田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

人狼とバラの鞭/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-09-20 08:54:04 | Weblog
奥様はバンパイァ52

○「もういいではないか」


おもわずGは叫んでいた。


「もうじゅうぶんニクシミ合った。もういい。もうやめるんだ」


ふいに叫んでいた。


想定外の言葉だった。


あまりにも激しい凶念を感じてGは思わず叫んでいた。
 

それでも敵の狼への獣化は止められなかった。


手の甲にまでザワット灰色の剛毛が生えてきた。


昼間なのに目は緑色に光る。


そして肉食獣の獰猛な光をおびて襲いかかってくる。


バラを愛し、美しいものを愛する吸美族の女たち。


わずかな数の男もバラの鞭で対抗する。


バラの茎でできているから「硬鞭」ではない。


だが茎を何本も合わせているので硬度はかなりのものだ。


なによりも「美しい」バラを咲かせる茎だから打たれたものは暴力をふるえなくな


る。


心が浄化されるのだ。


兇暴な精神にダメージを与えることができる。


敵を殺めることなく戦意を喪失させることが可能なのだ。


鞭がヒュウっと風を切る音がひびいてくる。


人狼の咆哮が鞭の音に呼応する。


人狼は体を獣と化すことによって戦う能力をアップしていく。


Mの動きがおかしい。


振るう鞭に精彩がない。


「どうした。どうしたのだ」


「なんだかちからがはいらないの」




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