時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

カンシャジョウ

2006年04月30日 | Indiana大学
昨日の続きです。昨日の金曜日はもう一つ、東アジア言語文化研究学科(Department of East Asian Language and Culture Studies: EALC)のパーティに主席しました。といってもそこに来るはずのEALCのある先生に用事があって、会えると思って行ったというだけ。今のところ私はこの学科に直接かかわりはありません。あまり知り合いもいないし、ものを食べるのも気が引けてすみっこにいました。で、その先生と話も出来たので「帰ろうかな~」と思っていたのですが・・・

言語学科と同じように年度の表彰が始まり、よくやった院生アシスタントとか、教員とかの表彰が続きました。その途中、なんだか私にも写真の感謝状が用意されていたのです。そういえば、以前小学校の学童保育に紙芝居を読むボランティアに行ったのですが(11/14/2005の記事)、それでした。そのあとも何度もそういう機会があり、行きたかったのですがさすがに院生の生活は忙しく、二の足を踏んでいました。

でも、こんなことをわざわざこんな感謝状まで作って顕彰するとは思いませんでした。しかも、私なんか一回だけ、感謝されるほどでは・・・ 言語学科の台湾の学生Yen-chen、応用言語学科のMさんも同じく感謝状をもらっていました。大げさな感謝状をご覧ください。ともかく「じゃ遠慮せずに食うかー」ということで、フルーツとデザートをたらふく食べました。

思い出してみれば、このパーティにボランティアをやった人は来てください(東アジア言語文化研究所の活動だから)というメールをもらっていました。そもそもだからこそ、このパーティがあることが分かって、用事のある先生に会いに行く気になったのでした。

そんなこんなで春学期終了。いいこともいろいろあったのですが、対処に悩む問題もいくつか発生したし、自分の力がまだまだ全く足りないこと(特に英語!)も痛感させられました。再来週からSummer Sessionという集中講義の週間が始まります。私は月~金で統計学の授業を取る予定です。

春学期の終わりに

2006年04月29日 | Indiana大学
今日は2005-2006年度最後の授業ということで、あっちこっち学部単位で納会をやったようです。言語学科も。いつものパターンでピザではなく、Tina’s cuisineとかいうところから、ちょっとしゃれたサンドイッチとフルーツ、ケーキのケータリングをしてもらって、みんなで立食。卒業生や最優秀論文、最優秀教員などが発表されて、お開き。まだ論文や期末試験はありますが、これでとりあえず二つの学期を通過しました。

私は今日はIUで学士と修士をいい成績で取って、このあとPh.Dではニューメキシコ大学に移籍する、Loganという学生とずっと話し込みました。彼がやりたいのはネイティブアメリカンの言語の記述なのだそうです。で、特にターゲットにする予定なのが、Kiowa TanoanというEthnologueの情報によれば、わずかに6言語が所属する小さな語族。これがNew Mexico州におもに分布するとのこと。彼は院生の初年度IU全体の首席になったほど優秀なのですが、そういう学生をとどめて置けないのは残念なことです。でも彼はもう、この地味な記述研究にキャリアを捧げる決心がついているらしく、文法書を書き上げたいといってました。何十年もかかる地道な研究なんでしょうが、見るといつもコツコツ勉強している彼のことだから、きっとやるでしょう。

写真は、言語学科のあるMemorial Hall という建物の、裏(北側)です。言語学科のWebpageをご覧になった方は、ここがHomeの写真に写っている場所であると分かると思います。ここだろうと前から思ってたんですが、花が咲いて確認できたので、写真を撮ってみました。見えている一番下の階はG(Ground floor)、中2階がある4階建てですから、6層ある建物です。言語学科は3階。その上の最上階に音声学実験室、その向かいにKen先生の研究室があります。

夜中なので静かにしてください

2006年04月22日 | Bloomingtonにて
いよいよ春学期も最終週。二つの発表と二つの期末レポートが控えています。JCCに来ている他の学科の学生さんに聞いても同じようなもの。みんな限界に挑戦中です。私は、音声学の実験は順調で、今日やった知覚実験もまあ成功。3人であれこれ考えて作った合成音声を使った結果、きれいに範疇知覚が得られました(韓国慶尚道方言話者が被験者)。でも、文法論の研究発表はまだまだ未熟で、直されっぱなし。仮説の当否をちゃんとより分けられる実験文が組み立てられてないらしいのです。今週末、やり直しです。。。

