「アルファー、トミーをバクシ弁護士の事務所へ連れて行け」
「心配するなトミー、何とかなる」
エマが励ましてくれた。長い刑務所生活が続いているエマがぼくを助けようとする。保釈されたぼくは1度も彼の面会に行っていない。何もかも悪いのはドラッグのせいにしてぼくは逃げている。
バクシ弁護士の事務所のドアには鍵が掛っていない、中へ入って待っているとフィリップスとマリーが急ぎ足でやって来た。事情は既にエマから聞いているようだ。
「急がないとまずい事になるぞ」
そう言うと彼は弁護士を捜しに外へ出て行った。急がないとまずいとは?そうか明日は金曜日だ。明日中に裁判所へ手を打っておかなければ、土曜と日曜は閉館になる。ぼくがキャンセルした問題を、明日中に解決しておかなければ、27日の月曜日に出頭日したとき逮捕される可能性がある。
バクシ弁護士の電話は続いている。9月23日夜にぼくが保釈されてから今日で、ちょうど2ヶ月が経っている。次から次に起こる問題はぼくを追い詰めていく。どこまで深い闇の中を落ち続けていくのか。ぼくがすべき事は分かっている。ドラッグから抜け出し裁判に正面から取り組むことだ。ぼくは逃げてばかりいる。逃げ続けてドラッグの深い闇をジャンプすれば全ては終る。それでも良い、ぼく自身の意思なんかどこにもない。ぼくを包む生と死がある。それは一枚の布として織り合わされている。生と死は判然とせず死のように生き、生きようとして死ぬ。生と死は細い一本の線と融合し消えていく。
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