だから、ここに来た!

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【今週のウチシネマ】会話の帳が降りるまで

2005-10-02 | movie/【今週のウチシネマ】
ずっと会ってなかった小学校の同級生と、道端で朝がくるまで喋ったことがあり、
ものすごく感動的だったのを覚えている。
将来の夢や好きなこと、今まで過ごしたお互いの知らない日々を、
言葉でひたひたに埋めるように長い時間語りあった。
そのあと、特に恋愛に発展したりはしなかったけど
(彼は彼女と同棲を始めたら疎遠になったし)、
あの時間は今までにない濃密な一瞬だった。

それを思い返すと、誰かと心から真剣に話す機会なんて、最近はないかもしれない。
話しても冗談に流れていったり、薄っぺらいものだったり。
相づちだけとか、気を使ったりだとか、疲れるだけの会話。
自分が考えてることや信念を投げ掛けたり素直に話を楽しむなんて、すっかり縁がない。

そんな私には『恋人までの距離〈ディスタンス〉』は恋愛映画だけど、
ただの恋愛映画じゃない。
見ず知らずのアメリカ人男性とフランス人女性が、一夜限り、
ウィーンの町をしゃべりながら歩く。
恋愛感、人生感、家族のこと、社会のこと、将来のこと…
赤の他人の二人が、自分の今までの生き方を振り返るようにひとときの恋を楽しむ。
そのひとときはどんな価値があるだろう。
過去の思い出? 永遠の恋? 
どっちでもあるけど、こんなにも美しいデートはない。

台詞であるけれどそう感じさせない会話は、
往来の恋愛映画の作りこみすぎたストーリーなどと比べると遥かに自然で、異色でもある。
町のレストランのお客さんの様子ひとつとっても、
会話が食事と同じような営みに見えるから不思議だ。

きっとこの映画のDVDと他のDVDを持ち比べたら、こっちが絶対重い。
それくらい、なんてことない言葉のやりとりに重みがある。
男の魂の再生についての考察は私も同じこと思ってた!って共感しちゃった。
あんなこと、普通恋人同士で話すには退屈な話題だろうけど、
そこを話し合えてしまえる二人の通じあいがすばらしい。

別れたあとのふたりが、会うことがなかったとしても、
私はかなり観客として幸せなんですが、
続編があることだし、感動が薄れる前に観ておくつもりです!
そうだ、リンクレーター監督最新作『がんばれベアーズ』も観なきゃね。


さて、私はお詫びをせねばいけません…ユンファ様に。(笑)
私は間違っていた。やはりユンファ様は素敵です。
よく考えたら、劇団ひとりが中国人の真似しているんであって、
ユンファ様がひとりに見えるという言い方はおかしかった、ごめん。

『狼たちの絆』で魅せたコメディとアクションの使い分けは素晴らしいよ!
拳銃を撃つときの眼差し、かっこよすぎます!
それに比べて喜劇的な場面でのふざけた情けなさといったら。
この手のギャップに弱いんです、私。
しかも車椅子でダンスまで踊れるとはね! 

それに今は亡きレスリー・チャンの可愛さといったらどうだろうか!
登場したときからその年齢を感じさせない初々しさに心打たれます。

ジョン・ウー監督ということで娯楽色の強い、まとまりのあるアクションコメディですが、
なんと! 12月にリマスターでDVDが出るらしい!
しかも『誰かがあなたを愛してる』なども一緒に!
どうしよう、まとめて買うべきか? DVD破産しそう、私。

ちなみに『セックス調査団』という映画も観ましたが、
これは取り立てていうほどでもなかった。
別にセックスの何たるかを知りたかったわけではないんだけど、
アラン・カミングが出てたからさ。
なんで彼はいつもかわいそうな役回りなんだろう。
誰か幸せな役をやらせてやってくれ!


あと今日は『ラヴァーズ・キス』『下妻物語』を観たぞ。
映画的に充実した日々でございます。
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【今週のウチシネマ】PEAPLE FOR TWO?

