお礼を述べた。
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ジャンキーの旅         マリー・・・・・10

2011-06-30 | 2部1章 マリー
帰り道マリーが郵便局に行きたいと言うので寄った。デリー中央郵便局はコンノートンにあるが此処は支局だ。かなり大きな支局だろう彼女は有料のメールボックスを持っていて、それはちょうどコインロッカーのような箱が整然と並び表には番号が書いてあった。鍵は其々個人の頑丈な鍵が掛けられていた。インドでは家庭内でさえ自分の持ち物には鍵を掛ける。ぼくも旅の間は中国製の頑丈でピッキング出来ない鍵を持ち歩いていた。外出から戻って来るとぼくの部屋の前で何やらごそ々しているインド人を見たのは一度や二度ではない。鍵を見ただけでギブアップさせてしまえば安心だ。ケニアの家族からの便りだろうか彼女はその手紙を大切にバッグに入れた。ぼくはケニアという国名は知っているがアフリカの何処にあるのかさえ知らない。彼女の日本に対する知識もそんなものだろう。ぼくは裁判を含めた日常生活でマリーの手助けを必要としている。彼女はその事から得るお金が必要だ、ぼく達の関係はそれだけで十分だ。ヘロインは性的欲望を抑えきってしまう、ぼくとマリーが同じアパートで共同生活が出来るのは性的欲望の煩わしさからぼくが解放されているからだ。
 ぼくのような旅行者は各国にある日本大使館に出入りすることはない。利用させてもらうとすれば手紙の受け取りと新聞の閲覧くらいだろう。カトマンズでの手紙の受け取りは中央郵便局が近くて便利だが誰でも入れるし持ち出しも簡単なチェックだけ、紛失の不安があり大使館宛で手紙や小さな小包は送ってもらっていた。在インド日本大使館は遠くて今まで行ったことがない。コンノートンに日本情報センターという政府の出先機関があり、その事務所で用は足りた。日本の情報に飢えたぼくらにとって手紙と少し遅れた新聞だが新鮮で嬉しかった。熱くて長いインド生活、冷房が効いた部屋に入った記憶は数少ないが、驚くなかれその閲覧室にはなんと冷房設備があった。この魅惑的な冷風に負け、足繁く通ったぼくは机に凭れ掛かり居眠り三昧、夢心地とはこのことか。
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ジャンキーの旅         マリー・・・・・9

2011-06-25 | 2部1章 マリー


それはぼくを精神的に落胆させない為の言葉で、インドの裁判は何年かかるか全く分からないという事情を彼女は知っていたから。今回の釈放でぼくのケースが全て終ったとは思っていない、如何いう形の釈放であったのか曖昧にしかぼくは理解していなかった。ぼくの英語力の低さが原因だ。
刑務所内で使われる釈放に対する英語は release だ。
「俺は今夕、リリースされる」
「奴は近い内にリリースされるだろう」
ぼくはフィリップスからの面会があった時、ビィルという発音を何度か聞いたような気がする。釈放の前日、パテラハウス高裁から戻って来たアフリカンからフィリップスの連絡メモを受取った。その中に多分release on bail と書いてあった筈だ。残念な事にぼくはビィルの意味を知らなかった。釈放後、大使館へ行ったとき日本から送られてきた荷物の中にあった英和辞書によって初めて保釈という意味を理解した。保釈による釈放。週一回、裁判所への出頭の主な理由は審理ではなく刑務所外での拘束であり自由の制限であった。
「多分あと三ヶ月で終るだろう」
というマリーの言葉は或る意味に於いて当たっていたのかもしれない。正規の裁判手続きによって終わるというシナリオとは異なっていたが約三ヵ月後、ぼくはぼくなりのやり方で決着をつけようとは、この時点では想像もしていなかった。

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ジャンキーの旅         マリー・・・・・8

2011-06-17 | 2部1章 マリー


暫らくするとマリーは小さな声で
「トミー、英語が話せませんと裁判官に言って、後は私が上手くやるから」 とぼくに言った。
ヘロイン所持で逮捕、刑務所に収監され釈放中にも関わらずスタッフを吸って裁判所に出頭するなんて不味いに決まっている。目を直視されたらスタッフをやっている事ぐらい直ぐに感づかれるだろう。それに日常会話くらいは何とか分かっても裁判所の専門用語を使われるとお手上げだ。ぼくは彼女に任せた。法廷の正面は30cmくらい高くなっており、その中央には威厳を感じさせる大きい裁判官の机があり、一段下がった左側に書記官がいた。前に進んで裁判官の正面に立ち審理が行われる。裁判官の声がする、少し上を見ると何か問いかけたような裁判官と目が合った。
「私は英語が分かりません」
そう告げた後、ぼくは黙って真っ直ぐ裁判官の机だけを見ていた。マリーは時々ぼくに確認の為だろう話しかけてきたがそれは英語だった。
審理は終ったのだろう帰りましょうと彼女、今日はただ次回の出頭日と時間が決められただけだと言った後、少し沈黙があり次回だけではなく毎週、月曜日の十時~十一時の間に出頭しなければならないとぼくに告げた。
「それはいつまで続くの?」
というぼくの問いに、彼女は多分三ヶ月で終るだろうと言った。
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ジャンキーの旅         マリー・・・・・7

