グラナダ版 ”A Scandal in Bohemia ”Revision : (4)
The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)
この所飛び入りの情報が多く、後回しになってしまい随分間が開いてしまいましたが、
・・・・・ やり直し: その(4)
夜になり 牧師に変装したホームズとワトソンは馬車で出発します。
ワトソンは、ホームズの変装は見事だが 写真を探す為にどうするつもりなのか尋ねます。
JW : 二度も強盗が物色したのに 何処を探すつもりだ?
SH : 彼女は強盗より頭が良い。
JW : 強盗も家中探したはずだ。
SH : 探し方が悪い。
JW : じゃ君は?
SH : 探さない。
JW : では?
SH : 教えてもらう
JW : だが断られるさ。
SH : 彼女は断れない。
と話ながらアイリーンの住まいの近くで馬車を降り歩きます。
そして、ホームズが手を挙げる合図でワトソンが動く。 そして10分後に例の場所で会う事を打ち
あわせます。
アイリーンの家の前にはホームズが手配していたゴロツキがたむろしていて アイリーンの帰宅
を待っています。
彼等はアイリーンの馬車が到着すると 馬車の御者を脅しアイリーンにも襲い掛かります。
その時、牧師に変装したホームズが仲裁に入ると逆に彼等から襲われて倒れてしまう。
ホームズの様子を見る紳士(これもホームズの仕掛けか)が、かすり傷だが早く手当をした方が
良いと云うのを聞いたアイリーンは、偽牧師を自宅に運び込むように指示します。
ソファーでアイリーンの手当てを受けたホームズは、頭に包帯を巻いてもらう。
(この包帯の巻き方が珍しい。帽子みたいに見えてしまいます)
窓の外には部屋の中の様子を窺がうワトソンが待機しています。
外の様子を窺がっていたアイリーンは、何時もは静かな家の前に何故この様に大勢の人たちが
集まったのか不審に思い始めています。
そんなアイリーンの気を逸らすように、ホームズは気が失いそうなので窓を開けて空気を入れ替
えて欲しいと頼みます。
そしてその隙にワトソンに合図を送り、ワトソンは発煙筒を部屋に投げ込みます。
部屋に煙が充満してくると、「大変だ。火事だ!」と大声で叫ぶホームズ。
それを聞いたアイリーンは、とっさに大切な写真を隠してある秘密の隠し扉のボタンを押そうとし、その行
動をしっかり見ていたホームズ。
(女性は家が火事だと思った時本能的にすぐ最も大切な物のところに駆け寄る。これは絶対に抗しがたい衝動な
のだというホームズの予想通りの行動をとったアイリーン。 それを予期したホームズが起こしたの火事騒ぎ
だったという事)
その直後、目的を達した「ホームズは、これは火事では無く悪戯に違いないと言うのですが、アイリーンは、
一体何のための悪戯なのかと呟きます。
SH : 復讐だ
IA : そんなに罪深い人が?
SH : この世には復讐を生きがいにしている者がいますからな。
IA : そんな事は考えられないわ。
SH : 奥様にはご無理でしょうな
(このあたりの意味深な会話で、ホームズはさり気なくアイリーンが起こした行動を示唆している
様です。 そして、アイリーンも何となく偽牧師を怪しみ始めている表情になってきます。 微妙な
表情の変化が凄く上手いです)
そして、目的を達したホームズが、気分が良くなったからとそそくさと帰ろうとすると、馬車で送ると
アイリーン。 その申し出を断ると、お礼をしたいから せめて名前と住所を教えてくれと頼むアイ
リーンに慌てた様に丁重に断るホームズです。 (此処で、アイリーンは偽牧師の正体を確信した
ような表情になります)
(立ち去るホームズの後姿に、「さようなら」と呟くアイリーンの微妙な表情が印象的です。)
約束の場所でワトソンと落合い馬車に乗ったホームズは、「上出来だった」と上機嫌で大爆笑。
JW : 写真は手に入れたか?
SH : 場所は分った。
JW : どうやった?
SH : 彼女が教えてくれた。
JW : それなら何故置いて来たんだ?
