先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

世界半導体30カ月ぶり減 データ「特需」失速

2019年03月08日 07時54分44秒 | 日記

日経によると、世界半導体30カ月ぶり減 データ「特需」失速。 半導体の需要が減少しているということは、産業全体が下降線になったということであろう。2020年のスマホ回線の5G化も、とりあえずは現状の4Gでやれるので、急速には普及しないで和えろうから、やはり世界経済はしばらくは下降するということであろう。

デジタル経済の成長をけん引してきた半導体市場が急減速している。1月の世界市場は30カ月ぶりに前年水準を割り込んだ。米ネット大手のデータセンター投資や中国の自動化投資ラッシュなど、近年の需要急拡大を支えた立役者がそろって足踏みしているのが理由だ。市場規模が年50兆円に達する半導体産業は、技術革新や経済波及の要を担うだけに、下向き始めた市場の先行きに注目が集まる。

 

主要半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)によると、1月の世界売上高(3カ月移動平均)は前年同月比5.7%減の355億ドル(約4兆円)だった。2割を上回る高成長が続いた市場は18年後半に減速し、ついにマイナス圏に入った。

市場の急成長をけん引したのは、グーグルやアップルなどGAFAと呼ばれる米IT(情報技術)大手のデータセンター投資だった。クラウドの普及で流通するデータ量が急増。各社は競うようにデータセンターを増強し、データを記憶する「メモリー」と呼ばれる半導体をがぶ飲みした。

「手元にある半導体は全部持って来い」。ある外資系半導体大手の幹部は、17年に強気だった米IT大手の発注姿勢が18年前半に「計画通りでいい」となり、年後半には「少なくとも(19年)7~9月までは厳しい」に変わったと話す。

 

「トランプ減税の効果を取り込もうと投資が過剰になっていた」(証券アナリスト)ことの反動や、先進国で強まる個人データ保護の風潮が投資抑制の一因とされる。

メモリーの総需要のうちデータセンターなどのサーバー向けは3割を占める。需要減でフラッシュメモリーの価格は1年で4割超下落。さらなる値下がりを見越す需要家の動きが一段と市況を冷やす悪循環にある。

「ばらまき型の景気刺激は断固やらない」。5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で李克強(リー・クォーチャン)首相は力を込めたが、政府活動報告には減税や融資拡大など景気対策が並んだ。多くの産業製品に使われる半導体の需要状況をみれば、経済の減速は鮮明だ。

「車や工場自動化の需要が急に落ちている」。ルネサスエレクトロニクスの呉文精社長は2月、中国の需要減に言及した。同社は7日、国内の主力工場で最大2カ月という異例の長期間、操業を止める方針だと正式に発表した。

WSTSが18年8~10月と同11月~19年1月を比較したところ、中国の半導体売上高は約2割の大幅減だった。中国は年50兆円に達する世界市場の3~4割を占めるとされるだけに、半導体メーカーにとって急減速は大きな痛手だ。

中国や日本で膨らんだ仮想通貨バブルの崩壊も半導体需要の減少につながった。取引記録に協力して対価を得る「マイニング(採掘)」に使う半導体の需要はほぼなくなったという。

一方、技術革新のスピード鈍化を半導体需要減の一因とする見方もある。

米調査会社IDCは6日、スマートフォン(スマホ)の世界販売台数が2019年に前年比0.8%少ない13億9490万台にとどまるとの予測を発表した。減少すれば3年連続となる。

米アップルがiPhoneを発売した07年以降、世界のスマホ市場は急成長した。新モデルを投入するたびに大幅に拡充する機能が買い替えを促し、スマホ向けの半導体市場の拡大を支えた。ただ近年は真新しい技術が乏しいともされ、買い替えサイクルの長期化が顕著だ。

米ネット大手によるデータセンター投資や中国景気が近い将来、急拡大する状況は望みにくい。市場を再び上向かせるには、新たな付加価値や技術革新を生む努力が欠かせない。

■5G、低迷打開のカギに

世界半導体市場統計(WSTS)が2018年11月、19年のメモリー市場が前年比微減の1645億ドル(約18兆3700億円)になるとの予測を発表した。その時点から市況はさらに悪化しており、19年の市場は通年でも3年ぶりに前年割れする公算が大きい。

市況悪化をにらみ半導体大手は投資を手控えている。韓国サムスン電子はソウル郊外の最新の平沢工場について、2階のフロアで計画していたDRAMの増強投資を先送りする。東芝メモリも四日市工場(三重県四日市市)の一部で製造装置の搬入を再延期する方針を固めた。

半導体分野の投資は製造装置や素材メーカーなど幅広い企業に影響する。半導体の下降局面が長引けば雇用も含め世界経済への余波が懸念されるだけに、20年以降に再び市況が上向くかが焦点になる。

カギを握るのは次世代の高速通信規格「5G」だ。ネット通信の実効速度は現在の4Gの約100倍になり、自動運転や遠隔医療など生活の多くの分野で次世代サービスを生む基盤になる。記憶媒体に使うメモリーだけでなく、データを演算処理するロジック半導体の需要が大幅に増える。

韓国の半導体業界関係者は「5Gが普及すれば世界でやりとりされるデータ総量は現在の2倍になる」と指摘、中長期でみれば市場の成長は「間違いない」と話す。一方で、3月末に5Gの商用サービスが始まる韓国は「23年の通信市場に占める5Gの比率は35%」(韓国電子通信研究院)。半導体市況への貢献には時間がかかる可能性もある。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