だから、ここに来た!

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2006年7月に観た劇場映画

2006-08-25 | movie/劇場公開作品
思い出し記録第二弾。7月の巻。


■ブレイブストーリー

非常に期待して観にいきました。
宮部みゆきの原作は読んだことがないのですが、
その原作者本人が感動して泣いたという記事を新聞で読んで、
これなら失敗ないだろう!と思って観にいったのです。
ですが。

なんとなくキャラクター描写が弱く感じられましたね。
家族の愛と、仲間への友情が強く出ないといけないはずなのに、
表現が浅くて、イマイチ感情移入出来なかった。

旅の途中の部分をまるっきり省略しちゃってるし、
それで仲間との信頼関係を描けたと思っているところが
納得いかないです。

映像はきれいだし、主役の松たかこはすごくいい声の演技をしていて、
見所もあるんですが、
ストーリーの全体を眺めたら、全然満足いかないです。

ただ、最後のクライマックス場面はジーンときましたが。


■嫌われ松子の一生

映画としては『下妻~』に比べて弱い。
ちょっと観客としてひいて見てしまうところがある。
というか、ミュージカル調である必要があったのかなぁ。
そうじゃなくても監督ならちゃんと撮れただろうに。
柴咲コウの存在の意味も薄いし。

ただ、物語を女としてみると
「…いたたたたた…。」という感じ。
非常に身につまされますです。
「ひとりでいるよりはまし」って。分かるわ、でも辛すぎ。

松子という、ひとりの女の人生に、
襟が冷たくなるほど泣いてしまったけど、
松子だけじゃなくて、彼女が愛した男たちや家族の人生も思うと、
余計にそれぞれの生きてきた時間を愛しく感じちゃう。
みんな、愛したくて、傷つきたくないだけなのにネ。


■ローズ・イン・タイドランド

大好きなギリアム御大の新作。
『ブラジル』以来の傑作、といううわさを聞いてはいましたが、
まぁーとんでもない悪趣味映画でした!!!

あれを「わぁ、“不思議の国のアリス”かぁ☆」などと
心ときめかせて観に行った乙女が驚愕する様を私は見てみたかった。
(そういう乙女は『靴に恋する人魚』を是非観に行こう。)

オゲレツです。悪趣味極まりないですよ。

でも…


私はっ…私は大好きだーぁっ!!!!


これぞギリアム節!!
『ブラザーズ・グリム』…それがなに?
タイドランドのキモさに比べたらショボショボですよ!!!

しかもこれ、『~グリム』編集中断時に
撮っちゃったっていうんだから嬉しいじゃないですか。
あの映像美!! こういうギリアムを待っていた!!!

観た方のレビューを観ていたら、
「後半はだらけた」って意見が多かったけど、
私は最後までワクワクして観ちゃいました。
単純にグロいだけではなくて、そこに皮肉も混じっていて、
結構笑っちゃってましたね。

ギリアムは狂気と正気のハザマ、
それこそTIDELAND(干潟)に目を向けている監督ですから、
ただのエログロナンセンスとはいかないのです。
正気の中の狂気を捉えている視線を感じます。
ずっと観ていると狂気が正気のように思えてきますが、
その境界線が見えた時、両者のバランスがなし崩しになって、
たまらなく刺激に満ちた感覚に襲われます。

別にドラッグがどうのとかいう問題はこの映画の趣旨ではなく、
まさにこのタイトル自体を実感することが
本当にこの映画を理解する意味のように思えます。

興奮してポスターなんか珍しく買っちゃった。
もう一回観たいような気もするけど、…ちょっと重いかな。
大大大好きな『未来世紀ブラジル』だってあんまり観ないしな。

『ブラジル』の皮肉、『バンデッドQ』の世界観、
『ラスベガスをやっつけろ』のラリラリ状態が好きな人は
楽しめると思います。

ギリアムにはかなり贔屓目だけど、好きなんだもん!
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2006年6月に観た劇場映画

2006-08-25 | movie/劇場公開作品
ブログ、サボりまくってました。
最低限、映画の感想くらい書いておかなきゃと思っていたんですが、
mixiで書いちゃったら、それで満足して終わってました。
こっちではもっと本腰入れてレビュー書きたいんだけどなー。
でも、時間が経つと観た本数も溜まっていく一方なので、
この辺でまとめておきますか。


■ナイロビの蜂

会社の大先輩が
「『ナイロビの蜂』は見るべきよ!」
と繰り返し言うので、見てきました。

なんの前情報もなしで観に行ったので、
始めの展開には「なんだなんだ?」と思ったのですが、
だんだんどういう種類の映画か分かってきた。
あの手の編集の仕方の中では上手くできた映画と思います。

それでも、ここまでキレイにラブストーリーとサスペンスが
折り重なってる映画も珍しいかも。
そこにケニアの自然と、貧困層の生活が映し出されて、
簡単にひとくくりにして表現できない映画だった。

