Amazon Goは、一言でいえばアメリカで最近増えてきた「軽食コーナー併設コンビニ」の、軽食コーナーのみが独立したような店舗だ。だから、弁当や各種飲料、お菓子類は充実しているが、一般的なコンビニほどそのほかのアイテムは充実していない。
オープン当初に報道された「入店待ち行列」は、訪問した2月初旬時点で既になかった。日本のコンビニ程度の広さの店舗に、多くの人が入店しては、レジ待ち滞留なく次々に店内から出てくる「回転率が異常に高い小売店舗」。それがAmazon Goを最初に見たときの印象だった。
店舗に近づくと、玄関口外側には数人のスタッフが立っている。彼らは、来店者に買い物バッグを配布したり、入り口で少しでも戸惑っている客がいれば、すかさず声をかけて利用方法を説明したりしている。
入店にあたってはスマートフォンに3つの設定が必要だった。
- 「AndroidまたはiOS端末(スマートフォン)」
- 「Amazon Goアプリ」
- 「Amazon.comのアカウント」
入店のための事前準備周知がまだ十分でないのか、店頭前で説明を受けつつ端末を操作する客は、滞在中の3時間ほどの間に何組もみかけた。
オープン初日に報道された大行列が消えたのは、当初は物珍しさで集まった人々が減って、おそらく2回目以降の来店客が中心となったからかもしれない。
初期設
- ゲート通過前には、アプリに表示されるQRコードをスキャンすること
- 1つのQRコードで何人ゲートを通過させても良い(ただし1人が通過するごとにスキャン)
- 棚の商品を手に取るとバーチャルカートに追加され、戻すとカートから削除される
- バーチャルカートは入店時にスキャンしたQRコード情報に紐付いており、同じQRコードでゲートを通過した客全員で1つのバーチャルカートを共有する
- 店内での客同士の荷物の受け渡しは厳禁
- チェックアウトはゲートから出るだけ。後でバーチャルカートの内容がまとめて決済される
店内での人同士の商品の受け渡しは厳禁。これは棚からの取得行動がそのままバーチャルカートへの追加と認識されているため、正しい精算が行えなくなるから。
いよいよ入店。ゲートに読み取り機があるので、アプリに表示されているQRコードをかざすと、すぐに「go」の表示が出て中に入れる。
スマホが必要なのは、この入店の瞬間だけだ。いったん店に入ってしまえば、あなたの行動は店内に設置された各種センサーで常に追跡され、自身に紐付けられたAmazon.comアカウントに対して会計処理が進むからだ(この処理メカニズムを観察すると非常に面白い。詳細は後半で紹介する)。
日本でも受けそう? 充実した軽食を取揃える店内
入店すると、目の前には流行のオーガニックブームを反映した品揃えと、お洒落な内装。アマゾンが買収した高級スーパー・ホールフーズのオリジナル商品のほか、現地シアトル発祥のスターバックスコーヒーの商品、さらには同店のみで購入可能な「Amazon Goグッズ」の販売もあった。
一方で、肉系の食品やハーフガロン(約1.9L)サイズの牛乳、今晩のおかずを作るミールキットも販売。家庭の食料買い足しにも利用できるスーパーマーケット的な側面もある。
奥には酒販コーナーもあり、このエリアのみ唯一人手を借りて専任スタッフがIDチェックをしていた。
Amazon Goの本領である「レジ精算をしない」買い物体験は、本当に強烈なものだった。来店者は、「棚から好きな商品を取る」「そのまま店外に出る」だけで決済が完了する。アマゾンはこのレジなし決済技術の詳細について明かしていない。
店舗の中は、さながら各種センサーの実験室のようだ。天井を見ると至る所にセンサーらしきものが設置されていることがわかる。
監視カメラのような仕組みを使って、来店者の全行動を把握。棚の位置から商品を特定するほか、画像認識など複数の技術の組み合わせで追跡システムを実現している。これによって、「仮想買い物かご」である「バーチャルカート」の仕組みを実現している、というのが筆者の予想だ。
気になる行動解析システムの認識精度はどうなのか? システムを混乱させるために、あえて「素早く何度も商品を取り出したり戻したりする」「しばらく店内を徘徊してから商品を戻す」「商品を取り出すときにわざと布で表面を隠してカメラでの識別を難しくする」といった行動を試してみた(結果はのちほど)。
さて、買いたい商品をカバンに入れて退店してみる。退店時にはオフィスビルのように一人ずつゲートを通って外に出る仕組み。興味深いことに、実はこの時点では決済処理は行われていない。
それどころか、自分のバーチャルカートに何が入っているか(何を買ったと認識されているか)も確認できない。カートの中身を確認できるのは、退店後から10分ほど経過してからだ。
具体的には、退店直後にアプリを見ると、「Thanks for visiting!」と表示されていた項目に、10分ほど経過すると商品点数が表示される購入品目と滞在時間、商品の価格を確認できる。必要なら、この時点からリファンド処理などの修正も行える。
この時点ではまだ決済は完了していない(保留扱い)。決済が行われるのは、退店からさらに1時間以上が経過してから。ステータスが「completed charges」になり、決済完了がアプリで報告される。
それで、先ほどのシステムを混乱させる行動の結果は? もちろん結局すべて正確に認識されてバーチャルカートの決済が行われていた。