ニュー図ウィークが報じることによると、<国際宇宙ステーションに平均6ヶ月滞在した宇宙飛行士の脳の状態を調べたところ、灰白質の体積が帰還直後に減少したり、脳脊髄液が増加するなどの変化が現れることがわかった>と言う。
宇宙飛行士10人を調査
ベルギー、ロシア、ドイツの国際研究チームによる論文が学術誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載され、医学系メディア「Medical Xpress」などが報じた。
チームは、男性宇宙飛行士10名(平均年齢44歳、平均宇宙ミッション期間189日)を対象に調査を実施。飛行前、帰還直後(平均で9日後)、帰還の約7カ月後(平均で209日後、この調査のみ7人で実施)という3つの時点における脳の状態を、磁気共鳴画像法(MRI)で撮影して調べた。
これらのデータによると、脳の灰白質(主にニューロンの細胞体で構成される大脳皮質の部分)の体積が帰還直後、前頭眼窩野と頭葉皮質で広範囲にわたって減少し、右中側頭回では最大で3.3%減少していた。7カ月後には大部分で灰白質の体積が飛行前の水準に回復していたものの、右中側頭回では1.2%減少した状態にとどまったという。
白質(主に神経線維で構成される脳の部分)についても、帰還直後に左側頭葉で体積の減少が見られ、7カ月後には大脳で全体的に減少していた。一方で、脳半球と脳室の脳脊髄液(CSF)は帰還直後に増加し(第3脳室で最大12.9%増)、7カ月後には飛行前の値に戻りつつあったが、蜘蛛膜下全体の脳脊髄液は7カ月後に増加していた。
研究者らは、こうした宇宙での長期滞在による脳の変化は、帰還した宇宙飛行士の一部が訴えた視力低下などの視覚異常と関係する可能性があると指摘。また、長期ミッションの健康リスクを減らすために、より広範な調査が必要だとしている。
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