23
男は胸にヒスイの勾玉をさげている。
かなり大ぶりなモノだ。
深緑色で半透明な宝石は男にとってパワーストンなのだろう。
男が話すたびに胸元で揺れている。
どこかで会っている。
まちがいない。
デジャブ―なんかではない。
確かに会ったことがある男。
おなじ、夜の種族。
胸元のヒスイの揺れに集中しているうちに頭がくらくらしてきた。
いけない。
眠りにさそいこまれる。
男の勾玉が平べったく伸びる。
平面となり男の顔に仮面となってはりついた。
ヒスイの面をかぶった鬼――吸血鬼。
ヒスイが黄金のように溶けて、仮面になることなどない。
これは、幻覚を見させられているの。
ヒスイの面の男が一歩ふみだした。
「ミイマ。あぶない」
翔子の声がひびいてくる。
「ミイマ。敵は右横。献血車のノウズのほうよ」
目の前に見える男は、幻なのだ。
やはり幻をみていたのだ。
翔子の指示に従って、バラの鞭で右横を薙ぐ。
ゲェっと苦鳴が鞭の先で起きた。
なにかをたたいた手ごたえがあった。
「ミイマ。すごい。気配をたよりに斬ったのに、敵の顔にヒットしたよ」
ヒスイの勾玉の男が悔しそうに翔子をにらんでいる。
あの勾玉の揺れを見ている間に、瞬間催眠にかかってしまったのだ。
しばらく平和だった。
戦いの勘がにぶっていた。
わたしが、心理を操作されるなんて。お恥ずかしい。
でも、敵はまちがいなく、わたしたちが、マインドバンパイアがいることを認識した。
これからは厳しい戦いになるだろう。
「コイツはどうしてミイマ健康体なの」
「それはな、オジョウチャンおれが血を飲まなかったからさ。いまどきの若いもんは、仲間の血に臭いもわからない、クズだ」
「わたしは同族の者とは戦いたくないの」
男の頬にバラの鞭でたたかれた擦過傷ができている。
プチしていただければ作者の励みになります。
男は胸にヒスイの勾玉をさげている。
かなり大ぶりなモノだ。
深緑色で半透明な宝石は男にとってパワーストンなのだろう。
男が話すたびに胸元で揺れている。
どこかで会っている。
まちがいない。
デジャブ―なんかではない。
確かに会ったことがある男。
おなじ、夜の種族。
胸元のヒスイの揺れに集中しているうちに頭がくらくらしてきた。
いけない。
眠りにさそいこまれる。
男の勾玉が平べったく伸びる。
平面となり男の顔に仮面となってはりついた。
ヒスイの面をかぶった鬼――吸血鬼。
ヒスイが黄金のように溶けて、仮面になることなどない。
これは、幻覚を見させられているの。
ヒスイの面の男が一歩ふみだした。
「ミイマ。あぶない」
翔子の声がひびいてくる。
「ミイマ。敵は右横。献血車のノウズのほうよ」
目の前に見える男は、幻なのだ。
やはり幻をみていたのだ。
翔子の指示に従って、バラの鞭で右横を薙ぐ。
ゲェっと苦鳴が鞭の先で起きた。
なにかをたたいた手ごたえがあった。
「ミイマ。すごい。気配をたよりに斬ったのに、敵の顔にヒットしたよ」
ヒスイの勾玉の男が悔しそうに翔子をにらんでいる。
あの勾玉の揺れを見ている間に、瞬間催眠にかかってしまったのだ。
しばらく平和だった。
戦いの勘がにぶっていた。
わたしが、心理を操作されるなんて。お恥ずかしい。
でも、敵はまちがいなく、わたしたちが、マインドバンパイアがいることを認識した。
これからは厳しい戦いになるだろう。
「コイツはどうしてミイマ健康体なの」
「それはな、オジョウチャンおれが血を飲まなかったからさ。いまどきの若いもんは、仲間の血に臭いもわからない、クズだ」
「わたしは同族の者とは戦いたくないの」
男の頬にバラの鞭でたたかれた擦過傷ができている。
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