さて、写真はうちのアパートの入り口から南向きに、踏切を撮ったものです。ここに引っ越してきた昨夏、時差で眠れない夜に気づいたのが、夜中でも貨物列車が警笛をベーベー鳴らして走ることです。うるさい。最近は気にならず寝てますが。で、不思議なのが、執拗に何度も何度も鳴らすことです。えらくでかい音なので、数回鳴らせば十分みんな分かると思うのですが、警笛を鳴らすことに機関士がご満悦なんじゃないか、と思うくらいしつこい。

で、先日この写真を撮ったときに初めて分かりました。この踏切に遮断機がないのは知っていたのですが、実際踏み切りの様子を観察してみると、警笛をベーベー鳴らしていても、車はぎりっぎりまで通過していくのです。たぶん、列車はたいてい50両以上連なって、しかもとってものろいスピード(たぶんマラソンランナー=時速20Kmより遅い)で通るので、長ーいこと待つことになる。だからできれば先に通過したいんでしょう。で、みんな、ぎりぎりまで突っ込んでくる。接触事故が起きるのではとヒヤヒヤするほどです(見た限り、1秒あるかないか)。一時停止なんでする車、見たことありありません。

これで、執拗な警笛のわけが分かりました。「そこ行くぞ、行くぞ、行くぞ、本当に行くぞ、もうすぐだぞ、本当に来たぞ、通過するぞ!!!」と何度も知らせないと、諦めて止まってくれないんでしょう。

ということで、踏み切りに対する考え方が、自分がなれた日本のものとは全く違うらしく、そのせいで警笛の鳴らし方にも全く違う考えが適用されていると分かりました。リクツは分かってもうるさいものはうるさいので、通るたびに「あーもううるせえ」とぶつぶつ言っております。

大成功!

2006年04月16日 | Indiana大学
この学期中、応用言語学科のYoosunさん、という韓国人学生の被験者になりました。「第二言語習得」の授業の研究プロジェクトで、私の英語を調べます。私はたまたま知り合いの日本人の方の仲介で彼女と知り合い、最終回の今日まで5回、それぞれおよそ2時間ほどのセッションに付き合いました。

質問に答えて話す、絵を見て場面を説明する、DVDの内容を見て日本の文化を話す、Webページを見ながら日本の観光案内をする、などなど、さまざまな手法を使って、私の英語の「誤用」を引き出そうとしていました。で、今日、すべてのセッションを終えたあと、彼女はDebriefing(実験時に隠していた真の狙いの説明)をしてくれました。

まず「あなたは言語学科の院生だから、本当の狙いが分かってしまうのではと心配だったんだけど、何だと思った?」と聞かれたので、「テンスやアスペクトだと思った」と答えました。理由も聞かれたので「さまざまな、とくに時系列で展開する場面の説明を求められたから」と。そうではないかとうすうす思っていたのですが、彼女の研究の邪魔にならないようにできる限り意識しないように、ともあれ内容に集中するようにしていた、と説明しました。

いつものとおり、ニコニコしながら黙って聞いていた彼女は大喜び。実は、私の予想は「大ハズレ」。彼女の真の狙いは「複数形」でした。

今日のセッションの初め、私は単なる雑談と情報提供のつもりで、こんな話をしました。「いっしょに音声学の実験をしているクラスメートと文書を交換して気づいたんだけど、私は単数・複数の一致がだめらしい。いつも直されるんですよー。私はどうやら、時間表現より、そっちが苦手らしいですよ。参考になれば・・・」

彼女はそれを聞いて、「バレたか?」と内心ヒヤヒヤしてたそうですが、当の本人がそうとは全く気づいてなかったことを最後に確認。真の意図が気づかれないまま最後のセッションを終えたわけで、プロジェクトは大成功! 完璧にだまされたこっちは言語学者の端くれとしてなんだかトホホですが、お役に立てたようです。

実験に参加・協力してくれる人を見つける難しさは経験しているし、そもそもどの分野にせよ人の実験を見られるのはとても勉強になるので、二つ返事で引き受けたのですが、「ワタシはこうだまされた」という経験も含め、とても勉強になりました。彼女も逆に、われわれの音声学の実験のために、不足している全羅道方言の話者(なぜか少ない)も紹介してくれたし、いいことばかりでした。

とくに写真はないので、帰りに10thストリートマーケットでこっそり撮ってきた写真を。カタカナで「ミクスドシリアルのクラッカー」と書いてありますが・・・ 本当に日本人に買ってもらおうと思ってるのでしょうか。

Fantastik

2006年04月14日 | 
アメリカに来て、このFountain Parkというアパートで暮らしてもうすぐ8ヶ月。台所周りなどだいぶん薄汚れてきたところもあり、何かスプレーを買いたいと思っていました。行くたびに、あまりにもいろいろな種類が棚に並んでるので、違う用途のものを買うと怖いし、そもそも当座の食料品がどうしても優先になるので、ついつい先延ばしにしていました。

