田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

リリ、ネズミなんか寝室にくわえこまないで。 麻屋与志夫

2016-02-13 06:36:21 | ブログ
2月13日 Sat.

●ふいに家のなかいっぱいに、いや、向こう三軒両隣までとどいたのではないかと、心配な――ミイマの悲鳴。
布を裂くような甲高い叫び。
悲鳴――。
オモワズ心肺停止に追い込まれそうな悲鳴に、階下に駆け下りる。

●ミイマの部屋の障子を夢中で開けると――リリが子ネズミでサッカ―をしていた。
ミイマは二十畳ほどある洋間の片隅で、ただでさえ小柄な体をさらに細めてガクガクふるえている。

●ミイマは鼠やゴキブリが大嫌いだ。
キライどころの騒ぎではない。
みただけでパニック症候群におちいる。
このまま心臓が止まるかと思った。
と震えている。もちろん顔面蒼白。

●ひさしぶりの、悲鳴によるご指名の救助信号で駆けつけたわたしは「あの、悲鳴、ご近所にDVとまちがえられるな」といったもんだ。
「なに呑気なこといってるの、早く捕まえて」

●恐いもの知らずのわたしだからいいようなものの、リリがジャレテいる子ネズミを素手で捕まえる。
リリはせっかく捕まえた獲物をよこどりされて、不満顔。
ネズミのいたあたりに鼻づらをおしつけて臭いを嗅いでいる。

●「もうリリ、いやだよ」それでもリリを抱きあげてほほずりをしている。
前では、そんなことは出来なかった。
リリへの深い愛情がある。
いままでだったら、猫の、リリのそばにいくこともしなかっただろう。
ほんの一瞬前まで、ネズミをくわえていたのだ。
愛は強し。
ミイマの不安神経症もこれでいくぶん緩和されていくことだろう。


 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へにほんブログ村