2011-06-15 | 2部1章 マリー


午前十時過ぎティスハザール裁判所に着いた。何時もぼくは刑務所の護送車で来て収監者専用の鉄格子の潜り戸から中に入り、留置場に入れられ審理の順番を待っていた。裁判所の玄関から入るのは今日を含めて二度目だ。一度目はちょうど十一ヶ月前、去年の十月二十五日ぼくを逮捕した私服のポリに連行されて来た。デリー中央刑務所への収監手続きの為だった。裁判所の二階建ての建物を正面から見ると横の長さは50mくらい、その両翼は前にせり出た玄関ホールになっている。これと同じ建物が中庭を鋏んだ反対側にあり、左右と真中を通る建物によって連結され、四ヶ所のコーナーは玄関ホールになっている。建物の右玄関側に護送車がバックで入れる建物の切り込みがあり、そこで収監者の乗り降りが行われていた。もしかしたら此処は裁判所の裏側だろうか、反対側の建物の真中に正面玄関があったのかもしれない。
 朝の出発時間やオート力車の値段交渉等は全てマリーがやってくれる。裁判所から何時頃に帰って来られるのか分からない、出発前に大目のスタッフを吸ったぼくは裁判所に着いた頃にはちょうど良い気持ちになっていた。彼女は目的の法廷が何処にあるか、正確には分かっていなかったのだろうか、人で混んだ廊下や階段を探し歩いた。ぼくは少し遅れながらも彼女を人ごみの中で見失わないようについて行く、やっと見つけた場所は左端の一階玄関から入って直ぐ左側にある広い法廷だった。裁判所の敷地内には大型護送車が4~5台停車している。一台の護送車には大体50名は乗って来る、そうすると毎日約200~250名の収監者の審理をこの裁判所で行わなければならない。被告と刑務官それに面会の家族や何か目的があって来ているのだろうが、雑多な人間で裁判所内は何時も大混雑している。もし此処に案内所があったとしても親切な案内を受けられる事など有り得ない。たぶんバクシ弁護士からこれからぼくの審理を行う法廷について知らされていた筈だ。裁判官と書記官にぼくの名前を告げ法廷内の一番前の椅子にぼくとマリーは並んで座った。
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ジャンキーの旅         マリー・・・・・6

2011-06-11 | 2部1章 マリー


午後、近くのバザールへ買物に行く、高級住宅地のバザールへ行くのは初めてだ。野菜やフルーツ類は一般のバザールと同じ様に屋台で売っているが中心には何と大きなスーパーマーケットがあった。生鮮食品は扱っていないが保存できる食品、飲料、日用品等の品揃えは豊富だった。インド人との値段交渉は神経を使うが此処では値札が貼ってありレジで清算出来るようになっている。肉、魚類はやはりバザールの外れに店を出していた。冷蔵設備がないので悪臭が漂い蝿が飛び回っている。マリーはあれこれと注文を付けてマトンを買っていたが今日の夕食に使うのだろう。ぼくはライター、煙草とビリそれに歯ブラシを買った。
「トミー、明日は裁判所への出頭日よ」 とマリー。
九月二十五日の出頭は以前から決まっていた事だ、彼女が同行してくれる。大使館行きについて話し合ったがオールドデリーのティスハザール裁判所から大使館へ回るには無理がある、取り敢えず電話でアポイントを取って翌日、大使館へ行った方がベターだろうという事になった。スタッフとチャラスは二~三日以内で準備出来るだろうとフィリップス、その時点で大使館に預けていたお金はぼくの手許にあるので刑務所内の支払いも含めて清算するつもりだ。帰り際の彼を呼び止めてショッカンの居場所を調べてくれるよう頼んだ。ショッカンはぼくより二週間程前に釈放されていた。ぼくの逮捕に深く関わっていたのは奴しかいない。インド人のマフィアを使ってでも奴を締め上げ腕の一本でも叩き折ってやりたい。キシトーの近況について知りたいと思ったが彼には聞けなかった。
 
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