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インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・54

2012-12-02 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録


   12月28日(木)(入院して25日)

 抜けたな、たぶん抜け切ったと思う、ドラッグの深い闇から。26日の夕方からドラッグをプッシュアウトする新しい薬に替え、27日は非常に大切な注射を打った。今日の朝もシスターはぼくの顔を見ては何度も
「大丈夫、気分は悪くない?」
とぼくに聞いた。27日は朝から少し頭痛がするし背中も痛んでいた。それが時間の経過に従って痛みは酷くなり我慢ができなくなった。夜の投薬後に追加の痛み止めを貰って飲んだが頭はぼぅとして眠れない辛い一夜だった。3~4時間は眠ったのだろうか、目が覚めると外はまだ暗かったが痛みは消えていた。朝のティーと朝食が終り、時間が過ぎていくと身体の動きが良くなっているのに気づいた。頭もすっきりしている。ドクターは今回の治療に自信を持っていたように思えたが、ぼくは
「あぁ、そうですか」
と言っただけで内心は信用していなかった。
この病院で後、一晩だけトラブルを起こさなければ退院が出来る、そんな事しか頭になかった。
 ぼくは前庭へ出て歩いてみた。身体が軽い。前に出した足にぼくの力や筋肉の働きを感じる。足を前に出し惰性的に身体を移動させていたのとは違う、前足が後ろに残っている身体を引きつける筋肉の力があり、後ろ足は地面を蹴る、これが歩くということか。昼前にぼくの体内から何かがすぅと抜け出していくのを感じた。本当だろうか、ぼくはまだ信用できない。ぼくの体内の表層部のドラッグをプッシュアウトする事ができたとしても脳の深部に巣食っているスタッフの赤い蓮華は生き残っているのではないだろうか。一部の不安が残っているにしても26日と27日の治療は素晴らしい効果を生み出したのは事実だ。

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