(photo by M Sakai)
チラムを吸ってトリップしているぼくと出店のババは訳の分からないことばかりをしていた。それを見て前の露店の親爺がにやにやしている。何の商売をしているのかぼくが見に行くと、パチンコ玉ぐらいの白い玉を幾つも作ってはザルに入れている。ガンガに泳いでいる魚の餌らしい、白い玉が入ったビニール袋が並べてある。台の上には10パイサのアルミコインを重ね並べて置いてある、自称両替ババである。ババの商売はマネー・チェンジだと言う、じゃあドルの両替もするのかと聞くとそんなお金はやらないという返事だ。聖地では小額のコインが沢山いる。寺院への賽銭や乞食にやるバクシシだ。両替ババが言うマネー・チェンジとは客から1ルピー札(約3円)を受け取って10パイサ9枚に交換する商売だ。1回の利益はたったの10パイサだ。なんとみみっちい商売であることか。それで商売になるのかとぼくが聞くと、ババは待ってましたとばかりにぼくの腕を捕まえると愚痴をこぼし始めた。
「いいかジャパニー、1ルピー両替して俺の取り分はたったの10パイサだ。10人両替してやっと1ルピーの利益しかない。これで生活がやっていけるか?おージャパニー。この魚の餌が売れたらなぁ、これを1ルピーで売っているが半分は利益だ。この魚の餌が1日に10個売れたらなぁー・・・」
と両替ババの愚痴が続いている、そこに乞食がやって来た。乞食が何の用だ、と思って見ているとババは乞食と親しそうに話をしている。乞食は坐ると周りを気にしながら懐からボロ袋を取り出した。袋を開けると中にはかなりの10パイサが入っている。乞食はその10パイサを9、10、11と数えて11枚重ねた山を作る。5山を作ると両替ババから5ルピーを受け取っていた。単純に考えると1ルピーを両替して1割を取り、乞食との再両替で1割の儲けだから合計2割の美味しい利益率だ。率は高いが金額が小さすぎる「そうだろう」というババのうめき声が聞えるようだ。乞食は腹の辺りの布に受け取った5ルピーを巻き込んでいる。覗いてみるとかなり貯めこんでいた。ぼくは冗談でバブーバクシシ(旦那様お恵みを)と言って手を出すと乞食はその手をぴしゃりと叩いてラムジュラへ戻って行った。
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