ラストも、現実感漂ってて。
ああいう終わり方しかないのかもね、やっぱり。

レイチェル・ワイズはそんなによかったかなー。
あんまり分かりませんでした。
ケニアの人たちに目を奪われすぎ。
子供たち、かわいかったな。そういう見方しか出来ないけど。
彼女が演じたテッサは24歳なんですよ。
それを考えると、あー私何やってるんだろ、って思っちゃいますね。

それにしても、
ホントに今年のアカデミー賞は社会派ぞろいだったんだねー。
私は『クラッシュ』よりはこちらのほうがよかったですがね。
『シティ・オブ・ゴッド』、見たくなりました。
監督はCM畑の人なんだよね。なんとなくそんな気がしました。

英国の映画なので、英国のよく見る俳優さんが結構出てきますが、
ビル・ナイって『ラブ・アクチュアリー』で歌手の役をやってた人を見て、
申し訳ないけど、ついまじめな映画なのににやけてしまいました。
だって、こればっかりはしょうがないじゃない、ねー。

で、彼のプロフィールを見ていたら、
ピーター・セラーズ賞を二回獲っているんだって。
そんな賞あるなんて知りませんでした。
あのピーターですよね? 演出家の方じゃないですよね?
あんまり賞なんかになりそうもない人だと思ってました。


テッサ見たいに、激しい情熱を持って生きてみたいよなー。
…ストーリーと別のところにひどく感じ入っている私でした。

あ、映画の中では、テッサのいとことその息子が好きでした。
「ラテン系だから」って言ってすぐ泣いちゃういとこ。
あの人はあのあとどうなったのか、心配。
(なんか、雑な文章ですみませんね…)


■『GET RICH or DIE TRYIN'』

20セントの自伝的映画。
これは、よく出来た映画ってわけじゃないですけどね、
妙に感情移入してしまう映画でした。
外に出た後に「なんで周りが黄色人種ばっかりなんだ?」
と思ってしまったくらい(笑)。

母親はドラッグの売人。父親が誰かを知らず、
新しいスニーカー欲しさに母親の“家業”を継いだ主人公マーカス。
当時爆発的に流行していたヒップホップやラップの世界に憧れながら、
その一方でまた同時に流行していたクラックの売人として
伸し上がっていく。

見ていて、なんだか、こういう話ばっかり
読んだり触れたりしているなーと思った。


同じく、昨日読み終わった『悪童日記』という小説。
これはゲーム『MOTHER 3』の主人公の名前が
オマージュになっていると聞いて
読んでみたんですが、これがとんでもなく面白い!!

第二次世界大戦時のある(ハンガリーの)小さい街を舞台に、
小さな双子が、戦争の混乱の中を狡猾に、
そして冷酷に成長していく物語なんですが、
双子は名前ではなく「ぼくら」としか表記されず、
彼らの日記を盗み見ているという設定のこの小説の中では、
あくまで人々の感情を外面的な表現で語ることしかしていない。
「誰々がこう思った」ではなく、どう行動したかを語ることによって、
その人物の感情までが伝わってきます。

まぁ、小説の表現法の素晴らしさは置いといて、
この双子が強く生きていくために得ていく強さが、
『ゲット・リッチ…』のマーカスにもある気がする。
親と離れて寂しさに押しつぶされそうな自分に、
あえて苦しさを背負わせて、耐える術を見につけようとする。


同時に読み進めているクインシー・ジョーンズの自叙伝も同じ。
精神異常で病院に入った母は、
逃げ出しては自分たちを探しに家のドアを叩く。
継母には暴力を振るわれ、
だからといって真面目に働く父には弱さを見せることが出来ず、
貧しさのために弟と盗みや犯罪を繰り返す。
そんな最悪の状況の中、食料を盗むために忍び込んだ施設で
QJはピアノに真剣に向き合い、
初めて自分の世界=音楽の世界を知るんです。

『悪童日記』の双子が「ラジオが欲しいんです」と言う場面を読んだとき、
「あれ、もう持ってなかったっけ?」と思ったんだけど、
よく考えたら、それはQJの本の中の話だった。
状況がすごく近いから、ごっちゃになってしまう。


なんでこういう話ばかり触れてるんだろうな?
これは何かのメッセージなのか?
強く、耐えて生きていけ!ということなのか?

母がよく言ってた。
「読みたいと思って手にとった本は、
 メッセージを伝えたくて向こうから呼んでるんだ」ってな。
それは本だけじゃなくて、映画も音楽もそうだよな。

なんにしても、自分の必要な“世界”を得ないといけないのは確かかも。
心を乱す言葉に左右されず、心を開放する世界を。
だとしても…重いメッセージだよなー。
ズーンときますよ、どの物語も。


ところでやっぱりテレンス・ハワードは素敵でした☆
実は、この映画を観た一番の理由だったりする!
彼は帽子がとっても似合うね!!
8月公開する『ハッスル&フロウ』も観なきゃー!!
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