SH : 明日の朝早くに行くさ。 王と一緒に。君もだ。証人になって貰わなければならない。
ベーカー街に戻ったホームズはまだ上機嫌のままで大笑いを続けています。
221Bの扉を開けようとしていた時、その横を若い紳士が通り過ぎながら ”Goodnight, Mr. Sherlock Holmes”
と声を掛けます。
その声を聴いたホームズは、訝し気げな顔をします。
(※ 正典では,「あの声は聞いた事がある。あ、あれはいったい誰だったんだろう?」と呟いています)
↓ こちらが正典パジェット版挿絵
(※ 今回書いた部分は、殆どそのままBBC版「ベルグレーヴィアの醜聞」にも踏襲されています。
牧師に変装してアイリーンの家に行く
ケガを装って家の中に入る
ワトソンの手助けで発煙筒で火事を装う
どさくさの中、アイリーンが秘密の隠し場所を示させる。
等々、全てそのまま忠実に引用されています。 ただし、BBC版ではアイリーンがヌードになって
シャーロックの意表を突く、なんてトンデモナイ展開になっていましたが、初めて観た時はビック
リしましたね~。これはアイリーンの”お仕事”の設定がアレでしたからねぇ。勿論正典とは懸け
離れた状況だった訳ですが、初回放送後BBCにはこの場面に対する苦情がかなり多く寄せられた様
です。 正典を重視し、尊重するファンにとってはとんでもない!って事だったんでしょう。
そして、「ベルグレーヴィアの醜聞」でも、麻酔薬で倒したシャーロックにアイリーンはこの有名
なセリフ ”Goodnight, Mr.Sherlock Holmes”もちゃんと入れていましたっけ。
こんな風に、この当時の「シャーロック」はきちんと正典重視の内容だったのにねぇ(又繰り言)
・・・・・to be continued です。
← グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 :(3)
→ グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 : (5)
The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)
この所飛び入りの情報が多く、後回しになってしまい随分間が開いてしまいましたが、
・・・・・ やり直し: その(4)
夜になり 牧師に変装したホームズとワトソンは馬車で出発します。
ワトソンは、ホームズの変装は見事だが 写真を探す為にどうするつもりなのか尋ねます。
JW : 二度も強盗が物色したのに 何処を探すつもりだ?
SH : 彼女は強盗より頭が良い。
JW : 強盗も家中探したはずだ。
SH : 探し方が悪い。
JW : じゃ君は?
SH : 探さない。
JW : では?
SH : 教えてもらう
JW : だが断られるさ。
SH : 彼女は断れない。
と話ながらアイリーンの住まいの近くで馬車を降り歩きます。
そして、ホームズが手を挙げる合図でワトソンが動く。 そして10分後に例の場所で会う事を打ち
あわせます。
アイリーンの家の前にはホームズが手配していたゴロツキがたむろしていて アイリーンの帰宅
を待っています。
彼等はアイリーンの馬車が到着すると 馬車の御者を脅しアイリーンにも襲い掛かります。
その時、牧師に変装したホームズが仲裁に入ると逆に彼等から襲われて倒れてしまう。
ホームズの様子を見る紳士(これもホームズの仕掛けか)が、かすり傷だが早く手当をした方が
良いと云うのを聞いたアイリーンは、偽牧師を自宅に運び込むように指示します。
ソファーでアイリーンの手当てを受けたホームズは、頭に包帯を巻いてもらう。
(この包帯の巻き方が珍しい。帽子みたいに見えてしまいます)
窓の外には部屋の中の様子を窺がうワトソンが待機しています。
外の様子を窺がっていたアイリーンは、何時もは静かな家の前に何故この様に大勢の人たちが
集まったのか不審に思い始めています。
そんなアイリーンの気を逸らすように、ホームズは気が失いそうなので窓を開けて空気を入れ替
えて欲しいと頼みます。
そしてその隙にワトソンに合図を送り、ワトソンは発煙筒を部屋に投げ込みます。
部屋に煙が充満してくると、「大変だ。火事だ!」と大声で叫ぶホームズ。
それを聞いたアイリーンは、とっさに大切な写真を隠してある秘密の隠し扉のボタンを押そうとし、その行
動をしっかり見ていたホームズ。
(女性は家が火事だと思った時本能的にすぐ最も大切な物のところに駆け寄る。これは絶対に抗しがたい衝動な
のだというホームズの予想通りの行動をとったアイリーン。 それを予期したホームズが起こしたの火事騒ぎ
だったという事)
その直後、目的を達した「ホームズは、これは火事では無く悪戯に違いないと言うのですが、アイリーンは、
一体何のための悪戯なのかと呟きます。
SH : 復讐だ
IA : そんなに罪深い人が?
SH : この世には復讐を生きがいにしている者がいますからな。
IA : そんな事は考えられないわ。
SH : 奥様にはご無理でしょうな
(このあたりの意味深な会話で、ホームズはさり気なくアイリーンが起こした行動を示唆している
様です。 そして、アイリーンも何となく偽牧師を怪しみ始めている表情になってきます。 微妙な
表情の変化が凄く上手いです)
そして、目的を達したホームズが、気分が良くなったからとそそくさと帰ろうとすると、馬車で送ると
アイリーン。 その申し出を断ると、お礼をしたいから せめて名前と住所を教えてくれと頼むアイ
リーンに慌てた様に丁重に断るホームズです。 (此処で、アイリーンは偽牧師の正体を確信した
ような表情になります)
(立ち去るホームズの後姿に、「さようなら」と呟くアイリーンの微妙な表情が印象的です。)
約束の場所でワトソンと落合い馬車に乗ったホームズは、「上出来だった」と上機嫌で大爆笑。
JW : 写真は手に入れたか?
