詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

詩 硬直した多面体世界

2020年08月27日 | 最新の詩
母の介護の思い出に浸ってると
吹いてゆく風のなかから
ぼくを呼ぶ母の声がしたような気がした
みどりしたたる山並みの真ん中で

それからだまし討ちみたいに
ボーナス直前に告げられたクビの秋が
駆け足で木の葉を散らせる
最愛のきみの死の知らせがやってきた

ついにはぼくも
立ち尽くすしか能がない
一本の折れやすい棒切れになってしまった
季節外れのトンボに首を傾げられながら

気がつくと世界はいつの間にか
棒のような影と
影のような言葉とが行き交う
まるでみたこともない硬直した多面体世界に


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