2005-09-29 | movie/【今週のウチシネマ】

前回、メイベル・チャン監督の『玻璃<ガラス>の城』を観ましたが、
今度は彼女の出世作とも言える『誰かがあなたを愛してる』を見てみました。
主演はチョウ・ユンファとチェリー・チャン。
この二人は何度も共演しているんですね。

演劇の勉強をしようとニューヨークへ渡ってきたジェニファー、
実は勉強しにきたというより、スポーツ選手の彼を追い掛けてきたようなものなんですが、
到着して早々その彼に新しい彼女ができたことを知ってしまいます。
裏切られて打ち拉がれるジェニファーでしたが、
遠戚で彼女の住む部屋を都合してくれたサンパンが慰め、気晴らしに外に連れ出してくれることで、
少しずつニューヨークの生活に馴染んでいくのでした。

強情でトラブルばかり運んでくる彼女に始めはうんざりのサンパンでしたが、
慰めるうちにどんどんジェニファーを好きになり、
彼女の方も、サンパンの人のことを放っておけない人柄にひかれ始めていました。
だけど、毎日博打に明け暮れ、ヤクザとの喧嘩に楽しみを見いだしているようなサンパンは自分とは住む世界が違う――
ジェニファーは彼と過ごす時間を楽しみながらも価値観が違う暮らしをするサンパンに対して素直になれません。
そんな時、サンパンの開いたパーティにジェニファーの元彼がやってきて…
ジェニーとサンパン、ふたりの関係やいかに?

という映画ですが、
私、怒られるのを承知で言いますと、
チョウ・ユンファがどうしても劇団ひとりに見えてしまい、彼がどんなに素敵でも
「あー、ひとりが走ってるよー」
とつい思ってしまうのでした。
若い頃と今とイメージが違うなぁ。
サンパンは大人のチンピラのわりにめちゃめちゃ純!
ジェニーにキスしようかどうしようかというシーンは
中学生ぐらいの恋愛を思い起こさせて胸キュンでした。
あのあと下の階で待ってるところも、くーっ、せつねー!
二人の立場に、よりギャップがあると分かりやすかったと思いますね。ベタな意見ですが。
ジェニーがとんでもなくお嬢様ならまだしも、
演劇やるような大学生なら別に世界が違うって言うほどじゃないような。
実際はもう少し違うニュアンスの台詞なのかもしれませんが。

あとクライマックスのプレゼントね。
まるっきり賢者の贈り物じゃんかー!
あれが自分で発見したアイディアだとしたら相当センスあるけど、
O・ヘンリ読んでないわけないだろうからなー。うーん。

なんとなく予定調和のような物足りなさも感じますが、
ジェニーの台詞の中でおぉ!と思うものも。
自分はもうトシだというジェニーに、サンパンが俺なんか33才だぜ?というと、
それに対してジェニーは一言、
「女の23は男の33と同じよ!」
言えてる。
このぐらいはぎれのいい台詞をジェニーからもっと聞きたかったな。

『ガラスの城』の方が映画として好きだけど、
どちらも何回か観てみたい気にさせられます。
映像をじっくり見せるのがうまいですね。DVD化求む!
日本でドラマ化するなら、
なんて考えてみたけど、もう、ひとりしか考えらんない!(笑)
泣くシーンがないから嘘泣きに見える心配もしないでOKです。(^^)v
ジェニーは内山理名とかかなー。ちょいと小生意気でないといけません。
元カレは非常に個人的な意見だけど田中哲司がいいな。
オリジナルが軟弱な感じだったけど、彼に
「君はまだ子供だから…」云々言われれば納得出来そう。
恋愛ドラマのオムニバスの一話くらいでいけませんかね。わくわく。

…妄想だから真剣に読まないでください、ホント。

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【今週のウチシネマ】倫敦から始まる物語

2005-09-22 | movie/【今週のウチシネマ】
あー、ロンドン行きてーなぁ。
と、無性に思っていたら、
終電ギリギリで慌てて借りたビデオが両方ロンドンから始まる映画でした。
偶然ではないけど、やっぱり誘われてる…?

一本目は『トムとトーマス』。
ビッグベンに向かってタワーブリッジを走るふたりの少年の姿で「ジャケ借り」です。

トムは画家のお父さんと仲良く暮らしていますが、
気が弱く、養子で引き取られてきたので、同級生から苛められてばかりいます。
そのトムの唯一の友達が、トーマス。
トーマスとトムは出会ったことも話したこともありません。
トムには、孤児院で生活している見ず知らずのトーマスに起こったことは
どんなところにいても感じ取ることが出来ますが、
お父さんはトムが空想上の友人を勝手に作り上げているとしか思わず、
本当にいるとは信じてもらえません。
ある日、お父さんと一緒に念願だった宇宙博物館(?)にやってきたトムは、
鏡に映したように自分と瓜二つの少年に出会って…

…そこまで書けば、だいたいあらすじは見えてきそうですね?
後半はこの二人の「入れ替わり生活」と、
「人身売買」の目撃者としてトーマスのかわりにトムが捕まえられて…
という適度なハラハラ感が味わえます。
映画祭で子供審査員賞を採った作品なので、子供が見たら素直に楽しめそう。
汚れちまった大人には物足りないですが。
「ラブ・アクチュアリー」のクリスマスの雰囲気が好きな人はそれだけで幸せな気分になれそう。
…私のことです。

