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<やがて来る自家醸造解禁の日のために>
うちの父はたま~に、どこからともなくどぶろく(合法の)を手に入れてきて、我が家にも分け与えてくれます。
どぶろくは、ようは日本酒の初期段階なのですが、この、火入れも濾過もされていないどぶろくのなんとうまいこと!!
酵母が生きているので、蓋を開けるたびにシュワシュワとものすごい勢いで発泡し、乳酸菌の甘酸っぱさが口いっぱいに広がります。
うちは二人とも普段はあまりお酒を飲まないのですが、どぶろくだったら毎日飲みたい!というくらいに全く別物に美味しいのです!
写真は先日、いとこが取手の酒蔵『田中酒造店』のイベントに遊びに行った際に買ってきてくれたもので、年にその日だけの限定販売とのことです。
田中酒造店 *お酒の出来るまでがチャートになっていて、写真付きで詳しく見れます。
http://www.kimibandai.sake-ten.jp/
今やすっかり期間限定、数量限定の幻呼ばわりされるものになってしまったどぶろくですが、本来はこの別格に美味しいどぶろくこそが、どこの家庭でも年中当たり前に造られ、呑まれていた、瑞穂の民のソウルドリンクなのです。
手造りの味噌を食べたことのある方なら、市販品との味の歴然たる違いにびっくりしたはずです。
その違いは、手造りの味噌が、いろんな意味で「生きている」ことにあるのではないかと思います。
当然ながら市販品は、発酵を止めるために、火入れをして、微生物をみんな死滅させてしまいます。
一度加熱してしまうのだから、味に影響を与えるのは当たり前ですが、「商品」として、同じ品質のものを提供するためには致し方ないことです。
また、大量生産の野菜は、より早く、安く、大量につくるために、様々な技術が駆使され、いろいろなものが加えられます。
ところが、結局、野菜は自然に、微生物につくってもらうものであって、人の手が入れば入るほど、見た目ばかりの偽物(似せもの)になってしまうのです。
発酵食品にも、同じことが言えるのではないでしょうか?
上の写真は、我が家の手前味噌。本物の生きた味噌はダシを取らなくても旨味たっぷり!
上の写真は『我が家でできるこだわり清酒(農文協)』の見開きカラーページから。
みなさん、市販の清酒が無色透明なのは、活性炭で脱色されているからだということをご存知でしたでしょうか?
本来の清酒の色はお酢に近い黄金色や山吹色なのだそうです。
ところが活性炭で濾過すると、雑味や色素と一緒に、風味や旨味も取り除いてしまいます。
そこで、後から調味アルコールで「味を整える」のだそうです。
しかしまあ、本一冊読んで信用するのもアレだな~と思い、手造りの本だし、大げさに書いてあるかもしれないし、と思って調べてみてびっくり唖然。
農業の世界も酷いもんですが、知れば知るほど、酒造業界の腐りっぷりったら、もう目も当てられない程ほんと~に酷い!!
生産の権利を独占するということが、いかに非生産的な現実を生み出すかといういい事例です。
その酷さは、とてもここでは説明しきれませんので、こちらをご参考にしてくださいませ。→
言わせて日本酒
というわけで、現在販売されているお酒は、出来上がるまでにそれはそれは様々な技術が施され、様々なものが加えられ、さらにそれらが消費者に誤解を与えるように伝えられています。
活性炭濾過、精米歩合、火入れ殺菌、醸造アルコール、酸味料、旨味調味料、等級制度、特定名称酒…etc
ソウルドリンクのソウルはどこへやら。
ところで、酒造の免許を取るためには年間の生産見込み量というものが必要になります。
具体的には清酒、ビールなら年間6万リットル(日割りすると、一日あたり約160リットル!!!?)。どぶろくの該当する雑酒で6000リットル(一日あたり16.4リットル!)で、これでも平成6年に緩和されたものらしいです。
この法律、もともと戦争の軍事費を調達するためのものだったそうなのですが、酒税法の歴史を紐解くと、なかなか明治の御維新以降のドス黒い日本の近(金)代史が見えてきます。
この年間生産見込み量は、自家醸造はおろか、中小醸造業者にもクリアできる代物ではなく、日本中で軒並み廃業に追い込まれたそうです。
さて、このリアリティに欠ける狂気の沙汰のような生産見込み量、現在の世の中の酒蔵が条件を満たしているようには思えません。
一体ぜんたいどうなっているのか、真偽のほどを確かめに、冒頭のどぶろくの田中酒造店に行って聞いてみました。
←取手市の田中酒造はなんと創業360年!!
