時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

出たい番組

2014年08月30日 | かぞく
うちの夫婦はほとんどTVを見なくなりましたが、娘は、家にいれば常にTVをつけるじいちゃんといっしょに、テレビを見ることも少なくない。そのため、けっこう年寄り向け(?)の番組が好き。たとえば「モンドコロ」(『水戸黄門』)。それから『笑点』、大喜利が好きなんだと。

言語調査で不在だった先日、夕飯時に娘が唐突に「出たいTV番組があるんだけど、何だと思う?」と嫁さんに言い出したそうです。聞くと、手を振りながら「いらっしゃ~い」、つまり『新婚さんいらっしゃい』。理由は、番組最後の、「LOVEキャッチ」がやりたいから。ピンクの箱の中に入っているものが分かってる(旅行なんだと)ので、出てそれを開けるんだと。

結婚しないと出られないのは、分かってるそうです。20年は先でしょう。桂文枝さんは90歳台...

大島・吉海地区

2014年08月29日 | ことば
昨日はやはり今治市に所属する大島の南、吉海地区の方に教えていただきました。こちらは大きい島で、人口7000人もあるとのこと。しまなみ海道ができて今治駅からバスで行けるので、島だという感じがまるでしません。



出発前、今治駅近くで食事をしたところ、そこの主人(女性)が客に話しかけるタイプらしく、
「ご旅行ですか?」
「いえ、ことばの調査です。今日は大島に行きます。」
「ことばの...調査...」
と、不思議そうなようす、で、しばらく経って、
「それは...お仕事ですか? 趣味...ですか?

つとめて平静に「あ、仕事です~」と答えましたが、やっぱり不思議そうなようす。言語調査が仕事になる、というのがどうも理解しがたい、ということか、心中「実際、趣味みたいなものかもしれないですけどね...」と。

いっぽう、調査ではいきなり「方言を研究しているということですが、金田一春彦という人はご存知ですか」と尋ねられ、いちおう孫弟子にあたること(2回しか話したことがないけど...)、その人が開発したリストに従って、他の地域と比較する研究をしていることなどをお話して、珍しく「こんなこと調べて何になる?」という反応なしに、調査に入ることができました。

上の写真にあるとおり、山が島の南北を分けていて、村上水軍で知られた宮窪地区とは、あまり交流がなかった、そのせいもあって、ことばも違うという意識がある、とのこと。ニューギニア島に似た、と言ったらおおげさでしょうが、ひとつの島の中にも、あるていど集団と言語の分断が存在した、ということのようです。

大下島

2014年08月28日 | ことば
月曜日から、愛媛県今治に滞在して、言語調査をしています。昨日は、現在は今治市、元は関前村の大下島へ。写真の古い灯台が知られているそうです。地図で見ると小さいけれど、行ってみるとそうでもない。日本は広いな、と調査に来るたびに思わされます。



「涼しい」という理由で話者の方が指定してくださった、港からすぐの郵便局内(兼船待ち場)で調査。下の写真右側の背の低い建物。左脇に赤いポストがあります。ここのベンチに並んで座って録音という、初めての経験でした。



調査を終えて帰りの船を待つ間、郵便局長・兼住職・兼船着場のお世話...という、島で唯一30代の方のお話をゆっくりうかがえました(次に若いのは60代とか)。現時点でお住まいの方は80人程度で、おそらく自分が生きているうちにこの島も無人島になるだろう。この島は生業が漁業ではなく柑橘類を中心とした農業だが、これがダメになったわけではなく、高級品に絞って上手に経営すれば、十分な採算性はあり、それに適したこの島の環境で培われた知識が、後継者がいないために失われてしまうのは残念なこと、とのお話でした。危機言語・方言については、Nettle/RomaineのVanishing Voices等々の本にもあるとおり、言語知識が、その環境・風土に適応して特殊化した生活知識と一体化している部分があって、言語の絶滅により両者がともに失われる、と言われますが、ここも、そういうケースになってしまうのかもしれません。

灯台から降りてくる途中、岩場に降りて、鎌でカチカチと何か掘ってる人を見つけて、話しかけてみました。「岩ガキを取ってるんだ」とのことで、80歳というおじいさん、私がよろよろと歩く岩場を、すいすいと進んで、「あっちでタコを取っている(たぶんタコ壺で)」というご友人のほうへ去っていきました。生業としては漁業をしている人は一人もいないものの、みんな海とは子供のころから親しんできた、ということのようです。



話者のお一人は、この島でずっと農業をやっていた方でしたが、関前村(岡村島、大下島、小大下島)の人以外と対話する機会はほとんどないとのことです。ここは、四国本島側の今治市域と違って、いわゆる京阪アクセントではないようですが、その(地域的にみたときの)特異性の維持には、この交流の少なさも影響しているかもしれません。

ゆるし

2014年08月21日 | 
きのうの午後、娘がやってきて「自転車に乗れるようになりたい」。5歳の誕生日に買って以来、たいして乗っていませんでしたが、何に刺激を受けたんだか。涼しくなるのを待って、夕方、外へ。

大きくなったし運動能力も上がっていて、すいすいと走るので、もう少しやれるかなと、軽い坂道へ移動、先導して走り始めると後ろから「あ~!」という通りがかりの人の声、振り返ると、自転車は横倒、娘は、体全体を道路わきの溝にすっぽりはまり込ませて倒れていました。体中血だらけかと思いましたが、あわてて抱き起こしてみると、幸いにも左の親指の先を少し切っていただけ。聞くと、坂道でうまく登れずハンドルをとられ、あげくにバランスを崩して倒れたようです。

