ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第12話  インドと牛・・・3    睨み合う2頭の牛

2015-09-07 | 第12話   インドと牛

2頭の牛の間合いが3mぐらいまで縮まりお互いに睨み合った。
前から来たのが小娘の牛だったら押し出してしまうだろうが、
2頭とも世慣れした頑丈な熟女牛だ。どちらも後ろへ引く気配はない。
もしかしたら牛は後ろ歩きができいのかもしれない、まだ睨み合いは続いている。
路地の両側には商店が軒を並べている。
もしここで400㎏はあろうかという2頭の熟女牛が大暴れでもしたら大変なことになる。
が店のおやじは動じるふうでもなくしらっとした顔をしている。
さあどうする、とぼくは半分逃げ腰で成り行きを見守った。
緊迫した空気を破るように1頭の牛が動いた。
さあやるのか?と思っていると2頭ともその場にへたり込んでしまいやがった。
馬鹿野郎てめぇらぁ~どうしてくれるんだ。
兄ちゃんは慌てて自転車を持ち上げ向きを変えると来た道を戻っていった。
顚末を確かめる余裕はない、それ~とぼくも急ぎ足で遠回りをして郵便局へ向かった。
やっと郵便局へ着くとじゃばらのシャッターは閉められていた。
あの牛の奴めと頭にきたが相手が牛では文句も言えない。


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