まだ、どれを買えばいいか聞こうにも、周囲の女性は学生が多いので、まともに家事をやっていない可能性大。で、応用言語学のPh.D学生でアシスタントインストラクターもやっているSusan(去年・今年と授業がいっしょ)が、しょっちゅう会うし、家庭を持っていることも知っていたので、聞いてみました。

「ボトルに用途が書いてあるから分かるはず」と言いながらも、一般的な商品名をいくつか書いてくれました。で、写真がそのうちの一つです。SusanはFantasticと書きましたが、Fantastikですね。商品名としてのアイデンティティを出すためにちょっと字面をひねる、というだけだと想像します。「写るんです」じゃなくて、「写ルンです」とするようなもの?

で、さっそく使ってみましたが、肝心の汚れの落ちはいまいち・・・ 残念です。Lysolというのと、Formula 404(とSusanは書きましたがどうやら409)というのも教えてもらったので、次回はそれを・・・ と言っても、いつも同様これもボトルがでかいので、1年は持つのでは。

ちなみに、Susanに教えを請うときに、「あのー、家事はするの?」と切り出したのですが、今から思えば余計なお世話で、ただ「台所のクリーナー、どれを買えばいいか教えて」でよかった。彼女は「えーっと、いちおう夫と50/50でやることになってるんだけど、実際には、彼は20%くらいかな」とわざわざ家庭事情まで教えてくれました。

彼女は忙しいPh.Dの学生で、小さいお子さんもいます。でも、約束したほど男性はやってくれないとのこと。日本でも聞くような気が。でもアメリカの男性、日本の男性よりは家事の責任分担意識が高いのでは、と思っていましたが、まだまだそうでもないのかも(たった一人の例からの判断ですが)。

ついでに写真に入れたのは、そのあとスーパーに寄って買ってきたパンです。こっちには「バゲット」として売っているパンがあるのですが、いずれもふにゃふにゃ。でもこれは本当に硬い。Jalapeno Cheese Batardという名のとおり、ちょっとピリッと辛い。普段は$3.5くらい。今日は$3(もちろん実際には「いつもの」$2.99)なので、ちょっと贅沢ですが買ってみました。重さは20オンス(567g)なので、こっちの相場の中では高いですけど、まあ、安いと言っていいのでは。かなりおいしいです。

もう一度桜

2006年04月13日 | Bloomingtonにて
今日はただ、撮った写真を載せます。

昨日の桜の写真は遠くてよく見えない、と言われたので、今日は近づいて撮ってみました。こんな感じです。桜だと思うんですが。。。

今日もめちゃくちゃ暖かくて、26℃を超えました。

ちっちゃいほう

2006年04月13日 | Bloomingtonにて
これは、キャンパス内で見かける、小さいほうのリスです。やっと最近になって出てきたらしい。寒い間はまったく見なくなりました。大きいほう(これの3倍くらい?)は雪が降るような寒いときもいました。

体の大きさが違うし、こげ茶と白の模様があるので見間違えることはないと思います。こいつは大きいほうにも増してすばしっこいです。撮影したのはキャンパス内、学生会館(Indiana Memorial Union)のドアの脇にある木の下です。

サクラサク 2

2006年04月12日 | Bloomingtonにて
(一つ下の記事からの続きです)
もうひとつ、写真のような桜も見ます。撮ったのはアパートの管理事務所の脇。ちょっと枝が下向きに「しだれ」た、日本にもあるタイプでしょうか? でも見つけた限りこのタイプはつねに一本だけ植わってる。ピンク色の桜が見渡す限り連なる、といった風景は見られそうにありません。

さて、今学期もあと3週間となり、レポート、音声学のグループ実験の論文化(われわれは知覚実験をやるのでまだまだ)、最終成果の発表などを抱えて、ちょっと追い込まれてきました。

Minimalist Programを勉強しはじめましたが、私はここまでの印象ではけっこう懐疑的です。とくに「目に見える移動より見えない移動のほうが経済的だ」というのは「ウソ」だと思います。北川先生は、文法システムは文の生成・理解の両方のモデルであり、いずれも同じ順序(Numeration→Mergeなど→Spell-Out)で処理が進むとすべきだとのこと。それなら文理解のコストの高さも問題になるはずだと思います。目に見える移動がない入力をLFのレベルたくさん移動するとしたら、こっちのコストもけっこう高いと考えるべきでしょう。だいたいからして、PFの移動が「目に見える」と言ったって移動処理自体はPFへSpell-Outする前でやってるわけで、これだって頭の中(言語認知部門)の作業です。声に出す(物理レベルの処理)だから負担が高いなんてはずもない。

