だから、ここに来た!

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『ライフ・イズ・コメディ~ピーター・セラーズの愛し方』を観る

2005-01-21 | movie/試写会・映画祭など
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(マルクス兄弟だとかモンティ・パイソンとかは別として)
私が一番好きな喜劇俳優、ピーター・セラーズ(以下、PS)。

まだ周りも私もinternetなんて活用していない頃、
方々のレンタルビデオショップを行き来して彼の作品を探しまわったものですが、
まさか、彼の人生の映画を観られることになるとは、
その頃には考えもつきませんでした。


ピンク・パンサーのクルーゾー警部で有名なPSですが、
私はイギリスの知る人ぞ知る怪優というイメージが強く
(私が観て初めて好きになったPS映画は『マ☆ウ☆ス』という
 でたらめでおかしな映画だったし)
それほど大衆的な存在ではないような気がしていたからです。

ですが、この映画を見ると、これを作った人間がどれだけこの寂しい天才俳優を愛し、
優しい目で描こうとしているのが分かります。
そう、PSは、私を含め、多くの人にとって特別な存在であることを
今回の試写会で知ることが出来たのでした。

映画は伝説的な人気ラジオ番組の「グーン・ショウ」収録場面から始まります。

(ここからネタバレ。)
本家・クルーゾー警部!(←これは本物。)
芸能一家に育ち、舞台や戦時中の慰問で芸をいたのち、
すでにラジオではスターだったピーター。
我が家には、可愛い妻子と両親が待っている暖かい家庭…があるようで、
その実、彼の頭の中は「どれだけ役になりきれるか」ということと、
大好きな車のことなどなど、自分のことでいっぱい。

得意の変装&物まねで、映画の世界でも有名になり、立派な家を買って、
楽しい家族の風景をフィルムに収めてはいても、
本当の所、妻子のことは二の次なのでした。

女にも目がないらしく、共演したソフィア・ローレンに入れ込んで、
(妄想愛だけど…)子供に
「お前達も愛しているけど、
 それよりソフィアをもっと愛してるんだ」
と言う始末。
(結局フラレるし。)
自分も奥さんも自暴自棄になって、お互い不倫の末、離婚。
傷心から大好きなママのところへ帰って添い寝してもらうPSなのでした。

その後、霊媒師から「最高のパートナーはB・E」と言われて、出逢ったのは
18才年下のスウェーデン人の女優・ブリット・エクランド(B・E)。
…実は、霊媒師はブレイク・エドワーズ(B・E)が、
PSと『ピンク・パンサー』の続編をやるために彼のイニシャルを伝えたのですが。

結局しぶしぶ出演した『ピンク・パンサー』の続編はヒット、
ブリットとは出会って二週間で電撃結婚し、
幸福な毎日が続くように見えたその時、
彼は激しい心臓発作に襲われるのです。

笑顔が素敵ですが、目はいつも笑ってないような気がする…(←これも本物のPS。やばい、素敵だ!)
前評判を、色々なところで読んだり聞いたりしていたのですが、
(J・ラッシュはPSそっくりだけれど、軽妙な部分までは演じきれなかったとか)
私は、思っていたよりも面白いと感じました。
実物よりもシリアスに描かれてしまったのは、
彼の人生を、ファンの目に映されるスターとしてではなく、
一人の悲しい男として見せるためにはよかったんだと思えます。
PSファンが観ると、知られざる私生活にショックを受けるという話も聞いてましたが、
むしろ、以前よりも好感が持てたくらいです。

なんて愛しい人だろう!と(笑)。

やっぱり彼は映画の中の人間だったんだ!と納得いったというか…。
あんな芸達者なんだから普通の人間なわけないでしょう。
欠けた部分があるからこそ、
彼はあそこまで俳優として仕事にのめりこむことが出来たはずなのです。
いや、のめりこみ過ぎて欠けてしまったのか。

この映画では、マザコンだとか、女好きだとか、ダメな部分に注目させてるけれど、
実際、彼は生きてる間に何十本もの映画に出ているし、
自分でTV関係者の物まねをして売り込みをしたりもしてる。
そのエネルギーが心臓に負担を与えていたんじゃないかと思えるくらい、
彼は真剣に仕事を愛していて、同じように周りの人たちも愛したかったはずだと思う。

J・ラッシュは似ている中でも特に声が似ていてゾクッときました。
(でも、外見はそんなに似ているかなー?
 変装したPSに似せて変装するとそっくりだけど。
 似てる似てないの問題じゃないですが。
 あえて言わせてもらえば、本物の方が、もちょっと男前だと思いますけどね☆)

そして、PSよろしく
登場人物に自らを語らせる粋な演出はとっても楽しかった。

思い出すだけでしんみりしちゃいます。

出てきた二人の奥さん(E・ワトソンとS・セロン。実際は4人奥さんがいたのですが。)
も可愛かったし、一緒に組んだ二人の監督、B・エドワーズとS・キューブリックも印象的だった。