SH : 場所は分った。
JW : どうやった?
SH : 彼女が教えてくれた。
JW : それなら何故置いて来たんだ?
SH : 明日の朝早くに行くさ。 王と一緒に。君もだ。証人になって貰わなければならない。
ベーカー街に戻ったホームズはまだ上機嫌のままで大笑いを続けています。
221Bの扉を開けようとしていた時、その横を若い紳士が通り過ぎながら ”Goodnight, Mr. Sherlock Holmes”
と声を掛けます。
その声を聴いたホームズは、訝し気げな顔をします。
(※ 正典では,「あの声は聞いた事がある。あ、あれはいったい誰だったんだろう?」と呟いています)
↓ こちらが正典パジェット版挿絵
(※ 今回書いた部分は、殆どそのままBBC版「ベルグレーヴィアの醜聞」にも踏襲されています。
牧師に変装してアイリーンの家に行く
ケガを装って家の中に入る
ワトソンの手助けで発煙筒で火事を装う
どさくさの中、アイリーンが秘密の隠し場所を示させる。
等々、全てそのまま忠実に引用されています。 ただし、BBC版ではアイリーンがヌードになって
シャーロックの意表を突く、なんてトンデモナイ展開になっていましたが、初めて観た時はビック
リしましたね~。これはアイリーンの”お仕事”の設定がアレでしたからねぇ。勿論正典とは懸け
離れた状況だった訳ですが、初回放送後BBCにはこの場面に対する苦情がかなり多く寄せられた様
です。 正典を重視し、尊重するファンにとってはとんでもない!って事だったんでしょう。
そして、「ベルグレーヴィアの醜聞」でも、麻酔薬で倒したシャーロックにアイリーンはこの有名
なセリフ ”Goodnight, Mr.Sherlock Holmes”もちゃんと入れていましたっけ。
こんな風に、この当時の「シャーロック」はきちんと正典重視の内容だったのにねぇ(又繰り言)
・・・・・to be continued です。
← グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 :(3)
→ グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 : (5)
本当にグラナダ版(特に初期の作品)は正典挿し絵そのままに忠実に描いていますよね。 正典
に対する敬意を感じます。 アイリーンの男装に関しては、ホームズを送り出してから変装して
ホームズ達と同時に221Bに到着するのは時間的に無理がある、なんてツッコミもありますが そ
こは硬い事言わずに・・・(笑)
でも、特にグラナダ版のアイリーンは素敵です。
ハニカットさんは本当に美しいし、気品もあり、個人的には一番好きなアイリーンですし、ホーム
ズの正体に気付いたと時の微妙な表情の変化が素晴らしいと感じました。
BBC版のアイリーンは意表を突かれる設定でしたし、確かにより強烈なキャラクターとして印象
深いライバル的に描かれていたのは良かったとは思うんですが、シャーロックに対して恋愛感情
を持たせたのはチョット・・・ね。 そしてS4でのメールのやり取り等のお付き合い(?)は頂けま
せんでしたよねぇ。 何度も繰り返してスミマセンが、アイリーンもモリアーティーも一度キリの登
場だったからこそ印象深いと思うんですけど、二人とも引っ張っちゃいましたからね~。
グラナダ版は安定してますね。 だからこそ何度観ても良さを感じます。
仰る通り当時としてはアイリーンの様な女性を描いたのは斬新だったでしょうし、ドイル先生の女
性観からもも珍しいのではないでしょうか。
時間が掛かってしまっているんですけど、次回で終わらせます(汗)
何度も言ってることかもしれませんが、男装のアイリーンが通りすぎる場面も、グラナダ版は本当に挿し絵そっくりで改めて感心してしまいました。ホームズの変装もすごいですが、アイリーンも負けていませんね~本当に、頭のいいキリッとした女性という感じで素敵です。
BBC版のアイリーンも、まぁお仕事は斬新(笑)だし色々と物議を醸し出す面もあったとは思いますが、S2の時は“ホームズを出し抜くほど頭のいいキリッとした女性”という基本は外してなかったし、シャーロックとの関係もどちらかというと対等なライバル的に見られる(曖昧ではあるけど)ので好きだったんですけど、S4で強引に恋愛方向に舵を切られたのがちょっと…
それを思うと余計に、いいなぁと素直に思えるイメージを保っていてくれるグラナダ版のよさをしみじみ感じます。それにしても、原作が書かれた当事だと、こういう女性を描くのって今よりずっと斬新だったのかなぁ…とも思ったりします。