上顎の臼歯部がなくなると、入れ歯を入れるかインプラントをするしか、歯が入る方法はありません。
誰でも、手術されるのは嫌ですから、じゃあ入れ歯でとなって、入れ歯を初めて入れて見て、患者さんはその本当の気持ちの悪さ、違和感、具合の悪さにビックリしてしまうんです。
皆、こんなの入れてるのか?と自分が受けた入れ歯の治療が手抜きじゃないのか?と疑心暗鬼になってしまう患者さんも少なくないでしょう。
しかし、部分入歯を生れて始めて入れる、と言うのは、大なり小なり気持ちが悪い、違和感が強い、とてもこれで噛めるようになれるとは思えない、と言われてしまうモノなんです。
75歳以上の高齢者の若かりし頃のことで後悔していること、のトップ3ランキングには、歯を大事にしなかったこと、が上がってる理由として、入れ歯の不自由さ、気持ち悪さが如何に強いモノかがうかがい知れると思います。
だからこそ、入れ歯ではない自分の歯のように感じられる、インプラント治療と言うモノが生まれ、この20年で急激に普及して来たのです。
そして、インプラントがあることで歯がない所に歯が入り、従来のように残った歯に負担を掛けて歯を入れる、と言うことがなくなって、残った歯の負担が少なくなったことで、歯の延命が図れる、と言う利点も報告されるようになって来ています。
ところが、インプラントは骨がないとできません。
特に、上顎の臼歯部は上顎洞と言う空洞があるために、骨の厚みが薄くて骨造成GBRをしないとインプラントできない、と言う問題点もあるのです。
そして、上顎洞に骨を造る代表的な手術がサイナスリフトと言う口腔外科の術式で、これはお口の中の頬側の粘膜の切り開いて、上顎骨に横から扉を開けるように穴を造って、そこから骨を造る、と言うやり方が20年以上前から始められて来ました。
しかし、この術式の弱点は、非常に手術侵襲が大きいと言うことで、術後パンパンに腫れ上がったり、痛みが強かったり、熱が出て寝込んでしまったり、と言われて来ました。
それでは、患者さんが余りにも可哀想だ、と言うことで、改良されて骨を造る方法として出て来たのが、歯槽頂アプローチと言われる方法です。
歯槽頂アプローチは、歯があった歯茎の頂上の骨から穴を開けて中に骨を造って行くと言う方法で、従来のサイナスリフトの術式に比べて劇的に侵襲を小さくすることができるようになりました。
但し、手術の難易度は決して簡単ではありません。
直径3㎜程度の穴から、中に骨を造って行きますから、ほぼ手探りでやることが要求されます。
慎重に丁寧に優しく手術しないと、上顎洞内の粘膜が破けてしまって、上顎洞炎と言う大問題に発展しかねません。
なので、口腔外科の先生の中には、サイナスリフトの方がしっかり見れるし、粘膜破ったりしにくいし、万が一破ってもリカバリー出来るから、と言って否定的に語る方もいます。
なので、私は練達のDRしか歯槽頂アプローチはしない方が良い、と明言しています。
(勿論、私は私なりの創意工夫をして、他にはない破けない安全な方法を編み出しております。)
その実例が、上記の写真です。
どちらも一番薄い所では紙一枚程度しか骨がありません。
なので、慎重に丁寧に優しく歯槽頂アプローチで上顎洞内に骨造成GBRをしました。
実は、私自身はこの方法をもう18年以上も前からして来ています。
常に改善改良を積み重ね、どうしたら患者さんに辛い思いをさせないで済むのか?腫れないか?痛くないか?を追求して来ました。
全ては患者さんのためで、治すのに辛い思いはできるだけさせたくない、と思って来たからです。
ところが残念ながら、今でも大きな侵襲の掛かるサイナスリフトがゴールデンルールなので、それをするのが良いと思われてる先生方が少なくないんです。
本当に残念です。
私は、そう言う業界の中で、患者さんのためには真に何が良いのか、と言うことを、こうして具体例を示しながら広めて行きたい、と思っています。
このブログが目に留まった方、本当に困られて悩まれているなら、どうぞご相談にお越し下さい。
腫れない痛くない、できるだけ楽に治す、と言うことを実践し続けて来ていますので、真摯にお答えさせていただきます。