なかなかいいサイトがないなーと嘆息してたら、自分自身の日記が突然現れた。
「ぼくの大好きな山之口獏という詩人」
ちょっと前、故郷沖縄へと数十年振りに帰ったこの詩人の映像を見た。宮沢賢治・金子光晴同様に関東大震災が詩作の出発点の詩人だ。方言の訛がきつかったので、何度か死ぬ目に会ったのではないかと思う。
(関東大震災後に約一万人の朝鮮半島の人々、中国人、ドモリや訛のきつい人々が、「君が代」が上手く歌えず自警団に撲殺された・・)
注:高群逸枝の自伝的作品にも怪我をして留置所に入れられた沖縄人を探して救い出す話が書かれてた。
ぼくの好きな反戦詩は断然これらだ!戦争を生みだす社会への反対の詩もまた反戦詩だと思う。プロフィールのページにある「生活の柄」という彼の放浪者生活を彷彿とさせる詩もまた
「紙の上」 山之口獏
戦争が起きあがると
飛び立つ鳥のように
日の丸の羽をおしひろげ
そこからみんなで飛び立った
一匹の詩人が紙の上にいて
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ だだ と叫んでいる
発育不全の短い足
へこんだ腹
持ちあがらないでっかい頭
さえずる兵器の群をながめては
だだ だだ と叫んでいる
だだ だだ と叫んでいるが
いつになったら「戦争」がいえるのか
不便な肉体 どもる思想 まるで砂漠にいるようだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかえる
その一匹の大きな舌足らず
だだ だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ だだ と叫んでいる
「世はさまざま」
人は米を食っている
僕の名と同じ名の
獏という獣は
夢を食うという
羊は紙も食い
南京虫は血を吸いにくる
人にはまた
人を食いに来る人や人を食いに出掛ける人もある
そうかと思うと琉球には
うむまあという木がある
木としての器量はよくないが詩人みたいな木なんだ
いつも墓場に立っていて
そこに来ては泣きくずれる
かなしい声や涙で育つという
うむまあ木という風変わりな木もある
「底を歩いて」
なんのために
生きているのか
裸の跣で命をかかえ
いつまで経っても
社会の底にばかりいて
まるで犬か猫みたいじゃないかと
ぼくは時に自分を罵るのだが
人間ぶったぼくのおもいあがりなのか
猫や犬に即して
自分のことを比べてみると
いかにも人間みたいに見えるじゃないか
犬や猫ほどの裸でもあるまいし
一応なにかでくるんでいて
なにかを一応はいていて
用でもあるみたいな
眼をしているのだ
「ぼくの大好きな山之口獏という詩人」
ちょっと前、故郷沖縄へと数十年振りに帰ったこの詩人の映像を見た。宮沢賢治・金子光晴同様に関東大震災が詩作の出発点の詩人だ。方言の訛がきつかったので、何度か死ぬ目に会ったのではないかと思う。
(関東大震災後に約一万人の朝鮮半島の人々、中国人、ドモリや訛のきつい人々が、「君が代」が上手く歌えず自警団に撲殺された・・)
注:高群逸枝の自伝的作品にも怪我をして留置所に入れられた沖縄人を探して救い出す話が書かれてた。
ぼくの好きな反戦詩は断然これらだ!戦争を生みだす社会への反対の詩もまた反戦詩だと思う。プロフィールのページにある「生活の柄」という彼の放浪者生活を彷彿とさせる詩もまた
「紙の上」 山之口獏
戦争が起きあがると
飛び立つ鳥のように
日の丸の羽をおしひろげ
そこからみんなで飛び立った
一匹の詩人が紙の上にいて
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ だだ と叫んでいる
発育不全の短い足
へこんだ腹
持ちあがらないでっかい頭
さえずる兵器の群をながめては
だだ だだ と叫んでいる
だだ だだ と叫んでいるが
いつになったら「戦争」がいえるのか
不便な肉体 どもる思想 まるで砂漠にいるようだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかえる
その一匹の大きな舌足らず
だだ だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ だだ と叫んでいる
「世はさまざま」
人は米を食っている
僕の名と同じ名の
獏という獣は
夢を食うという
羊は紙も食い
南京虫は血を吸いにくる
人にはまた
人を食いに来る人や人を食いに出掛ける人もある
そうかと思うと琉球には
うむまあという木がある
木としての器量はよくないが詩人みたいな木なんだ
いつも墓場に立っていて
そこに来ては泣きくずれる
かなしい声や涙で育つという
うむまあ木という風変わりな木もある
「底を歩いて」
なんのために
生きているのか
裸の跣で命をかかえ
いつまで経っても
社会の底にばかりいて
まるで犬か猫みたいじゃないかと
ぼくは時に自分を罵るのだが
人間ぶったぼくのおもいあがりなのか
猫や犬に即して
自分のことを比べてみると
いかにも人間みたいに見えるじゃないか
犬や猫ほどの裸でもあるまいし
一応なにかでくるんでいて
なにかを一応はいていて
用でもあるみたいな
眼をしているのだ
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