見た瞬間は「何やってんだ!」と思いましたが、これは自分のミス。慣れない人にいきなり上らせる判断がいけなかったうえに、後ろから様子を見るのを怠った、と二重に×。さらに、「まあ大丈夫でしょ」とプロテクターを着けず(ヘルメットは装着)。わりとすぐ泣き止んだ娘に「ごめんね」と謝り、とぼとぼ帰宅。

はたして今日の午後、また「乗りたい」と言ったので外へ。今度はプロテクター着けて、坂道も慎重に。自転車が嫌いになってしまわなかったようで、ホッとしました。

思い出せばここまでも、判断ミス等で怖い目にあわせたり、理不尽な叱り方をしたり、いろいろ彼女からするとひどいことをしてきました。でも彼女はじつにあっさりと、そんなことなかったかのように、笑い、甘えてきてくれます。昨日もそうで、夜は野球ごっこで遊び、今日もいっしょにお絵かき、自転車。彼女とよく似た性格(逆ですが)の、そのお母さんにも、ここにはとても書けないほどひどいことをしてきたのに、これまた驚くほどあっさりと、快く、ゆるしてもらってきました。二人には一生の借りがあると思うし、じつに幸せな人間だと思います。

ひさしぶりに映画 3 idiots

2014年08月18日 | 
日本に戻って以来、お盆には嫁さんの生家に(娘と嫁さん二人で)行っていましたが、休みを他で取りたい事情が生じて、今年は見送り。昨日は、ずっと休みなしでがんばってる嫁さんの気分転換に、久しぶりにDVDで映画。Tsutayaで「何も考えず笑えそうなのを」と選んだのが 3 idiots というインドの映画。たいへん評判だった作品だそうで、インド映画も世界展開をしてるからでしょうか、海外でもウケることを狙った感じがところどころにあって、ちょっと気になるけれど、たしかに面白い。個人的には、友情や恋のお話しよりは、ランチョーが本当は何者なのか分かっていくところがすき。

基本はたぶんヒンディ語。でも頻繁に英語が混じる、いわゆる mixed code。大衆映画で使えるんだから、ふつうに理解されるのでしょう。音楽もすき。とくに最初の歌 Behti Hawa Sa Tha Woh の節回し。最後のシーンの場所がとても美しくて、合成映像で創作したかと思ったら、実在の場所だそう(ココ)。

それから、そこはやっぱりインド映画。みんなで踊る。ただしやや抑え気味かも。このとりあえず踊るの法則を知らなかった嫁さんも、「これくらいなら受け止められる」と。娘は、神頼みのシーンを見て「ゾウ!」。ときどき行くインド料理屋に置いてあるようなカードが壁に貼られているのに注目。

この映画の背景にはインドの教育問題がある、とのことで、実際、登場人物の多くに、エンジニアとして成功することへの強いこだわりが投影されています。それで思い出したのが、むかし勤めていた大学に入学して来た、スリランカ人の学生。「インドでは(でスリランカでも)、工学部に行くのが優秀で、自分もそれを目指してがんばったけどダメだった。それで、そもそも人生に対する希望を失い気味なんです」というようなハナシと記憶してます。

ケーキやさん

2014年08月12日 | かぞく
娘が週末におかあさんとねんどで作ったケーキ。お店も作りました。トングでケーキを箱に入れて、本当にケーキ屋さんになった気分でしょう。



月~金で働いている嫁さんとは週末しかゆっくり遊べませんが、いまのところ、娘にとって否定的に働いているようには見受けられません。お母さんが働くことの影響については研究が進行中のようで、まだ決定的なことは言えない状況だと思われますが、とりあえずうちについていえば、ポジティブな影響が大きいように思えます。嫁さんは仕事が楽しそうで、生き生きとしているし、家庭にもいろいろ話題を持ち帰って、(わたしはもちろん)娘もすべては理解できないなりに楽しんで聞いているようす。

私の貢献は、Starbucksでもらってきた新しいコーヒーのPR用のボードだけ。

パオパオバルーン

2014年08月10日 | かぞく
(前期がやっと、ほぼ終わろうとしています。8つも授業を担当して、ヘロヘロでした。ここにコメントを下さった方、連絡を下さったとか、いろいろな方に礼を欠き、申し訳なく思っております。この場を借りてお詫びを)

昨日、近所の児童センターの予定表に、「パオパオバルーン」とありました。何のことか不明ながら、一つ仕事の区切りもつき、娘と遊び倒す約束だったので、連れて行ってみたところ、発達障害の施設の子たちを迎えていっしょに遊ぶ企画。

とても印象的だったのが、子どもたちの性格が本当にいろいろなこと。いきなり私に近づいてきて「おかあさん」と呼びかけるひとなつこい子、すーっと寄ってきて「ばーか」と言って去る、なにやら斜に構えた子。ついつい遊びの邪魔ばかりしちゃう子もいれば、緊張のせいでしょうか、何にも加わらず、奇声を発する子も。あと片付けを手伝っているとき、その子に背後からつかみかかられたときはびっくりしました。遊びたかったのか、ずっと「敵認定」されてたのか・・・

人の性格がさまざまなんて当たり前のことで、障害とかある種の遅滞のある人たちはこんなかんじ、という漠然としたこちらのイメージが貧困だったのだ、と知られたのは私にとってはとてもいい機会でした。一方、娘はあっという間に慣れ、遊びが楽しいのではしゃぎまくって、難なく終了。いちおう、健常児といっしょに、という企画だったものの、来ている子がほとんどいなかったので、多少のお手伝いにもなれたようです。