「穴に入ると吉」
なんだこのおみくじ。
初詣もひと段落した1月中旬。
風もあまり無く温かかった。
妻は朝から子供を連れて友達の家へ出かけた。
普段歩かない小道を選んで散歩に出かけた。小さな神社をみつけた。
(へえ、こんなところに神社があったんだ。)
足を向けると、巫女のおねえちゃんがちゃんと座っていた。
目があってしまい、何となくおみくじを頼んだ。
200円を手渡す。
おねえちゃんが言った。
「うちのはよく当たるんよ」
「へえ」
(若いのに、おばあちゃんみたいな話し方をするな。)そう思いながらおみくじを開いた。
帰り道、たこやきを買った。
大通りに面したたこ焼き屋。
車で通る度にいつか行ってみたいと思っていた。
おみやげに一皿、その場で食べる一皿を買った。
7個入り350円。
発泡スチロールの皿ではなく、船型の皿にのっている。
ソースとマヨネーズの間でかつおぶしが踊っている。
うまい。
一気に食べるはもったいない。
そんな気分で足下をふと見た。
穴が開いていた。
穴の大きさは5cm弱。
ちょうどたこ焼き1個が入るぐらいの穴だ。
昼間にひいたおみくじを思い出した。
「穴に入ると吉」
(まさかね)
財布に入れておいた「おみくじ」を一応確認しよう。
他に何か書いてあったっけ。
そう思った。
妻に見せようと思い、持ち帰ったのだ。
たこ焼きの皿を持ちながら、ポケットから財布を取り出す。
ポロッ。
ストッ。
あっ。
期せずしてたこ焼き1個は見事に穴に吸い込まれて消えた。
様子を見ていたが、穴には特に変化は現れなかった。
(何がうちのおみくじはよく当たるだよ。何にも当たらないじゃない。)
そう思いながら、まだ温かい残りのたこ焼きを一気に食べて、家路を急いだ。
遠くで見ているものがいた。
おばあちゃんの様に話す昼間の巫女。
今はジーンズにシャツを着ている。
しかし地上から30mほど宙に浮きながら男を見ていた。
「よしよし・・・うちのおみくじはよくあたるんじゃー」
そうつぶやいて消えた。
翌朝。
たまたま付近の工事中の現場にやってきたガス会社の人間が穴に気づいた。
この穴からガスが漏れていた。
奇妙な事に、ちょうどたこ焼きが蓋になってガスの流出を防いでいた。
穴がふさがれていなければどうなっていたか。
冷や汗を背中にかきながら復旧の作業にとりかかった。
なんだこのおみくじ。
初詣もひと段落した1月中旬。
風もあまり無く温かかった。
妻は朝から子供を連れて友達の家へ出かけた。
普段歩かない小道を選んで散歩に出かけた。小さな神社をみつけた。
(へえ、こんなところに神社があったんだ。)
足を向けると、巫女のおねえちゃんがちゃんと座っていた。
目があってしまい、何となくおみくじを頼んだ。
200円を手渡す。
おねえちゃんが言った。
「うちのはよく当たるんよ」
「へえ」
(若いのに、おばあちゃんみたいな話し方をするな。)そう思いながらおみくじを開いた。
帰り道、たこやきを買った。
大通りに面したたこ焼き屋。
車で通る度にいつか行ってみたいと思っていた。
おみやげに一皿、その場で食べる一皿を買った。
7個入り350円。
発泡スチロールの皿ではなく、船型の皿にのっている。
ソースとマヨネーズの間でかつおぶしが踊っている。
うまい。
一気に食べるはもったいない。
そんな気分で足下をふと見た。
穴が開いていた。
穴の大きさは5cm弱。
ちょうどたこ焼き1個が入るぐらいの穴だ。
昼間にひいたおみくじを思い出した。
「穴に入ると吉」
(まさかね)
財布に入れておいた「おみくじ」を一応確認しよう。
他に何か書いてあったっけ。
そう思った。
妻に見せようと思い、持ち帰ったのだ。
たこ焼きの皿を持ちながら、ポケットから財布を取り出す。
ポロッ。
ストッ。
あっ。
期せずしてたこ焼き1個は見事に穴に吸い込まれて消えた。
様子を見ていたが、穴には特に変化は現れなかった。
(何がうちのおみくじはよく当たるだよ。何にも当たらないじゃない。)
そう思いながら、まだ温かい残りのたこ焼きを一気に食べて、家路を急いだ。
遠くで見ているものがいた。
おばあちゃんの様に話す昼間の巫女。
今はジーンズにシャツを着ている。
しかし地上から30mほど宙に浮きながら男を見ていた。
「よしよし・・・うちのおみくじはよくあたるんじゃー」
そうつぶやいて消えた。
翌朝。
たまたま付近の工事中の現場にやってきたガス会社の人間が穴に気づいた。
この穴からガスが漏れていた。
奇妙な事に、ちょうどたこ焼きが蓋になってガスの流出を防いでいた。
穴がふさがれていなければどうなっていたか。
冷や汗を背中にかきながら復旧の作業にとりかかった。