中露戦闘艦隊10隻が日本列島を周遊したとか、日米豪印などの軍事演習があったりとか、米英豪同盟が戦艦や原子力潜水艦を新たに作って、南シナ海を航行しようとしたりで、軍事的摩擦が生じている。

このそもそもの原因は、ひとえに、南シナ海の資源を狙ったものだと思う。そして、太平洋に自由に、商船や艦隊がでれる航路確保という大命題が、合体しているので、遮二無二、領有化しようというところにある。

そのあたりをダイアモンド誌が解説していた。以下その要約:::::::::::::::::::

 さらに海域内には豊かな漁場があり、そこでの漁獲量は世界の1割超になる。さらに海底には膨大な原油と天然ガスが眠っているとみられており、南沙諸島の海底油田の埋蔵量は20億バレルとも2000億バレルとも推測されている。

 つまり、南シナ海を支配することによる利益は膨大なものであるため、中国は周辺国と対立してでも自国の支配下に置こうと考えているのだ。

 国際裁判所の判決を無視し人工島を軍事施設化する中国

中国が南シナ海の領有権に言及しはじめたのは意外と古く、1950年頃から「九段線」という独自の境界線を設定し、南シナ海のほぼ全域に主権や権益が及ぶと主張してきた。

 これに対抗しているのがベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾だ。これらの国・地域は中国同様に自らの領有権を訴え、一歩も引こうとしない。

 ベトナムは1974年と1988年に中国と武力衝突している。さらに2012年にベトナムが南沙諸島と西沙諸島を自国領とする海洋法を成立させると、中国も海南省に南沙諸島と西沙諸島を含む「三沙市」を設置するなど、両国はさまざまな駆け引きを繰り広げているのだ。



 そうしたなか、2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が重要な判決を下した。仲裁裁判所は、1994年に発効した「国連海洋法条約」に基づき、中国の南シナ海における主権主張を退ける判断を示したのである。

 ところが中国は、仲裁裁判所の判決に従おうとしない。それどころか、判決を“紙くず”呼ばわりして無視したうえ、岩礁を埋め立ててつくった人工島に滑走路やレーダーなどを建設しはじめたのである。

 これは明らかに軍事施設で、中国の海洋進出を警戒するアメリカを刺激することになった。

ハーグにある、世界仲裁裁判所が、南シナ海の中国所有権を否定したにもかかわらず、固執する理由は、2つ、資源狙いと太平洋進出航路の確保である。

日本政府も、憂慮しているようで、令和3年の防衛白書にも以下のように展開されている。