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『誰もしらない』…

2004-07-14 | movie/試写会・映画祭など
カンヌ映画祭で柳楽優弥が最年少で男優賞を獲ったことで話題になった
『誰もしらない』。
母親に置き去りにされた子供たちが、
親の不在を悟られぬように静かに生活を続ける話。

中でも柳楽君演じる12才の長男はひとりで家計をやりくりし、
弟妹に母がおそらく帰らないだろうことは伝えない。
生活がどんどん荒んでいく様子と、無邪気で幼い弟妹の様子がせつない。

いつか、こんな子供だけの生活を想像したことがあった気がする。
別に母が出ていきそうだったわけではなく、子供の遊びとしての想像。
大人のいない子供だけの生活は、お菓子も食べ放題、ゲームもし放題。
でも、大人の生活の支え方(家賃、食費、その他の生活費もろもろのことだ)を知らない自分が、
そのまま、自由気ままに過ごせるわけがない。
いつか、いきていけなくなるだろうという事を想像したら、急に怖くなったりした。

そしてその描いたとおりの生活が映像として目の前にあると、
まるで自分も兄弟の一人のように感じられる。

母にこの映画の話をしたら、それだけでもう泣いていたが、
私は泣けなかったし、笑えもしなかった。

言ってみれば、どちらでもあった気がする。
子供を置いて行った母親の、私が幸せになっちゃいけないの?という問いは、
こんな母親にでも共感できてしまう。

みんな、普通に楽しく生きていたいだけ。
その中に、避けがたい現実との衝突があり、
その歪みがこの映画を美しく見せている。

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