国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

日本文明は近代化=大衆の識字化において中韓などのアジア諸国より五世紀程度先行している?

2008年04月08日 | 日本国内
エマニュエル・トッドの新著「文明の接近―「イスラームvs西洋」の虚構」は、イスラム社会も識字化を通じ近代化しつつあり、「移行期危機(近代化による社会の不安定化)」がもうすぐ終わるからそれを待てばよいのだという楽観的な分析を行っている。トッドがドイツの移行期危機の例としてナチズムのみを挙げるのに対して、訳者の石崎晴己氏は解説の中で、識字化先進国のドイツにおいては1524年のドイツ農民戦争を最初の事例として取り上げる必要があると主張している。トッドはこの本の中では日本の識字化を男性1850年、女性1900年としているが、1443年に室町幕府を訪れた李氏朝鮮時代の朝鮮通信使書状官である申叔舟が1471年に刊行した歴史書『海東諸国紀』では、日本人は男女共に皆47文字のカタカナを習うと記述している。網野善彦氏も室町時代の爆発的な文字普及に触れており、日本の識字化は実は室町時代まで遡るのではないかと思われる。そう考えると、1524年のドイツ農民戦争に相当する日本の事件は1485年の山城国一揆や1488年の加賀一向一揆になるのではないか。また、ドイツの移行期危機の中心が1618-1648年の30年戦争であるとするならば、日本の移行期危機は1493-1573年の戦国時代に相当するのではないかと私は考える。 朝鮮の識字化は20世紀前半、中国の識字化が20世紀半ばであるから、日本は中国・韓国に対して識字化で約5世紀先行していることになる。第二次大戦後の韓国での激しい学生運動や労働争議、あるいは中国の文化大革命や現在の国内不穏は日本文明が4-5世紀前に通り過ぎた「移行期危機」なのであろう。 現在の世界は日米欧の三極に支配されている。欧州大陸ではドイツ民族が優越であること、米国や清教徒革命以降の英国ではユダヤ民族の影響力が大きくなっていることを考えるならば、世界文明とはユダヤ民族・ドイツ民族・日本民族の三民族によって形成されていると言っても過言ではない。この三民族が全て直系家族であることは、文明化におけるこの家族形態の優位性を示している様に思われる。 . . . 本文を読む
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