NASAのWebサイトに、半世紀前に打ち上げたボイジャー1号との通信を復活したと出て居た。同時期に打ち上げられたボイジャー2号と共に惑星や近太陽系星間の姿を50年近く明らかにしてきた。今更ながらアメリカの発想力と実行力に驚かされる。日本は素材や部品は、どの分野をとっても世界最高だが、大きなシステム構築は得意ではないかも。しかし新幹線やリニア高速鉄道をとっても、能力は十分あるかと思うので、宇宙開発ではどうかとボイジャー事業を見た。具体的な技術開発では日本は十分の能力があるが、構想力と実行力では、今一だと思われる。以下その理由を述べる。
ボイジャー1号はNASAが1977年9月5日に、宇宙観測衛星として打ち上げられ、木星、土星、天王星、海王星、そして星間物質で数々の下記の土星の表面などのような数々の自然を明らかにした。なお、ボイジャー2号の方が1977年8月20日と1号より2週間早く打ち上げられている。
まず構想力:50年前のロケットの推進力は、冥王星とか遠くまで飛ばすことが出来なかった(と思う)から、近くの惑星まで飛ばして、遠心力で遠くまで飛ばすという発想は、失敗する確率も高そうで日本人には出来そうもない。
2024年5月2日現在地は、地球から243億7367万km以上(162.9天文単位以上)、太陽から243億3311万km以上(162.6天文単位以上)離れた太陽系を離れた、星間空間。地球から光が到達するのに約22時間35分かかる。この距離は約0.002576光年。NASAのディープスペースネットワークで超長距離通信を行うというが、日本にそんな技術はあるだろうか?
次は衛星の制御システム。ボイジャー1号のCPUは制御用の「RCA1802」8bitマイクロプロセッサで、一般PC のApple2(6502)やPC-8001(Z80)に相当。 メモリは64KB程度で、駆動周波数は4~6MHz。それで、観測データの収集と送受信制御している。現在のスマホやPC のCPUは数G~数拾GHzの駆動周波数である事を、考えると制御は簡単ではなさそう。電源は原子力電池で動かしている。
原子力電池は、プルトニウム238やポロニウム210、ストロンチウム90と言った放射性核種の原子核崩壊で発生する熱を、熱電発電素子により電力に変換するものでボイジャーには3個搭載され、実用される原子力電池にはアルファ崩壊を起こす核種であるなどが用いられ、3個で470W, 30Vを得て居る。日本では原子力はアレルギーがあるから開発出来ないかも。
QuoraというWebサイトが、ボイジャー1号の軌道を表示しているが、写真(Wikipedia掲載)のようにボイジャー1号自体はエンジンがないので、打ち上げロケットの初速だけで惑星近くを通った時の遠心力で太陽をセンターとする楕円軌道を描く。
打ち上げから47年経っているから、色々の不具合や痛みが出て居て、2023年11月に、飛行データシステムの遠隔測定モジュールの送信データが解読不可能になったという。
2024年3月1日にNASAのディープスペースネットワークで、診断コマンドを送り、飛行データシステムの遠隔測定モジュールのメモリーの3%が破損していたことが分かったという。そのメモリー上にあるはずのソフトウエア・モヂュールを判別し、別のメモリーに格納すべく、そのソフトウエア・モヂュールを4月18日に送信。2日後の20日、ボイジャー1号から、再び解読可能なデータを受信できる様になったという。これは単なるコード修正作業ではなく、超遠距離通信システム、その通信方式、制御ソフトウエアなど複雑なシステムを構築使い回せるIT 技術がいるが日本で実現できるだろうか? 難しいと思う。
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