マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

映画「アルゲリッチ、私こそ、音楽!」

2014-10-28 23:43:22 | お勧め
夕方からシネリーブル神戸で、映画「アルゲリッチ、私こそ、音楽!」を見ました。

アルゼンチン出身のピアニスト、マルタ・アルゲリッチに関するドキュメンタリー映画です。
アルゲリッチの三女ステファニーが監督として撮影した映画でした。
アルゲリッチの演奏は、私自身はあまり好んで聴くわけではありませんし、私生活など気にしたこともなかったので、実のところ子供がいたということ、結婚もしていたということに、まずは驚きました。
撮影しながら、いろいろとその時々の心境とかを尋ねていましたが、そのたびに、"comme ça(このように)"と"Tu sais(わかるでしょ)"と答えてました。
つまり、説明できないってこと。
アルゲリッチ自身もそう言ってましたし…。
非凡な才能を持った人を親に持つと、その子供というのは大変なんだなぁ…というのが正直な感想ですね。
天賦の才、というのはやはりあり!です。
でも、どんなに才能を持った人でも、コンサートの前にはイラ立ちナーバスになり、終わると機嫌が良くなるという話を聞くと、へぇ~そういうところは凡人と同じなんだぁ…です。
イヤイヤ、凡人は終わると機嫌がよくなるわけではない…か。
同じ曲を何度も弾いてると飽きないのかという質問に、飽きることはない、と。
何度弾いてもそのたびに新しい発見があると言ってました。
私と同じだぁ…。
70歳になる前の撮影だったようですが、年を重ねて以前と違うことは、技術的にできなくなることがあるとのこと。
そして、聴く人が、若いころと違う演奏だと気が付くのではないかというのが気になると言ってました。
老いるというのは未知の体験ですからね。
アルゲリッチ、ピアニストになるべくして生まれた人…です。
なかなか興味深い映画でした。