二本目は『玻璃<ガラス>の城』。(メイベル・チャン監督、香港映画。)
これも始まりはロンドン。
1997年のNEW YEARを迎えるその時、一組の男女の乗った自動車が事故に遭う。
彼らにはそれぞれ夫と妻、そして子供もいる。
事故を知った子供たちは、親を火葬し、
彼らの残した秘密の家や犬を「処分」しなければならない。
アメリカに住む男の息子、香港に住む女の娘はお互いに気まずく憎みあったりしながら、
一緒に父母の隠された恋の記憶を追っていく。

監督の母校である香港大学の講堂が取り壊されるということで、
せっかくだからここを舞台に映画を撮りたいと企画されたらしいです。
その愛情も感じられるせいか、とても美しい映画でした。

全体的に暗く湿り気のある映像で、そこがまた、曇りガラス越しに見た街の光のようで
切なさや冷たさを感じさせる雰囲気になっています。
父と母の恋と、息子・娘の恋が交差して描かれて、
1997年の新年と香港返還で賑わう街の花火に迎えられ、
長かった恋は終わり、またここに始まっていくことを暗示させて終わります。

ストーリー自体はそんなに珍しくもないし、物足りないくらいですが、
そこに散らばる「小物」がなんともいいアクセントになっています。
アスピリン、手の石膏、長距離電話、飛行機、康橋<ケンブリッジ>、
それにブラザース・フォーの「Try To Remember」…
ロマンティックに見せる小物の使い方がさりげないけどグッときます。
観終わった後にじわじわ好きになってくる作品です。

玻璃の城「city of glass」ってタイトルは香港の街というより、
ふたりの住んでいたあの家のことのような気がしますね。
運命の恋って、うまくいかないからこそ一生かけるような情熱を生むんでしょうな。
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最近観た映画あれこれ

2005-09-08 | movie/【今週のウチシネマ】
前回、最近“家で”見た映画について書けなかったので、
改めて書いておこうと思います。
若干ネタバレ。微妙~!

●『グロリア』
これは二枚で2500円のセールで『恋人たちの予感』のDVDを買うときに
もう一枚をどうするか?…で、買った一枚です。
もちろんオリジナル版。今まで何度も観ています。
リメイクは観ていないけど、多分観たとしてもこちらの方が好きなはず。
だって、このジーナ・ローランズほどかっこいい女はいません。
守ってあげる男の子は全然かわいくないですが
(この子は演技も出来てないけど、初め見たときは
子供はこのくらい可愛くないものなんだろう
と思ってみてました。)
そのみなしごを全身全霊で守ろうとする覚悟が、
おばさんをどんな女より美しく見せます。

●『ベスト・フレンズ・ウエディング』
友達に観ろ観ろ言われてやっと借りてみました。
長年のキープ君がいざ結婚するとなると急に恋しくなって、
二人の仲をあの手この手で壊そうとする女の話。
このジュリア・ロバーツのめげない復讐っぷりがどんどんエスカレートして、
どうなっちゃうのか、かなりハラハラさせられます。
ですが、一番目立ってるのは、何かと主人公の相談に乗る
素晴らしい親友でゲイのジョージでしょう!
あれ、ジョージの映画だったっけ?と思えるくらい美味しい役です。
そりゃあ、こんな男友達欲しいよ!
マイケルという彼が、取り合うほど素敵かどうかはともかく、
キャメロン・ディアスが潔く演じるおバカな感じの女子大生お嬢様と、
ルパート・エバレット扮するジョージの出てくるシーンは爽快な気分になります。

