Webアクセスの新しい通信プロトコル「HTTP/3」が登場した。従来のHTTPよりもWebアクセスを劇的に効率化する。HTTP/3が登場した背景やその仕組みを解説する。グーグルが主軸になって開発したWebアクセス速度やセキュリテウィを改善したHTTP3が、大規模Webアプリから使われるようになるだろう。
Webアクセスに使われている通信プロトコルHTTPは、1997年に、そのバージョン1.1であるHTTP/1.1が登場。だが、Webのトラフィックが膨大になるにつれて、より効率的なプロトコルが求められるようになった。
それで、2015年にHTTP/2だが登場し、同時に複数の通信が可能なストリームという通信路を作るなどの効率化を図っている。しかし、それでも、TCPで様々な制限がある。
まず、接続開始時にハンドシェークによりコネクションを確立するため、その分の遅延は避けられない。また、再送処理を行うため、パケットロス時の速度低下が大きい。HTTP/2では暗号通信にTLS(Transport Layer Security)を利用するが、TCPヘッダーが暗号化されないため、通信を妨害する攻撃が可能だという問題もある。
さらに、携帯端末で通信している際に場所の移動などでネットワークが切り替わると、その時点で通信が切れてしまう。
そこで、HTTP/3ではTCPを捨てるという選択により、これらの問題を解決している。具体的には、TCPの代わりにUDPを使い、これにグーグルが開発した「QUIC」という新プロトコルを組み合わせる。
QUICは、TCPと同等の信頼性確保の仕組みを備えつつ、前述したTCPの問題点を解決している。これにより、HTTP/3では通信のさらなる効率化が可能になる。
Kazuho Okuさんによると、以下の様にHTTPの階層が省略されて処理速度等が上がったと言う。
HTTP/3が登場したからといってHTTP/2がすぐになくなるわけではない。ただ、HTTP/3はHTTP/2の目的である通信の効率化をより推し進めるものであり、HTTP/2と用途は似ている。将来はHTTP/2に代わってHTTP/3が使われるようになる可能性は高いと考えられる。大規模Webサーバーから導入が進んでいくだろう。
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