「低侵襲外科手術」と言うキーワードが、今インプラントの世界では本当に良く語られています。
皆がそれぞれに、患者さんの為にと言う錦の御旗の元、自分が考える低侵襲手術を語られています。
これは、何も国内だけに限った話ではなく、海外でも一緒で、MIミニマムインヴェイシブと言うキーワードは、インプラント治療の未来に直結する大きな話題です。
それと言うのも、元祖のインプラント外科手術は、口腔外科手術から始まったものなので、しっかりと歯茎を切って、骨から綺麗に剥がし、その上で骨の形を直接に見て手術する、と言うのが基礎の基礎として歯医者の脳裏に焼き付いているからです。
勿論、このような手術の仕方は外科手術の基本中の基本であり、決して欠かせない重要な概念です。
ですから、最初は必ずこう言った手術の仕方から始めて、その上で出来る限り過剰な部分を削ぎ落として行く、と言うのが外科医の定めであり、その行く先は直向きな努力と才能の賜物であり、公的術式として固まって行くにはまだまだ時間が掛かるだろう、と言うものでしょう。
究極的に削ぎ落として手術するとなれば、その手術を必要とする部位だけで行う、腹部外科で言う所の内視鏡とかを用いてのピンホールテクニックに行く尽くであろう、そして、それを可能にするのは歯科用CTによるPC解析を用いてのガイドサージェリー外科手術になるであろう、と誰もが予測されることでしょう。
しかし、現時点ではガイドサージェリーはまだまだ誤差が大きく、使いこなす先生の力量で結果がかなり左右する、と分かっています。
現在のインプラント治療は、正しくその発展途上であり、低侵襲外科手術と言っていても、実に幅が広い、その先生の解釈による差がかなりある、と言うのが現状なのです。
そして、私も自分の手術のやり方に対してMI低侵襲を最も強く標榜しています。
正直に告白します。
非常に辛いことなのです。
何故なら、好きな先生の批判を敢えてしなければいけないからです。
先生方の手術は、まだまだ本当の意味での低侵襲と呼ぶには詰めが甘い、と私は思います。
私は、沢山の所で勉強続けています。
そこでは、必ず色々な先生方がケースプレをされます。
それを見る度に胸が痛む。
どうして、そんなに大きな手術をされるのだろう?
どうして、そんなに時間が掛かる治療なんだろう?
どうして、何回もの手術をするやり方をするんだろう?
どうして、サイナスリフトするんだろう?それもラテラルで?
ラテラルサイナスリフトするにしろ、もっと違うやり方出来ないんだろうか?
どうして、大きく骨ブロック移植するんだろう?GBR骨造成するんだろう?
どうして、大きな減張切開するんだろう?
FGG,CTG,もっと痛くないように、楽に治るように手術出来ないんだろうか?
どうして、どうして、どうして・・・・
私の頭の中では、何ともやり切れない思いが溢れて来ます。
患者さんは辛いだろうな・・・・
治るのに時間が掛かって、大変だろうな・・・・
好き好んで何度も切ったり貼ったりされる人なんていないだろうし、するのが好きな先生だっていないだろうし・・・・
もっともっと楽に早く綺麗に治るやり方があるのに。
自分の無力が実に嘆かわしくなります。
これではいけません。
時間が経って、術式が改善されるまで待っていたら、患者さん達が余りにも気の毒だし、先生方も胸が痛むことでしょう。
これは私の責任です。
本当に心の底からそう思います。
ちゃんと、我が恩師ラム先生の道を伝えないと。
切りもしない、骨を痛め付けない、歯茎を切り付けたり剥がしたりしない術式を伝道しないと。
そう感じます。
私は今後各地のインプラント学会等の口演発表で、低侵襲インプラントの発表をして行こう、と思います。
即時荷重と低侵襲外科のインプラントを伝道して行かねばなりません。
真摯に、紳士的に、一所懸命に伝え、少しでも業界が良き方向へ進むお手伝いが出来れば幸いです。
本格的に始動します。
世の為、人の為、見て見ぬ振りは出来ません。
義を見てせざるは勇なきなり。
真のサムライなら立たねばなりません。