時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

トホホ2題

2007年09月21日 | Indiana大学
今日のHistorical Lingisticsの授業で、驚いたことを2つ。

今日は論文を2本読んできて討論。人によって評価が正反対。私が「ぜんぜんだめ」と思ったほうを多くの人は評価、逆に非常によかったと思ったほうに多くの人は否定的。後者はJohn OhalaのPhonetics and Historical Phonology、彼の有名な「Listers as the source of language change」の話でしたが「考え方が狭い」「聞き手だけ見て、話し手が起こす変化について考えてない」「きれいだけど現実に当てはまるとは思えない」などさんざん。個人的には誤解に基づく批判の部分が大きいと思う。

さらにさらに驚いたこと。編み物をしているヤツがいた。  授業中に。  大学院生。  アリなのか? アメリカでは。あとでフランスのAmandineに話したら「フランスでもそれはダメ」とのこと。先生からはっきり見えるところでやっているのにお咎めなし。叱ろうよ、先生。。。

ていうか、大丈夫なのか言語学科。

大丈夫なのか、俺の留学生活。

ワークショップ終了

2007年09月17日 | Indiana大学
1ヶ月をかけて準備したワークショップが終了しました。主催者側になるのはしんどいけど楽しみはもっと多いもの。本番2日間は楽しむことに徹しました。かなりのゲストを迎え、イベントを大過なく終えることができて、細かいミスはあったのですが、全体としては大成功だったと思います。写真のとおり、最大60人以上の参加。かなりの盛況。

私は最後の発表でしたが、まあ好意的に受け止めてもらえたよう。直後に午後のセッションを振り返ってのディスカッション。そこでも発表内容を受け、「研究手法」について(意見の違いはあれど)実り多い議論がなされました。われわれの発表は「容認性判断(その文がおかしくないか)から文法性判断(その文がその言語の文法に合致しているか)を取り出せるか」という話でしたが、Discussantに立ってくれた方は「容認性判断にかかわる、語用論、認知、韻律、語彙などの要素をそぎ落としていって最後に「文法性」というものが残るのか。「何も残らなかった」ってことだって、あり得るんでは?」と言う。

じつはこの考え方は嫌いじゃない。IU同級生のVolod(心的辞書が専門)もあとで「文法性判断が取り出せる」なんて思うの? と質問しに来てくれましたが「容認性判断の中に明瞭で一貫性のあるパターンを見出だせた、それでSyntaxの理論がチェックできる、それだけで十分満足。『文法性が取り出せるか』なんて議論までは関わる気は、個人的にはない」と言ったら「それなら納得」とのこと。

「容認度が言語研究につかえるのか」「一人二人の信頼できる(?)判断と、多人数の判断はどっちがいいのか」(私はもちろん後者)という議論もなされて、わが師匠De Jong先生と、ゲストのKluender先生からは「容認度に信頼性があるか」と言う研究論文が10年位前にLanguageに載ったから見てみたら、というアドバイスをもらいました。ご参考までに、これです。

E. G. Bard, D. Robertson & A. Sorace
Magnitude Estimation of Linguistic Acceptability
Language, Vol. 72, No. 1. (1996), pp. 32-68.

容認性のスケールはいくつがいいのか、等間隔と扱っていいのか、という問題がじつはいちばん気になっていたので、こういう反応があると、発表してよかったと思えます。

終了後のディナーで人数が足りず「参加者名簿は?」とK先生が言い出しましたが、持って行って忘れたのは当人。ほとんど徹夜続きで数週間がんばりまくって、最後はほっとしたんでしょう(そう言ってました)。ということでこれはご愛嬌。食事後はOrganizerでカラオケ。私は(他のみんなも)アメリカに来て初めて行きました。カラオケ大王の私は、大いに楽しみました。かわりに金・土の時間を使い切ってしまいました。大量の宿題が待ってます。今日一日で何とかしないといけません(じつはWorkshop中に少し内職)。

追記:イギリスの空港からS.O.S電話をかけてきた友人は無事たどり着き、研究テーマの近い彼と夜遅くまで話しこみました。これも今回のお楽しみの一つ。

早朝の国際電話!

2007年09月11日 | 
学期始まり、ワークショップも近づき忙しくなりました。もともと学期中は生活が単調で、勉強ばかりしているので書くこともあまりないんですが、記事も滞り気味。でも準備もほぼ終わり、うちに1人お客を迎えることになって、楽しみになってきました。

今日の早朝まだ寝ているとき電話。出てみるとその友人。ヨーロッパの出張先から来る彼は、空港で搭乗手続き中。宿泊先(ウチです)の住所を伝えないと航空券を発券しないと言われたのだそうです。なんの手違いか、K先生がぜんぜん違う電話番号を伝えていたことが分かり、「正しいのはこれ」とメールで伝えておいたんですが、それが命綱になるとは。住所も教えておけばよかった、っていうか、伝えてなかったの?? (だめじゃんK先生) 日本から一大事の電話か!? と思ったので正直ほっとしました。

われわれもドイツから戻るとき非常に厳重なチェックを受けて、ヨーロッパからアメリカ、それもどっちの市民でもない人間の移動はとても警戒されることを思い出しました(8月14日の記事です)。外はまだ真っ暗。TVのニュースをつけてみると6時過ぎ、Ground Zeroから中継。そういえば今日は9.11。偶然ながら友人も大変な日に来ることになりました。無事に着くといいのですが。