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『血と骨』試写

2004-10-31 | movie/試写会・映画祭など
○10月30日(土)

崔洋一監督の『血と骨』の試写を観てきました。監督のティーチイン付き。

大阪でアウトロー伝説として語り継がれている男・金俊平。
朝鮮から大阪へ渡ってきた彼と、彼の家族との対立を描いた映画です。
多くの男たちを力づくでも働かせ職人として成功した俊平は、
それだけでは飽き足らず、
家族の住む家の目と鼻の先の家に愛人と住み、そこで金貸しを始めます。
息子の正雄は、そんな身勝手で暴力的な父親の半生を、
まるで昔話の中の人物のように語り始めます。

重苦しい話だと思っていたら、
思いのほか笑えてしまったので、戸惑ってしまいました。
父親の暴力、強姦、あらゆるものを破壊する行動を観ていると、絶対こんな親父イヤだ、
と思うのですが、同時に彼に弱い部分も見出せてしまうのです。
人に、極端に強く見せることで弱さを押し殺している、そんな印象を受けます。
彼の周りの人たちが、彼の強大な力から逃れようとするところを見ても、
何故か微笑ましく思えてくるのです。
彼らもまた、苦痛に負けず強くなろうと正面張って抵抗しているから。
皆が必死で生き続けようとしていた、時代と長屋の風景があったからかもしれません。

そして最後の場面が印象的でした。
あえて、ここでは詳しく語りませんが、
あそこにいたのが二役やっている伊藤淳史君というのがよかった。

監督はオファーする前から、金俊平役はビートたけししかいない、
と思っていたそうで。
当のたけしさんも金俊平について人伝いに話を聞いていたそうです。
「あんた、その人にすごい似てるよ!」と言われたとか。
普段東京弁のビートたけしが大阪弁、
しかも朝鮮訛りの大阪弁を話すというのは想像もつきませんでしたが、
すごくいやらしいやら切ないやら、やっぱりいいキャスティングだと思いました。

ティーチ・インでの監督は、一つの質問に答える幅が広くて、
やっぱり監督って人間はすげぇなぁ、と納得したひとときでした。
コメント
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