TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 172

2018年07月01日 | エッセイ
 エキストラの仕事を直ぐに辞めなかったのは楽しい仲間が周囲にいたことと、仕事自体が意外と面白かったからである。エキストラを始めたころは、プロの役者と絡み、セリフまであった。そしてセリフがあると特別なギャラまであった。だが、これはすぐに無くなった。また、ユリカモメに乗ってフジテレビの本社で仕事がある場合、あの高いユリカモメの交通費は出なかった。町田の方に住んでいる私と仲の良かったエキストラは、フジテレビでの仕事では、自腹で交通費を払うと、自宅からの交通費がギャラを大幅に上廻ってしまうとこぼしていた。だが、その仕事を断ると次の仕事が貰えなくなるので、泣く泣く引き受けていたようだった。

 我々プロのエキストラはまだいい。少ないがギャラが支払われ、食事時には飲み物とロケ弁が配られた。インターネットで集められた素人のエキストラは交通費も食事も出ない。終ると百円程度の記念品が配られるだけだ。大きな劇場のシーンにはこの手のエキストラが動員された。断り切れないほどの人数の応募があるそうだ。それによりプロのエキストラの仕事は減り、ギャラの単価も下げられた。そしてドラマは面白くなくなった。同じエキストラでもプロと素人では雲泥の差である。

 殆どの仕事は楽しくやれたが、中には辛い現場もあった。夏に冬支度をさせられ、寒そうにしていなくはならなかったシーン。炎天下に厚手のオーバーを着せられ、マフラーまでさせられて、どうすれば寒そうな顔が出来るのか。冬に夏支度も大変だった。真冬の夜の野球場の観客席に半袖一枚で座らせられたのでは堪らない。撮影が長引けば深夜まで続く。私はそれには参加しなかったが、12月の寒い日に東京湾で船に乗せられた人たちがいた。全員が半袖のシャツに半ズボンだったそうだ。その話を聞いて、同情するより笑い出してしまった。私は東京湾で釣りをしていたので、冬の東京湾の寒さを肌で知っている。釣り用の上下の保温下着を着、純毛のシャツとセーター、それにダウンジャケットを着ていても冷たさが肌を刺す。

 前回の冒頭に述べたように、このような安いエキストラでも経費節減で使用を抑えている。現実味を覚えないドラマは見ていてもつまらない。私はエキストラの仕事を辞めてしまってから久しいと前回に述べたが、当時仲良くしていた人たちも大方は辞めてしまった。だが、付き合いは続いている。ともに苦労した仲間は大事な友人である。

 雨を覚悟で代官山にある「旧朝倉家住宅」に行ったが、運よく雨は一滴も落ちてこなかった。いつ雨が降ってきてもいいようにと庭から先に撮り始めた。前日までの雨の名残が石畳に残り、風情ある被写体に感謝した。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/13秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 大正8年(1919年)に建てられた朝倉邸に使われていたガラスは、明治時代のものより多少良くなってはいるがガラスの表面にゆがみがあった。日本民家園の明治時代に建てられた原家のように窓ガラスに大きなゆがみがあると、写真を撮っていて非常に楽しくなる。このゆがみを写真にどのように活かそうかと楽しい想像を巡らせてしまう。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/50秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/50秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS7Dに17-40mm、4Lを装着。 ISO:800、 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


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