この映画で、PSを愛する心を再認識しました。
PSのために、なんとかの中心で愛を叫びたいです。

そういうわけで、早速今まで買い渋っていた
『ピンク・パンサー』シリーズのDVDボックスを買ってしまいました(苦笑)。
今さらなのに、先着特典のタンブラーを貰えてラッキー!
ドキュメントで映画の復習も出来ちゃった!
(やっぱ実物はもっと素敵だと思う…)
これからしばらくの深夜12時台はPS漬けの毎日になりそう…うっしっし。
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試写『ターミナル』

2004-12-04 | movie/試写会・映画祭など
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○12月1日(水)○

S・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の『ターミナル』を見てきました。
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『血と骨』試写

2004-10-31 | movie/試写会・映画祭など
○10月30日(土)

崔洋一監督の『血と骨』の試写を観てきました。監督のティーチイン付き。

大阪でアウトロー伝説として語り継がれている男・金俊平。
朝鮮から大阪へ渡ってきた彼と、彼の家族との対立を描いた映画です。
多くの男たちを力づくでも働かせ職人として成功した俊平は、
それだけでは飽き足らず、
家族の住む家の目と鼻の先の家に愛人と住み、そこで金貸しを始めます。
息子の正雄は、そんな身勝手で暴力的な父親の半生を、
まるで昔話の中の人物のように語り始めます。

重苦しい話だと思っていたら、
思いのほか笑えてしまったので、戸惑ってしまいました。
父親の暴力、強姦、あらゆるものを破壊する行動を観ていると、絶対こんな親父イヤだ、
と思うのですが、同時に彼に弱い部分も見出せてしまうのです。
人に、極端に強く見せることで弱さを押し殺している、そんな印象を受けます。
彼の周りの人たちが、彼の強大な力から逃れようとするところを見ても、
何故か微笑ましく思えてくるのです。
彼らもまた、苦痛に負けず強くなろうと正面張って抵抗しているから。
皆が必死で生き続けようとしていた、時代と長屋の風景があったからかもしれません。

そして最後の場面が印象的でした。
あえて、ここでは詳しく語りませんが、
あそこにいたのが二役やっている伊藤淳史君というのがよかった。

監督はオファーする前から、金俊平役はビートたけししかいない、
と思っていたそうで。
当のたけしさんも金俊平について人伝いに話を聞いていたそうです。
「あんた、その人にすごい似てるよ!」と言われたとか。
普段東京弁のビートたけしが大阪弁、
しかも朝鮮訛りの大阪弁を話すというのは想像もつきませんでしたが、
すごくいやらしいやら切ないやら、やっぱりいいキャスティングだと思いました。

ティーチ・インでの監督は、一つの質問に答える幅が広くて、
やっぱり監督って人間はすげぇなぁ、と納得したひとときでした。
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『SURVIVE STYLE +5』試写

2004-09-13 | movie/試写会・映画祭など
派手な色なんだよね、ポスターが。眩しい!
○9月10日○

久々の試写。CMを撮っていた関口現による初監督作品です。

5本のストーリーがなんとなくつながっている映画で、
なんとなく、とあえていうのはあまりカッチリつなぎあわせているのではない、
いい意味で緩さがあるからなのですが、
何がおかしいって岸辺一徳がおかしくておかしくて…
いい歳なのに大変だったろうなぁと思います。
あと荒川良々は出てきただけで可笑しいし、阿部寛のプッツン加減は見所です。
(監督の話だと阿部さんは、撮影中はテンション高いんだけど、
 カメラが廻っていないとなんだか元気なかったそうで、そこがまた笑える…)
浅野忠信の演技は安心して見られて、この映画の柱という印象が強いです。
CMの監督らしく、『茶の味』みたいに突発的な発想勝負!で全面に出ているのかな
と思うと意外と地道に考えられているようなところも見受けられて、
そのさじ加減が好感持てます。

そして最後は見事に感動の名場面が用意されていて!
大体展開の予想はつくけど結構びっくりしますよ。
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『スウィング・ガールズ』試写

2004-08-12 | movie/試写会・映画祭など
もれなくプレゼントのガールズシール。山河高校の校章もあります。

「スウィングしなけりゃ意味ないじゃん!」
そんなわけで試写でした。

夏休みの学校で数学の補講に参加する女子高生。
毎日楽して楽しければいい、と思ってそうな女子高生たちが
野球の試合の応援に出るはずだった吹奏楽部の代わりにビッグバンドを組むことになって…
ジャズなんてちっとも興味ない女の子達が
その魅力にどんどん引き込まれてたくさんの拍手をもらうまでのお話。

面白い話のセオリーと言うものがあるのなら、
『ウォーターボーイズ』も『スウィングガールズ』もそれを則っているんだけれど、
そこを必要以上に誇張してストーリーが少し緩く感じるところがあって、
そこがあまり好きではないんだけれど、監督の作品に対する姿勢は結構好きです。

