<すべては肥料の成せる業>
僕はどちらかといえば「農薬」とか「添加物」等の体に与える影響とかにはそれほど神経質な方ではなくて、体が大丈夫だと言ったものならなんでもパクパク食べてしまいます。
そんな僕が「無農薬で野菜を作りたい!」と思い立ったのは、ほんの数十年前まで無かったものが、今無けりゃ出来なくなっているのは何かおかしい。農薬を使わないで出来る農法こそ本来のあるべき農法なのでは?という思いからでした。
ついこの前まで、農業について全くの無知な素人だった僕から見た近代農業は不自然なものだらけでした。
農薬を使わなければ虫に壊滅的に食われてしまう?
自然界には農薬なんて存在しないのに。
野菜を育てると土が酸性化する?
だったら自然の草むらはどんどん酸性化していってどこも更地になってしまうはずだ。
同じ場所に同じ作物を植えるとうまく育たない?
自然界では同じ場所にタネを落とし、同じ場所で命を繋いでいっているはずなのに。
どれもこれも自然界ではあり得ないことです。
なにか人間が余計なことをしているに違いない。
そしてその余計なことの正体が、実は「肥料」だったのでした。
人類は肥料を使うことで野菜を早く、大きく、好みの味に育てることができるようになりました。
それは初めは小さな喜びでしかなかったはずなのですが、農業が自給の為のものから、利益を得る為のものになるにつれて欲望競争に歯止めが利かなくなってしまいました。
より早く、より大きく、より甘く。
肥料はそれを実現させてくれたけど、そこにはちゃんと代償があったというわけです。
<虫は肥料を食べにくる?~「虫が食べるほどおいしい」という誤解>
さて、無農薬で家庭菜園をやっている人たちにとって、虫食いがあるのは仕方のないこと、むしろ虫たちが食べたくなるほど美味しい野菜の証拠なのだ!という慰めにも似た考え方がまかり通っていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
もしそれが本当なら、庭先になる甘くて美味しい柿は全滅させられてしまうように思いますし、自然に元気に生えている野草にも美味しいものはたくさんあります。
そもそも、人間の美味しいと虫たちの美味しいは一緒なのでしょうか?
作物が肥料過多になればなるほど病害虫の被害が激しくなることは一般的にも知られていますが、このことを自然農法では、「人間が施した余計なものを虫たちが食べに来ている」と考えます。
事実無肥料で育てた僕の畑の野菜は、周りの肥料も農薬も使った家庭菜園の野菜と比べても明らかに病害虫の被害が少なくとても元気に育ってくれました。
↑ビギナーズラックキャベツ?完全無農薬でもこんなに綺麗。とっても美味しいけど虫食いゼロです。(外葉は虫食いありますよ!さすがに!)
人間の体に自然治癒力があるように、自然界には、不自然なものを自然な状態に戻そうとする力があります。
なぜなら、不自然な状態はエネルギー効率が悪く、「疲れる」からです。
自然という一番「楽」な状態に戻そうとするのです。
だから自然界の視点で見たとき、病害虫は土から「人間の施した余計なもの」を食べて、分解してくれるありがたい存在ということになります。
つまり人間たちが忌み嫌って「害虫」や「病原菌」と呼んでいるものたちこそが、人間の壊してしまった自然を一生懸命治そうとしてくれている、自然界のお医者さん的存在だったのです。
宮崎駿監督が、風の谷のナウシカやジブリ作品を通して伝えようとしていたことは、どこか遠い時代の空想の物語なんかではなく、ぼくらが生きている現実世界で今も起きていることだったようです。
<「全体」の中の「部分」>
それにしても自然界とは、本当によくできているもので、僕は東京にいた時ベランダでトマトを育てていたのですが、土に栄養を与えようと腐葉土を足したとき、最初に実っていたトマトが尻腐れという病気にかかって腐っていってしまいました。
そして、その実が時間をかけて腐って落ちてから、あとからついた実はちゃんときれいに大きく成長していったのです。
どうやら最初の実が、自分の体を犠牲にして僕の施した「余計なもの」を分解してくれていたようです。
先日の大豆の収穫の時も、房を開けると、ふたつ入っているうちの片方は朽ちていても、もう片方は立派に実っている。共倒れには決してなっていない。
こういった自然界の不思議な連携プレー、全体を残すための知恵は普段からあらゆるところに垣間見れます。
(それに比べると、自分の損得ばかり考えて、奪い合って、結局お互いに衰退したりしている人類が恥ずかしくなってしまいます…。)
↑つまりこんな感じです
『風の谷のナウシカ』
ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は
数百年のうちに全世界に広まり
巨大産業社会を形成するに至った
大地の富を奪い取り大気を汚し
生命体をも意のままに作りかえる巨大産業文明は
1000年後に絶頂期に達し
やがて急激な衰退を迎えることになった
「火の七日間」と呼ばれる戦争によって
都市群は有毒物質を撒き散らして崩壊し
複雑高度化した技術体系は失われ
地表のほとんどは不毛の地と化したのである
その後産業文明は再建されることなく
長い黄昏の時代を人類は生きることになった
~宮崎駿「風の谷のナウシカ」プロローグ
巨大産業文明の群れが時の闇の彼方に去ってより千年、セラミック時代終末期。
蟲(むし)たちのみが生きる有毒の瘴気を発する巨大な菌類の森「腐海」に、地表は静かに覆われようとしていた。
人類とあらゆる自然を飲み込む腐海の意味とは?大量発生した王蟲(オーム)の群れが向かう先には何があるのか?宮崎駿監督が13年の歳月をかけて書ききった渾身の長編漫画!
一般的に知られている風の谷のナウシカの映画版は、オリジナルの漫画版全7巻のうちの1~2巻にあたる導入部分を編集したもので、物語の核心はむしろそこから始まります。
これからの時代にこそ読まれるべき大傑作!まだの方は是非チェックを!
次回:衝撃の真実、人間の野菜だけが腐る!?~無肥料栽培<3>へ続く…