●『ニューヨークの恋人』
出ました、ヒュー・ジャックマン!
こないだ見たトニー賞授賞式の影響をモロに受けてる感じですが、
実は前々から観たかったんです、密かに。
19世紀のハンサムな伯爵が間違って21世紀のNYに迷い込んで
現代の女性と恋するお話ですね。
聞いた感じはとっても耳障りがいいですが、
このタイムトラベルの仕組みについてはもっといい設定があったんじゃないかと思います。
ちょっととってつけたような設定なのが気になります。
それでもヒュー・ジャックマンが出てるんだから
それだけで細かいことはぶっ飛びますよね(笑)。
彼だけではありません、
主人公ケイト(メグ・ライアン)の元カレ役・リーヴ・シュレイバー
(そう! 今年のトニー賞で演劇助演男優賞をとった彼ではないか!
髭がないからわからなかった…)、
弟役のブレッキン・メイヤーもいい味出してます。
彼らの演技を見るためなら何回でもみたいかも…。
それにしても、レオポルド伯爵の恋愛の手ほどきは素敵です。
昔の殿方は女性の喜ぶものを心得ていらっしゃったんでしょうかね。
是非世の男性方にも心得ていただきたい部分です。
ただ、彼の現代社会への適応速度はちょっと速すぎだと思うのですが。
伯爵には21世紀の世界をもっと驚きの目で見て欲しかったです。
エレベーターの発明家なんだし、もっと面白がってもおかしくないと思うなぁ。
もっと言うとエレベーターをストーリーに利用してもよかったのでは。
タイムマシンにしちゃえばよかったのに。
そういえば屋上に肩の出たドレスを着てきたメグ・ライアンを見ても
伯爵は未来だから動揺しないんでしょうか。
色々納得いかないところはあります。

●『彼と彼女の第二章』
こっからはビリー・クリスタル特集。
これはトニー賞の影響(笑)。
B・クリスタル本人の監督・脚本のラブ・ストーリー。
キャッスル・ロック=『恋人たちの予感』を否が応でも思い出すし、
実際彼も『恋人たち…』のその後を書きたいと構想して誕生した本作品ではありますが、
これはもっとシビアな話。
パリで出会った恋人達が結婚し、夫婦になったことで生まれる主張と妥協と孤独。
恋をしては別れ、またお互いを求める彼らの言い分は
どっちも正しいし、どっちも勝手なんだけど、
それが男女、そして結婚。
そこで踏みとどまるかどうかは、
彼らが本当に全てを放り投げてでもお互いを必要としているかどうかで決まるんですね。
一つのカップルの物語としては、映画として平凡だけど、見ごたえのある作品です。
彼らのなれそめを、友達が集まって語るところから始まるのですが、
その中の友達の婚約者がいちいち泣いたり騒いだりするのはちょっとムカつきました。
騒ぎすぎ!
でも最後は私も嬉しくて一緒に泣きたかった(笑)。
このテーブルトークは映画より芝居にして見てみたいかもしれない。
ついつい声を出して笑っちゃう場面もいくらかあって、
ちょっと奇をてらったけど詰めの甘い『恋人たち…』という感じですが、
それでも他のラブストーリーに比べたら得るものは多い。
身近に悩めるカップルがいたら声をかけてあげてください、
「Piece of Cake!」と。
一番楽しかったところはバスケの審判シーンです!

●『ファーザーズ・デイ』
主演はB・クリスタルとロビン・ウイリアムス。
今は結婚してしまった昔の彼女に突然
「実は16歳になる息子はあなたの子なの」
と告白されたジョージとデイル。
子供のいない彼らはついつい父親気分で家出したその息子を探し出す羽目になります。
弁護士のジョージに、もの書きのデイルは正反対の性格だけど、
子供探しの旅のなかで自然と友情が芽生えていきます。
見所は二人の見事な掛け合いですかね。
ジョージがデイルを「チップ」と呼び間違えるところのタイミングだけでも
普通の5割増しぐらいで笑えます。
すごくハッピーな映画ですが、
うまくまとまっちゃったがために逆に印象に残らない映画ともいえます。
フランス映画をリメイクしたということで、「スリーメン&ベビー」を思い出しました
…見てないけど、見たくなりました。

ほかに『アメリカン・スウィートハート』も途中まで見ました。
ジョン・キューザック、ジュリア・ロバーツ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、
あとB・クリスタルという豪華な出演陣ではありますが、
どうも面白くなく、下ネタで笑わせようとするところが鼻につき、
レンタル期限の関係で最後まで見られませんでした。
テレビでやってたら見返そうかどうしようかってところです。
キャサリン・ゼタ・ジョーンズのワガママ女優っぷりが素晴らしいです。

ちなみに「モンティ・パイソン ドイツ版」も安くなってたから買っちゃった。
やっぱ190cmを越える身長の赤頭巾ちゃん
馬鹿オリンピックが最高にアホ!
耳の聞こえない補聴器係と、周りのものがよく見えないコンタクトレンズ係のスケッチは
ケンブリッジ組っぽいロジックがたまりません。
あと笑いの他に可愛い動物が楽しめるという見所を発見しました。
(赤頭巾ちゃんに出てくる犬(←オオカミ役)
シェークスピア『ベニスの商人』を演じる牛(←医者の演技も出来ます))
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