「軌道エレベータは膨大な重量を支える必要がある。軽く、なおかつとんでもない強度を持つ物質。私は政府からの資金で研究を続けていた。しかし、おもわしい成果はいつまでも得られなかった。いよいよ政府から研究資金打ち切りの打診があった。追い詰められた私は須田の基礎研究を盗んでしまった。須田の研究を私の名前で発表したのだ。しかし発表をもって世界中の研究者が動いた。その事で、軌道エレベーターは完成したのだ。盗んだのは事実だ。しかし妻子の命を奪っても良いという道理はない」
一通りの告白を聞いたミツオが口を開く。
「命を救う方法を一つ思いつきました。しかし絶対というものではありません。地上への通信手段が無い今、それしかないと考えます。やらせてもらえますか」
伊集院博士に断る理由は無かった。 協力の同意を得たミツオはエリーと博士に指示を出した。
その間にも軌道エレベーターは静かに上昇を続ける。
同時刻、地上。
道明寺と佐々木が肩を並べて夜道を歩いていた。道明寺の足下は心もとなく揺れている。したたかと酔っているようだ。佐々木は転ばないように道明寺の肩を支えている。
「何だが、今夜はずいぶんチカチカするわね」
「何がだ」
「いつもあんなにチカチカしていたかしら。それても私が酔っているからかしら」
「だから何がだ」
佐々木は道明寺の言っている事が分からなくて声を荒げる。
「軌道エレベーターのライト」
佐々木は見上げる。
たしかに上空に伸びる軌道エレベーターの支柱にしつらえてあるライトが点滅を繰り返している。
「どうだったかな」
「うそでしょ」
驚きながら道明寺はハンドバッグから、あわててタブレットを取り出す。
ペンを一心不乱に走らせ、書き留める。理解出来ない佐々木はしばらく道明寺を観察していたが、いっこうに止まらない手にしびれを切らせて道明寺に問いかける。
「お取り込み中、恐縮ですが、何を書いていらっしゃいますか」
道明寺は、佐々木の方を見ずに一点を見据えたまま返答する。
「軌道エレベーターの点滅に意味があるの。あれはモールス信号よ。それに信号を送っているのはミツオとエリーよ」
一通りの告白を聞いたミツオが口を開く。
「命を救う方法を一つ思いつきました。しかし絶対というものではありません。地上への通信手段が無い今、それしかないと考えます。やらせてもらえますか」
伊集院博士に断る理由は無かった。 協力の同意を得たミツオはエリーと博士に指示を出した。
その間にも軌道エレベーターは静かに上昇を続ける。
同時刻、地上。
道明寺と佐々木が肩を並べて夜道を歩いていた。道明寺の足下は心もとなく揺れている。したたかと酔っているようだ。佐々木は転ばないように道明寺の肩を支えている。
「何だが、今夜はずいぶんチカチカするわね」
「何がだ」
「いつもあんなにチカチカしていたかしら。それても私が酔っているからかしら」
「だから何がだ」
佐々木は道明寺の言っている事が分からなくて声を荒げる。
「軌道エレベーターのライト」
佐々木は見上げる。
たしかに上空に伸びる軌道エレベーターの支柱にしつらえてあるライトが点滅を繰り返している。
「どうだったかな」
「うそでしょ」
驚きながら道明寺はハンドバッグから、あわててタブレットを取り出す。
ペンを一心不乱に走らせ、書き留める。理解出来ない佐々木はしばらく道明寺を観察していたが、いっこうに止まらない手にしびれを切らせて道明寺に問いかける。
「お取り込み中、恐縮ですが、何を書いていらっしゃいますか」
道明寺は、佐々木の方を見ずに一点を見据えたまま返答する。
「軌道エレベーターの点滅に意味があるの。あれはモールス信号よ。それに信号を送っているのはミツオとエリーよ」