実際にこの問題をまともに議論すればせいぜい「目に見える移動も見えないものもコストは同程度だ」という結論にしかなりえないのではないでしょうか。「PFにかかわる移動の方が負荷が高い」とすれば説明になると考えるのは、結局Chomskyが音のことは大してまともに考えてないから(だからそっちのせいだと言っておけばいいと思いがち)だとしか思えません。

ともあれ、そのMimimalistに基づいた論文について来週発表せねばなりません。勉強始めます(ヘロヘロ)。

サクラサク 1

2006年04月11日 | Bloomingtonにて
ちょっと暖かくなったと思ったら、めちゃくちゃな雷雨が来て、また冬みたいに冷えるという繰り返しが2週間くらい続いたら、急に5月みたいな陽気になりました。今日は気温が25℃くらい。「1週間で3ヶ月」みたいな気候の進み方はちょっと辛い。

NPRのニュースによれば春の初めはTornado Seasonだそうで、実際二つ南のテネシー州だかで、人が何人も亡くなりました。ここの雨の降り方は極端で、降ればたいてい土砂降り。こんなに降るところだとは思いませんでした。とくに今の時期はまずたいてい激しい雷を伴うようです(2秒に一回は閃光と轟音が)。でも今日は頭がボーっとなるほど暖かいです。

気がついてみると桜が咲いていました。つぼみを見つけるいとまもなかった。写真は言語学科の校舎が面している 3rd street(この区間は一方通行)を Biology の校舎あたりから東向きに撮影したものです。いちおう、桜並木・・・ 白いですね。このタイプがわりとあちこちに植わってます。芝も暖かくなったら勝手に色が変わる種類らしく、もうきれいな緑色です。芝刈り機を持ち出して自分の庭の芝を刈るおじさんの姿も見かけるようになりました。

居残り

2006年04月09日 | Indiana大学
先週「重要なことなので絶対来い」という呼び出しメールが来て、時間の予約を取り、行ってきました。パスポート、ビザ、入学許可証、I-94(入国記録)等持って来いとあります。わけがわからないまま行ってみるとそこは体育学部のとあるコンピュータ教室。時間になると学生スタッフが来てスクリーンになにやら映し、説明もないままセッションがスタート

「留学生、外国人教員のためのCINTAXというウェブサイトに入って作業せよ」というスクリーンの指示にとにかく従って進むと、最終的にPCで入力した自分の情報が入った4種類の公文書が出来上がりました。それが画像のもの。税金にかかわることをやっているのは分かりましたが、目的はよく分からない。スタッフに「なんなのか全然分かりません。次はどうするんですか?」と聞くと「州の税金についてはオンラインじゃなくて、手書きをお奨めしているのでそうしてください」と。再び指示通り、州のサイトから4種類の書類をダウンロード。

合計8種類の謎の書類が手元に。一部のスタッフは雑談しててちっとも相談に乗ってくれないし、そのうちほとんどが帰ってしまい、どこをどう記入していいか分からない書類を前に呆然としていると、やっと面倒見のいい人が一つ一つ付き合ってくれました。その人に「そもそもいったいこれは何のためにやってるんですか?」と聞くと「えっとね、これはあなたの税金をとりあえず見込みで預かるんですよ。それで・・・・」と非常~に基本的なことを説明してくれて「やっぱりこれは『確定申告』だったのね」と分かりましたが、こういうまったくの初心者もいるんだから「今日はこういう趣旨です、作業してください」とひとこと言っておいてくれればいいのに。(こっちがバカなのかもしれません)

たった一人最後まで残ってくれたとっても親切な学生スタッフ(彼も留学生)のおかげで何とか、「あとちょっとで完成」というところまで持っていけました。これを自分で合衆国と、州それぞれの税務署に郵送するんだそうです。2時間30分もかかりました。なんか、昔からこういうのは要領が悪くて、しばしば「居残り」になってたような。日本でもやったことがなかったので、違うシステムの国で違うことばでやられたらなおさら分からない。来年からはもうちょっとすみやかにやりたいです。

結局たぶんこれは留学生のために確定申告を手伝ってやるから来い、というセッションらしい。おかげで、数百ドルの還付を受けることができるようです。

ちなみに、「ビザの種類は何だ」「かつて別のビザで入国したことがあるか」「いつ入国した」「2005年の間にアメリカの外にいったん出たか」等等も聞かれます。(当たり前のことですが)われわれは国内では「国籍」に守られていて、いったんその「域外」に出ると、いろんなことにさらされるんだな、というのをこういう機会のたびに実感します。