国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

山口県長門市での2016年安倍プーチン会談は、阿武町への露海軍の寄港地建設とシベリア鉄道延伸が目的?

2022年05月07日 | ロシア・北方領土
ロシアにとって、シベリア鉄道の延伸区間が本州日本海側にできるメリットは何だろうか?それは、シベリア鉄道が極東で中国国境沿いを走っており安全保障上問題があることに関連すると思われる。バム鉄道は国境から少し離れているが沿海州の鉄道には直接連絡していない。中国が将来ロシアに軍事侵攻してシベリア鉄道を一部でも占領すれば沿海州はウラジオストクの海軍を含めて孤立してしまう。その時、バム鉄道に連絡する日本の港から非軍事用の物資を沿海州に輸送できれば、ロシアの沿海州防衛には有用だろう。 更にもう一点は、対馬海峡の入り口にロシア海軍の軍港を確保したいのではないかと想像する。在日米軍は佐世保と横須賀に海軍基地を保有しているが、これは対馬海峡と東京という戦略的拠点を支配する目的である。在日・在韓米軍が去った後のロシア極東では、対馬海峡という戦略的拠点の支配権が問題となる。事大主義の統一朝鮮はロシアに味方しない可能性がある。1861年にロシアと英国の両方が対馬占領を狙った様に中露両国が対馬を奪い合う事態が起きかねない。2016年12月15-16日のプーチン訪日は山口県長門市と東京の2カ所で安倍首相との会談が行われた。長門市が選ばれたのは安倍首相の故郷だからと説明されてきた。しかし、長門市には湯谷湾という日本海側には稀な天然の良港がある。ここにロシア極東海軍の寄港地・補給基地を設け、そこまでシベリア鉄道を延伸する計画があり、その計画を県知事や長門市長を説明するためにプーチンが長門市を訪問したのではないか。そして、中国国境に近すぎる危険なウラジオストクからロシア太平洋海軍の本拠地を引き上げ、もっと安全なソビエッカヤガバニ/ワニノか樺太に本拠地を移すと想像する。そして、冬期に流氷で母港が使用困難になる時期は湯谷湾に寄港することも考えられる。 冷戦時代にソ連海軍はシリアのタルトゥース港とベトナムのカムラン湾に補給基地を設置していた。冷戦後にカムラン湾の租借契約は更新されず、唯一タルトゥース港のみが維持されたが、この港は2011年に開始されたシリア内戦でロシアがシリアを支援する重要な拠点になっている。今後米英の世界覇権が崩壊して中露両国の力関係が世界を支配する時代に移行するならば、対馬海峡の入り口に位置する湯谷湾のロシアにとっての重要性は飛躍的に高まるだろう。 . . . 本文を読む
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