34
患者を搬入する連絡はしてある。
長い廊下のむこうから看護師がくる。
白衣に黒のカーデガンをはおっている。
ああ、よかった。
看護師さんがきてくれた。
これから先は、病院のスタッフに任せよう。
つかれた。
きょう一日、いろんなことがあり過ぎた。
これで家に帰っておばあちゃんとゆっくり寝られる。
だがそうはならなかった。
なかなか近寄ってこない。
看護師のようすがへんだ。
なによ。
こんなとき。
なに、のんびり歩いてくるのよ。
彩音はジレた。
走りだした。
廊下は走らないでください。
文句を言うものはいない。
彩音は走った。
走った。
背中で楔がカタカタ音をたてている。
看護師が歩くのを止めた。
倒れた。
看護師が倒れた。
倒れた。
こちらをむいている。
口をOの字に開けている。
救いをもとめるように。
手をあげた。
なにかおかしい。
おかしい。
文音の背後からストレッチヤー。
救急隊員が必死で……。
血を吸われた犠牲者をのせたストレッチャーを押してくる。
どかどかと靴音が高鳴る。
それがぴたっととまった。
彩音もみた。
看護師の倒れた廊下の角を曲がって、でた。
でたぁ。
吸血鬼が。5人? もいる。
ここにも、吸血鬼は侵攻していた。
さきほど倒してきたふたりと微妙にちがう。
口元に真っ赤な血。
赤く光る目。
むきだしの鉤爪。
のびきった犬歯、乱杭歯。
鉤爪。犬歯。乱杭歯。
三点セットはおなじだ。
吸血鬼の三種の神器。
だが、強そうだ。
階級がさきほどのヤツよりも上みたいだ。
患者を搬入する連絡はしてある。
長い廊下のむこうから看護師がくる。
白衣に黒のカーデガンをはおっている。
ああ、よかった。
看護師さんがきてくれた。
これから先は、病院のスタッフに任せよう。
つかれた。
きょう一日、いろんなことがあり過ぎた。
これで家に帰っておばあちゃんとゆっくり寝られる。
だがそうはならなかった。
なかなか近寄ってこない。
看護師のようすがへんだ。
なによ。
こんなとき。
なに、のんびり歩いてくるのよ。
彩音はジレた。
走りだした。
廊下は走らないでください。
文句を言うものはいない。
彩音は走った。
走った。
背中で楔がカタカタ音をたてている。
看護師が歩くのを止めた。
倒れた。
看護師が倒れた。
倒れた。
こちらをむいている。
口をOの字に開けている。
救いをもとめるように。
手をあげた。
なにかおかしい。
おかしい。
文音の背後からストレッチヤー。
救急隊員が必死で……。
血を吸われた犠牲者をのせたストレッチャーを押してくる。
どかどかと靴音が高鳴る。
それがぴたっととまった。
彩音もみた。
看護師の倒れた廊下の角を曲がって、でた。
でたぁ。
吸血鬼が。5人? もいる。
ここにも、吸血鬼は侵攻していた。
さきほど倒してきたふたりと微妙にちがう。
口元に真っ赤な血。
赤く光る目。
むきだしの鉤爪。
のびきった犬歯、乱杭歯。
鉤爪。犬歯。乱杭歯。
三点セットはおなじだ。
吸血鬼の三種の神器。
だが、強そうだ。
階級がさきほどのヤツよりも上みたいだ。