ホテルへの帰り道、ばったりピーターとパラに会った。ピーターは11ラーク・ルピーを裁判所に払って保釈され直ぐネパールへ逃げたと病院へ面会に来たマリーからぼくは知らされていた。彼女の言葉には時々、嘘がある。ぼくにネパール行きを決心させようとしてそんな作り話をしたのかもしれない。
120gのスメック所持で逮捕されたぼくはインドの判例に照し合わせれば、ミニマムで10年の刑に相当すると大使館員から知らされた。デリー国際空港で20㎏の薬物所持で逮捕されたピーターの刑は終身刑を超える刑期年数になるのではないだろうか。インドの裁判の仕組みは、ぼく達には全く理解が出来ない。何が起こるか分からないインド、ぼくとピーターはその不可解なインドに逮捕され保釈された。
「ハーィ、ピーター、リリースおめでとう」
「有り難う、やっと出られたよ」
嬉しそうなピーターだが11ラークもの大金をどうやって作ったのか。ぼくも吸っているが彼も吸っている、早くスイス人の彼女を釈放するという大きな仕事はまだ終っていない。スタッフに酔った彼から彼女を助け出すという強い気持ちがぼくに伝わってこない。何故だろうか、スタッフが牙をむいたら何もかも狂ってしまう。ドイツに帰ってお金を作っても彼はインドには入られない。ネパールかパキスタンの国境の町で逃亡してくる彼女を待つのだろうか。後、刑務所に残っているのはアフリカンを別にするとアミーゴ、オマールとカヘルだ。生き続けることを祈る。ぼくは自分のことで精一杯だ。
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