いつからだろうアシュラムの別館下に露店が出始めたのは。ガンガを背にして巾30㎝長さ50㎝ぐらいの商品ケースを置いてババが坐っている。何やら怪しげな品物を売っているのが出店のババだ。10時からの第2瞑想までまだ時間がある、ひやかしで遊んでいた。商売気のないババだ、客が立ち止まってケースを覗いているのに相手もせずにぼっと坐っている。何か面白い物を持っているのではないか、ぼくはケースの横に坐り込んで中を覗いている。外国人が覗きにきた事などなかったのだろうか、出店のババは落ち着きがない。銅の台に安物の石をつけたリングや菩提樹の実、それに法螺貝などガラクタも多いが中には興味を引く品物もある。一見、哲学者の風貌で顔面は髭におおわれ眼光は鋭い。しかしどうもおっちょこちょいの親爺という感じがしないでもない。ぼくは冗談半分で「チャラス・欲しい・買う」とヒンディー語で聞いてみると、ババはキョトンとしていたがギョロと目をむいてぼくを見る。だが初めて会ったジャパニーにどう返事をすれば良いのか迷っているようだ。前の露店の親爺を見たり周りを気のするようにキョロキョロしている。だが気持ちの整理がついたのかババは横に置いてあるずだ袋に手を入れた。ごそごそと手を動かしながらもギョロ目はぼくを見ている。ババはやっと何かを掴んだようで、ずだ袋から手を出した。手にはチャラスの塊りを持っている。ババはどうだという顔をしてぼくの目の前に手を突き出した。
「おぅ、チャラス。ケトナ・パイサ?」(幾らだ?)「エックトラ・ソールピア」(1トラで100ルピーだ)どうだ買うかジャパニーという顔をしているババ。「チョータ・エックトラ・ナイナイ」(小さい、1トラはない)とぼくは反論する。結局ぼくはチャラス半トラを50ルピーで買った。チャラスがぼくの物になると
「ジャパニーババ、スモーク?」
と出店のババが誘いをかけてくる。
「おースモーク、スモーク」
とぼくが言うと、今のチャラスを出せとババは手を出しやがった。チャラスを渡すとまた手を出し今度は煙草を呉れという。ふざけた野郎だと思いながら渋々1本渡すぼくに、まぁまぁとなだめるような手の仕草をした。ババはチラムを吸う準備を始める。手馴れたものだ、手のひらの上だけで素早くチラムを作っていく。
「おぅ、チャラス。ケトナ・パイサ?」(幾らだ?)「エックトラ・ソールピア」(1トラで100ルピーだ)どうだ買うかジャパニーという顔をしているババ。「チョータ・エックトラ・ナイナイ」(小さい、1トラはない)とぼくは反論する。結局ぼくはチャラス半トラを50ルピーで買った。チャラスがぼくの物になると
「ジャパニーババ、スモーク?」
と出店のババが誘いをかけてくる。
「おースモーク、スモーク」
とぼくが言うと、今のチャラスを出せとババは手を出しやがった。チャラスを渡すとまた手を出し今度は煙草を呉れという。ふざけた野郎だと思いながら渋々1本渡すぼくに、まぁまぁとなだめるような手の仕草をした。ババはチラムを吸う準備を始める。手馴れたものだ、手のひらの上だけで素早くチラムを作っていく。