■■■2021年7月1日■■■
映画サービスデーなので、更新したパスポートを取りに行くついでに映画館に行ってきました。
コリン・ファースとスタンリー・トゥッチ共演の「スーパーノヴァ」を見てきた。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠🌈 (@notfspurejam) July 1, 2021
とにかくこの2人のキャスティングが最高すぎてずっと楽しみにしていたが、これから見に行く方がいるなら、なるべく予告編も本編映像も設定も見ずにまっさらな状態で見に行った方がいいかもしれない。
#film
「スーパーノヴァ」は、日本公開が決定する前から楽しみにしていて、
7月に見に行くならこれだ!と思っていました。
ツイートの通り、見に行く方は予告を見ない方がいいと思いますが、一応貼り付けておきます。
SUPERNOVA - Official Trailer - Starring Colin Firth and Stanley Tucci
コリンとスタンリーが演じるのは、休暇を取ってトレーラーで英国を旅しているゲイのカップル、サムとタスカー。
映画を見ているうちに、2人の職業は何なのか、
どうして旅をしているのか、誰に会いに行くのか、といった情報がだんだんとわかってきます。
(このだんだんとわかっていく過程を体験するために、前情報はいらないと私は思ったのです。)
↓↓↓ここからは結末に触れています↓↓↓
タスカーが病を抱えている、ということは私も見る前に知っていたのですが、
見ていくうちにそれが認知症とわかって、
ちょうど1ヶ月前に見た「ファーザー」のことをつい思い出してしまいました。
「ファーザー」は主人公の周りにいる人たちの戸惑いや悲しみの表情はあくまで客観的に映し出し、
登場人物に自分の気持ちを重ねるというよりは、
鑑賞者に認知症を患う父親と同じ感覚を体験させるようなスリリングな演出が巧みな作品でしたが、
「スーパーノヴァ」は、ゆっくりと流れる時間の中で、
サムとタスカー、それぞれの立場に心を重ねて感じ入るような作品です。
張り裂けそうな彼らの小さな心に、
美しい湖水地方(スコットランドにも見える)の大自然が、
静かに寄り添っているように感じられます。
しかし、です。
俳優の演技や、その心の動きに気持ちを重ねられるかどうかはさておいて、
正直この映画の筋書きは、先を読もうと思わなくてもどこにたどり着くのかは想像できてしまいます。
あまりにも、あまりにもクリシェすぎる…。
(「余命少ない主人公」「親しい人との旅」「ロードムービー」「星」という点で、
ベネディクト・カンバーバッチが友達とウェールズへ旅に出る末期ガンの若者を演じた、
「僕が星になる前に」も思い出してしまいました。重なりすぎる…)
「こうなることはわかってたのに、見てしまった…」
見終わってすぐ思いました。
でもコリンとスタンリーの共演という誘惑を拒むことができなかった私…
この物語を、2人の円熟した俳優を招いてあえて描く意味は何なのだ?と考えてしまいます。
現代はもうゲイのカップルが出てくるというだけで映画が新しく見える時代ではないし、
そこに新しい気づきがないと、どんなことを伝えたい映画なのか見えてきません。
そりゃ、その結末が一番映画としては美しいかもしれない。
でもその結末で"今"私たちに伝えたいことって何なんだ?
作品のトーンのために、身近な人の死を、安直に描きすぎてはいないか?
現実はもっともっと苦しくて、もっともっと足掻くものなんじゃないか?
…などと、年を取っていくらか映画を見続け、いくらか近しい人たちの死を経験した私は思うのです。
生きるために見苦しくでも足掻く姿は、潔い死よりも美しいかもしれませんよ。
サムがタスカーに向かって「お前のケツを拭く!」と言った時は、かっこいい!!と震えました(笑)。
スタンリーは奥さんが闘病して亡くなった時に考えてたことを
脚本に重ね合わせて共感する部分があったのかもしれません。
私も共感できるところはたくさんあります。
愛する人を苦しめるくらいなら…と思ってしまうかもしれない。
それでも、これが2020年に誰かが作った映画だと考えると、
やはり、そこに妥協はなかったか?と問いたくなる。
それに、ロードムービーかと思いきや、それほど旅先の出来事が少ないのが物足りなかった。
もっと新しい土地に触れ、知らない人とふれあい、
生と死への考えが揺らいだりするところが見てみたかった。
サムの姉の家でもうちょっと心の変化があったら違ったかもしれないのにな。
タスカーが本を書けてないという事実を際立たせるためにも、
前半にもっと書いてますアピールをして欲しかった。
「最近どういうわけか順調で、あと最後の章だけなんだ!」とか言いながら、
蓋を開けてみると…ってなるのがショックなんじゃないか。
始めから「ハハーン、これは全然書いてないな?」とわかっちゃったらしょうがない…。
…考え始めると、「あぁが良かった、こうが良かった」が止まりませんが、
一番希望が持てた場面は、タスカーがサムの姪っ子に、
古い星が最後に爆発すると、それがめぐりめぐってやがて人の一部になると話して聞かせるシーン。
…この話も、どこかの映画やドラマでこれまでに取り上げられているような気がしますが、
超新星爆発のように、人が死んだ後も、また世界の一部になっているのだとしたら、
なんだか救いになりますよね。
これを思い出すたびに、涙が出てきます。
外に出てポスター見て「『グリード』にすればよかった…」と思ってしまう自分がいた。どちらかというと今の気分はスティーヴ・クーガンだったと後から気付く。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠🌈 (@notfspurejam) July 1, 2021
でもこればかりは見なければ分からないもんな。
(コリン・ファースは「グリード」にも出ているらしい。) pic.twitter.com/2EoDdzvTUH
ちなみに、ハリー・マックイーン監督は初監督作"Hinterland"で、幼馴染同士の旅を描いているみたいです。
Hinterland Official Movie Trailer (2015) HD