するとどうやら、免許をもらうときは満たしていたそうですが、現在は満たしていないそうです。なんだか一安心。
でも、一度取った免許は、生産量を満たしていなくても、あるいはたとえ酒造りを辞めても、取り上げられたりはしないのだそうです。
そして、やっぱり言われているように、日本で新規に日本酒の醸造業に参入することは不可能なのだそうで、(唯一新規参入する方法としては、辞めてしまった酒蔵の設備などをそのまま買い受けて始める方法)そもそも国税庁としても今後免許を発行するつもりは無いそうです。
つまり、この免許の条件は、ハナっから中小醸造所の間引きと、新規参入者の制限をする目的で設定されたものなのです。
日本国内で日本酒を飲む人は年々減っていって、今や9%とか7%とかになってしまったそうです。
当然醸造所も潰れていって、今や全国に1500程度だそうです。
残念ながらこれが、どんな偽物をつくってもそこから買うしかなくした『手造り禁止法』と、それによって”守られてきた”酒造業界の辿るべくして辿った末路だと言えるでしょう。
生きた本物の酒は手造りなればこそ!
いわんや税収のために、国の伝統食品をつくっちゃダメ!と言って、酔っぱらうばかりのニセモノの酒が売れるようにする現行の酒税法が、違憲の悪法であることは明らかです。
ちなみに、今現在味噌の手造りは自由ですが、それによって味噌メーカーが売れなくって困ってるなんて話は聞いたことがありません。
手前づくりの生きた味噌を食べてしまうと、もう二度と市販品に戻ることはできないくらい美味しいのに、です。
まずは酒種まんじゅう、酒種パンづくりのOKは国からもらったので、是非パンやまんじゅうが膨らむ仕組みと、日本酒のできる仕組みを垣間見てください。
そこにはきっと、日本人としての自分に気づく、新鮮な驚きや発見があるはずです。
優良微生物を、生きたまま体に取り込める手造りの酒は、まさに『百薬の長』!
日本人の日常に、手造りの生きたお酒、百薬の長が戻ってくることを願っています。
元麹屋の著者による清酒造り手引書の名著。
当たり前ですが、酒造りの本を読んだり買ったりすることは違法ではありません。
上の本だって我孫子の市民図書館から借りてきたものです。
どぶろくの造り方は100人いれば100通り。
北はアイヌ、南は琉球。日本全国その土地その土地のどぶろく(地酒)の造り方大集合!!
造る人、飲む人、語る人。手造りの酒の周りはいつも笑顔!
それにしても農文協は国の宝です。
『農家が教えるどぶろくのつくり方(農文協)』 序「にごり酒は百薬の長」より抜粋
人の腸内には、500種類、100兆個以上(重さで1.5kg)もの腸内細菌が生息している。それらは、一種の生態系を形成し、人が消化しにくい食物を分解して吸収しやすくしたり、病原細菌が腸内で増殖するのを防いで、宿主である人と共生している。(中略)
政治家、官僚など為政者諸君に進言申し上げる。自家醸造を禁止ではなく、逆に推奨してみたまえ。日本中の家庭で、どぶろくや手造りビールがつくられ、麹や酵母を人々が愛用するようになれば、医療費の減少によって、国庫は潤うこと間違いない。酒税は国庫歳入の二%に過ぎないが、医療費は歳出の40%弱を占めているのだから。