マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ラヴェルの水の戯れ

2022-05-04 01:29:01 | コンサート
5月8日のリサイタルミニでは、過去に演奏した曲の中から選ぶのですが、今回は、ラヴェルの「水の戯れ」だけは、私にとっては初演となる曲です。
先日の、リストのエステ荘の噴水のピアノ書法に影響を受けて作曲されたと言われています。
ラヴェルのこの曲の後に作られたのが、ドビュッシーの「水の反映」で、私が勝手に水の3部作と言っています。
ドビュッシーは、7月10日の第61回プロムナード・コンサートで、演奏する予定。

さて、この曲は、ラヴェル(1875~1937)がパリ音楽院作曲科の学生だった1901年に、ローマ賞コンクールに応募した曲です。
残念ながら、2位だったようですが、フランス印象主義が本格的始まったピアノ曲とされています。
印象派的手法の始まりと言われているドビュッシーの「版画」は1903年作なので、実はラヴェルの方がそれに先んじていたということなのです。
作曲の師の一人であったフォーレに献呈されています。
水のざわめきや噴水、滝、小川などで聞こえる音にインスピレーションを得て作られたもので、出だしはまさに水の動きそのものを描写したような主題で始まります。
楽譜の最初に、アンリ・ド・レニエの「川に住む神は、水にくすぐられて笑う」という詩が引用されていますが、水の流れとそこに反映する光の戯れの印象が、細かいパッセージや分散和音となって表現されています。
リストの書法を参考にしつつ、和音の種類は増え、ポップスで言うテンションコードが多用され、色彩感豊かになっています。
音の数が多い分、演奏する難しさは増しますね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。