国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

西洋型の国際法と中国型の華夷秩序の対立

2010年11月13日 | 中国
11月12日付けの日経新聞の記事(FT紙の翻訳)が尖閣問題を取り上げている。ただ、この記事では日中間の二国間対立しか取り上げていない点が問題である。中国側は尖閣の領有権だけではなく、一部マスコミで過去の宗主権を根拠に沖縄解放を主張する記事すら見られる。今後中国が更に強大化するならば、東南アジア諸国への宗主権が持ち出され、アセアン諸国が中国の属国に転落していくことであろう。 日本の尖閣諸島領有権主張の根拠は西洋の国際法に基づいたものである。一方の中国側の主張はかつての中華世界の華夷秩序に基づくもの。そして、日本にとって都合の悪いことに、かつて(アヘン戦争以前)とは異なり、中国は大陸指向国家から海洋指向国家に変容している。従って、モンゴル人を中心とする遊牧民族が漢民族と何千年も戦い続けてきた様に、今後日本は西洋の国際法の代表として中国と戦い続けなければならなくなっているのである。その戦いの最前線が尖閣諸島であり、沖縄であるということである。 恐らく、今回の日中対立は中国の内部分裂によって日本側=西洋側の勝利に終わる可能性が高い。しかし、中国の歴史は分裂と統一を繰り返してきた。分裂した中国が遠い将来に再統合されたときが日本にとって絶体絶命の危機となる。かつてモンゴルも、統一し強大化した中国軍に奥深くまで攻め込まれた経験を持っている。今後数百年の日本の安全保障を考えるならば、日本は漢民族とモンゴル族・満州族などの北方遊牧民族との対立の歴史を真剣に研究すべきである。 . . . 本文を読む
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