人物背景の詳細な設定、サイドストーリーなど、
自分が想像していて楽しいことを信じて映画を作っているように感じて、
とても親しみを感じるんです。
そしてティーチインでもいちいちお客さんの質問を真面目に返しながらも
笑いも起させようとしているサービス精神もとてもチャーミングで、
「監督ったら役者もやったら結構面白いんじゃない?」なんて思っちゃいました。
お客さんと記念撮影もしていたし、
この監督の気さくさが作品の評価にも影響を与えるんじゃないかな。
取材をしっかりと作品に埋め込んでいるところも感心しちゃいます。
なかなか出来ないことです、現実をフィクションの中で自然に描くってのは。
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『LOVERS』の試写

2004-07-30 | movie/試写会・映画祭など
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28日に『LOVERS』のプレミア試写に行ってきました。

なんというか、ものすごく笑える映画でしたよ。
すごく強引な展開の映画で、お客さんみんな、
笑ってはいけない真面目なシーンで笑ってたし。
つっこみどころが多すぎて、話題に事欠かないです。
大胆なCGの使い方はまだよいとして、
ストーリーにつじつまが合わない部分がちらほら。
設定も背景の描き方もいい加減だし、
こんなんだから韓国映画に人気が出るんだよ!と文句たらたら言ってたら、
つじつまが合わなくても、迫力と映像で押せるのが中国映画のいいところなんじゃないの?
と同じく見た子が言いました。

そうかもね…、大人になると、なんでもケチつけたくなっていけないね…
金城武とチャン・ツィイーは、そりゃあもう美男美女でしたよ!!
目の保養ですな。
アンディ・ラウがお茶目でかわいかったし、あとワダエミも生で見られて感激。
映画の衣裳きれいだったもんなぁ。
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『誰もしらない』…

2004-07-14 | movie/試写会・映画祭など
カンヌ映画祭で柳楽優弥が最年少で男優賞を獲ったことで話題になった
『誰もしらない』。
母親に置き去りにされた子供たちが、
親の不在を悟られぬように静かに生活を続ける話。

中でも柳楽君演じる12才の長男はひとりで家計をやりくりし、
弟妹に母がおそらく帰らないだろうことは伝えない。
生活がどんどん荒んでいく様子と、無邪気で幼い弟妹の様子がせつない。

いつか、こんな子供だけの生活を想像したことがあった気がする。
別に母が出ていきそうだったわけではなく、子供の遊びとしての想像。
大人のいない子供だけの生活は、お菓子も食べ放題、ゲームもし放題。
でも、大人の生活の支え方(家賃、食費、その他の生活費もろもろのことだ)を知らない自分が、
そのまま、自由気ままに過ごせるわけがない。
いつか、いきていけなくなるだろうという事を想像したら、急に怖くなったりした。

そしてその描いたとおりの生活が映像として目の前にあると、
まるで自分も兄弟の一人のように感じられる。

母にこの映画の話をしたら、それだけでもう泣いていたが、
私は泣けなかったし、笑えもしなかった。

言ってみれば、どちらでもあった気がする。
子供を置いて行った母親の、私が幸せになっちゃいけないの?という問いは、
こんな母親にでも共感できてしまう。

みんな、普通に楽しく生きていたいだけ。
その中に、避けがたい現実との衝突があり、
その歪みがこの映画を美しく見せている。
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『リディック』を見た。

2004-07-08 | movie/試写会・映画祭など
『リディック』見ました。
実はこの前作『ピッチブラック』を見ていないんですが、
ほとんど期待しないで見ていたので、結構楽しめました。

絶対に死なない強い男って、見てて惹きつけられますね。
ヴィン・ディーゼル、強すぎるんだもん。
他のお客さんは彼のファンが多かったみたいです。そんなに人気だったとは…。
ただ、期待して見ていたらここまで良心的になれなかったかも。
マクベスっぽい部分と、惑星を責めてくるときの、量産的な船の量が好きです。
ああいう夢をよく見るんですよね…。

で、帰り道は安野モヨコの『さくらん』を読んで帰った。
なかなか悲しい話です。
女って…。

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茶の味、とはどんな味か。

2004-06-11 | movie/試写会・映画祭など
石井克人監督の「茶の味」を見た。
茶の味、と言ってもそんな渋みのある話ではなく、
ほんのり暖かい家族の話でした。
日本のどこか静かで緑豊かな場所で、個性的な家族が、
それぞれ人知れず悩みやつながりを持って過ごしてる様がとっても愛らしい映画。
こんな家族の中にいたら、風変わりなことが、
ごく自然に受けとめられるようになれるはずです、きっと。

監督は撮りたい画を繋ぎあわせるようにこの映画を撮りたかったそうで、
ストーリー性はあまりありませんが、くだらないやりとり、歌なんかは笑えます!
出演者の方それぞれがとても自然な演技をしてるところも見所。
自然と言う点では、我修院達也さんはいい意味で別ですが。
兄妹役の坂野真弥ちゃん佐藤貴広くん、とてもかわいかったですよ!
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