裁量労働制に関する厚生労働省調査の不適切なデータの使用や学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書の改ざん問題など相次ぐ官僚の不祥事で、安倍政権は官庁の再編成を検討し始めたと、日経が記事を載せていた。官庁のあり方を、行政が主導すると、ろくな事が起こっていない。科学技術の進展が死に体になりつつあるのがその例。官庁を定年退職した連中は、政府の力が強すぎて、内閣に忖度しっパナっしという。内閣府に設けた内閣人事局がそもそも官僚の正義感を根こそぎ奪ったとおもう。
以下のその内容:::
安倍晋三首相(党総裁)の直轄組織、党行革本部(甘利明本部長)は3月下旬、各府省に文書を出した。5月にも党内議論を始め、年内を目標に新たな中央省庁のあり方を首相に提言する。
本部長の甘利氏は首相の盟友。文書を受け取った各府省に衝撃が走った。文書は「社会・経済状況の変化による新たな行政需要と既存の行政体系との整合性などについて」意見聴取すると通告した。「橋本行革における中央省庁再編から20年近くが経過した」ともつづった。
前回の省庁再編の背後にはバブル崩壊後の金融行政への国民の不信感や薬害エイズ事件の官僚不祥事があった。今回の省庁再々編構想の底流にも厚労省の不適切なデータや森友問題など行政への信頼失墜がある。政府が存在しないと説明していた陸上自衛隊のイラク派遣の日報に関し、陸上自衛隊が存在を把握していた問題も発覚した。
再々編構想が実現するかどうかは時の政権の求心力と連動する。党行革本部の文書を受け取った府省でささやかれているのは「首相は9月の自民党総裁選の公約にして3選した後に、この再々編構想を政策課題に据えるのではないか」といった見立てだ。
3選は総裁任期である21年9月までの退任を意味し、政権が「死に体」(レームダック)になりやすくなるリスクもある。省庁再々編構想は、そうならないための仕掛けにもなり得るからだ。
党行革本部はまず複数の省庁が統合して誕生した厚労省や総務省、国土交通省を中心に現状の組織のゆがみについて聞き取る。業務内容の重複に加え、時代の変化に合わせた政策立案をできる体制かも協議する。組織が肥大化している厚労省や総務省の解体・分割案も取り沙汰されている。
厚労省の組織分割・再編を巡っては麻生太郎副総理・財務相が首相だった09年にも検討した。当時、麻生氏は年金、医療、介護を所管する「社会保障省」と、雇用、少子化対策などを担う「国民生活省」に再編する案を主張した。
最近は時間でなく、成果で評価する「脱時間給」創設など労働行政への関心が高まっており、厚生行政と労働行政の分離論も出ている。総務省、経済産業省など複数の省にまたがる現在の情報通信行政の統合や、総合的な通商戦略を担う「日本版通商代表部」の新設も論点だ。
麻生氏は否定的だが、森友問題で揺れる財務省を巡っては国有財産の業務の同省からの分離のほか、「歳入庁」構想も再燃する。党幹部は「01年は組織の数を減らすことを優先したが、行政機能が低下すれば本末転倒だ。今後30年後、50年後の日本を先導できる省庁のあり方を議論したい」と話す。
01年の省庁再編の目的は省庁の縦割りを排し、政治主導の体制を整えることだった。各府省の幹部人事を事前承認する首相官邸の人事検討会議や、14年に発足した内閣人事局で幹部人事を決める。官僚側には「官邸に人事権がある以上、どうしても官邸の意向を忖度(そんたく)してしまう」といった本音も漏れる。
森友問題などは官僚の忖度の有無に焦点が当たった。01年の省庁再編は官邸主導による迅速な政策運営を促し、その目的は達成しつつある。基本的にこの流れを後戻りさせてはならない。ただし森友問題などは官僚の忖度が政策をゆがめかねないという政治主導の課題を提起した。