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「そんなことはない。
味方がいるのだ。
ぼくと翔子は、ふたりだけではない」
赤いバラをもって見舞いに来てくれたGGとmimaもいる。
「そうよ。
純のいうとおりよ。
わたしたちもついているから……」
とmimaにも励まされた。
「平安時代の鬼が現世に降臨したのはまちがいない。
『宇治拾遺物語』巻第十三の十。
慈覚大師、纐纈城に入り行く事――にでてくる、
血ぞめの赤い布をつくっていた吸血鬼が、
大師の一行にまぎれて日本に渡来した。
あるいは吉備真備だったかな?
ともかくあの時代に鬼が渡来したことにはまちがいない。
それを封じ込めた阿倍晴明の陰陽師の力もうすれてきたのだろう。
たいへんなことになったな。
慈覚大師は下野の人。
それでわたしたち純もそうだが、
野州(下野)夢道流には鬼と闘う術があるのだ。
ヤッラは鬼と呼ばれる存在だが、
大きな壺に人の血をしぼってため、
それで布を染めたと書いてあるのだから、
いまでいう吸血鬼だ」
「百子さんも吸血鬼の出現に気づいている。
たしかにわたしたちはふたりだけではない。
ありがとう、mima」
幸い、翔子の噛まれた傷口からはウイルスは注入されていなかった。
噛まれた傷だけだつたので明日は退院ということになった。
プチしていただければ作者の励みになります。
「そんなことはない。
味方がいるのだ。
ぼくと翔子は、ふたりだけではない」
赤いバラをもって見舞いに来てくれたGGとmimaもいる。
「そうよ。
純のいうとおりよ。
わたしたちもついているから……」
とmimaにも励まされた。
「平安時代の鬼が現世に降臨したのはまちがいない。
『宇治拾遺物語』巻第十三の十。
慈覚大師、纐纈城に入り行く事――にでてくる、
血ぞめの赤い布をつくっていた吸血鬼が、
大師の一行にまぎれて日本に渡来した。
あるいは吉備真備だったかな?
ともかくあの時代に鬼が渡来したことにはまちがいない。
それを封じ込めた阿倍晴明の陰陽師の力もうすれてきたのだろう。
たいへんなことになったな。
慈覚大師は下野の人。
それでわたしたち純もそうだが、
野州(下野)夢道流には鬼と闘う術があるのだ。
ヤッラは鬼と呼ばれる存在だが、
大きな壺に人の血をしぼってため、
それで布を染めたと書いてあるのだから、
いまでいう吸血鬼だ」
「百子さんも吸血鬼の出現に気づいている。
たしかにわたしたちはふたりだけではない。
ありがとう、mima」
幸い、翔子の噛まれた傷口からはウイルスは注入されていなかった。
噛まれた傷だけだつたので明日は退院ということになった。
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