朝一番。
朝食もとらずにガレージに向かう。
狭く奥まった場所から、ほかのものにぶつけぬよう慎重に一台のバイクを引き出す。
うん、良い天気!
でも…
うひゃ~、寒い寒い!
空気がキンキンに冷え込んでいるので、
ひねるキーも、握りこむレバーも同様にキンキンに冷えている。
だからキャブのチョークを引き上げてから、
軽くキックを踏みおろし、抵抗を感じたところで足を離し、
キックレバーがもう一度上まで戻ってきたら、
再度、今度は力を込めて一気に踏み下ろす!
ブォオォ~ン!カラカラカラ…
車体に似合わず太く大きな音がするので、
朝の住宅街は少し気が引けるから、
ちょいと通りまで押して出て、そこで十分暖機運転。
ついでに日向ぼっこして体も暖気していたら、
3度ほどだった油温も13度まで上昇。
ここで軽くアクセルをあおってみてスムーズに回転が上がるか確認。
排気量を上げスーパーヘッドに乗せ換えてからというもの、
その日一発目の乗り始めはいくら暖気をしても、
その後無造作にアクセルを開けるとなぜか必ずストールする。
(ストール→エンジンの回転が落ち停止すること。)
だから、十分暖機をした後も、こうやってアクセルをあおって、
谷間にあたる6~7千あたりでスムーズに回るよう調子を合わせねばいけないのです。
まるで、寝起きの悪い子のご機嫌をとっているような、
そんな感じで…
でも一旦機嫌が直ると、こいつはもう絶好調!
下からよどみなく盛り上がるトルクに、どこまでも伸びようとする高回転。
特に今のように冷たく冷え切った空気の時は、
吸い込む酸素の量が増えるのか、一層エンジンの伸びが良い!
だから気持ちよくて気持ち良くて。
ことあるごとにギアを落としては回転を上げ、
その都度こちらの気持ちもどんどん盛り上がっていく。
その間、エンジンのパワーをロスするは嫌なので、
風の抵抗を少しでも受けないよう身体はなるべく低く丸く、
そうしてバイクにへばりつく。
で、気が付くとバイクとぴったり一体化。
実はただ走りたいから走り出しただけなので、
特に目的地もないものだから、そのまま意味もなく気持ちのよさそうな道を選んで走る。
そのうち暖かいものが飲みたくなったら、
少しお腹が減ってきた気もしてきたので、
一服しようと近のお店に行ってみると…
「こんにちは~!」「おはようございます~!」
と、可愛いもん軍団の熱いお出迎え。
そう、ここはテラスでコーヒーの飲めるパン屋さん。
この可愛い子たちは、偶然落としてしまったパンをめあてにこうしてよって来るのです。
で、私も気を付けてはいたのですが、
やはり偶然手を滑らせパンを落としてしまうことに…
(=^^=)ゞ
さて、そんなわけで私がこの日乗り回していたのは、
60年代のGPレーサーをイメージしたドリーム50。
でも私自身は、基本的にレースは全く興味がないもんだから、
智識としてのストーリーは押さえているものの、熱い思い入れはほとんどありません。
とはいえ、このスタイルと面白さには心底惚れ込んでおるのです。
その昔GPレース最盛期の頃、イギリスにおいてそういうレースに熱中した人たちが、
自分たちのバイクをレーサーのイメージに近づけるべくカスタムし、
毎週末夜にカフェに集まっては、その性能やかっこよさを競い合いました。
やがてそのカスタムの方向性が一つに絞っていかれ一つのジャンルができました。
いわゆる「カフェレーサー」であります。
基本的には、短く低いハンドルに、細長いタンク、
ほぼリアタイヤの上に乗っかる小さな一人用シートにバックステップ。
と、実用性は(時には乗りやすさも)一切無視された造りになっており、
またレーサーとはいうものの、本来のレーサーとも当然全く違っておりました。
しかし、バイク好きの一般の人々の思いというフィルターを濾されてきている分、
純粋なレーサーに比べ、そのカッコよさというものは非常に分かりやすく抽出されており、
バイク好きにはもちろんのこと、バイクに興味の無い人の眼から見ても、
「あれ、かっこいいね。」
と、思わせるそういう魅力を持つスタイルになりました。
まあこういうことは、ほかのジャンルでもよくあることで、
絵画でも音楽でも、そのルーツとなるもののエッセンスをうまく抜き出し、
あるいはデフォルメされたものが爆発的に流行するってのはよくある話。
ある意味分かりやすい翻訳みたいなもんなんでしょうね。
だから私なんかもその代表みたいなもんで、
レースに興味がないにもかかわらず、カフェレーサーというスタイルにはすぐに惹かれ、
気が付けば、このドリームはもちろんのこと、寸詰まりのゴリラまでそのようにカスタムを…
で、この日もこうして好きなスタイルのバイクを駆って、
そしてコーヒー片手に一服し、
これで競争できる相手でもいれば、立派なカフェレーサー!
無論そういう事にあこがれはありますが、
さすがに公道で無茶するほどバカでもガキでもない。
というか、
そもそも相手がいない!
う~ん…
これはやはり寂しい。
本音を言えば、バカでもガキでもいいから、一緒に競り合える相手が欲しい。
そうしたらどんなに楽しいだろう?
というわけで、友達のいない私はそういう時、こいつを相手に走るのです。
己が影!
そう、文字通り車道のシャドウ(shadow)を追いかける!
これ相手だと、いつでもどこでもデッドヒート!
まかり間違っても、抜かれるなんてこたぁない!
そんなわけで、天気の良い朝は、背中に陽を受けひた走っておるのです。
ヽ(^∀^)ノ
*おまけ*
この日はその後、こういう相手ともデッドヒートを繰り返しておりました。
と、
くわしい話はまた後日
朝食もとらずにガレージに向かう。
狭く奥まった場所から、ほかのものにぶつけぬよう慎重に一台のバイクを引き出す。
うん、良い天気!
でも…
うひゃ~、寒い寒い!
空気がキンキンに冷え込んでいるので、
ひねるキーも、握りこむレバーも同様にキンキンに冷えている。
だからキャブのチョークを引き上げてから、
軽くキックを踏みおろし、抵抗を感じたところで足を離し、
キックレバーがもう一度上まで戻ってきたら、
再度、今度は力を込めて一気に踏み下ろす!
ブォオォ~ン!カラカラカラ…
車体に似合わず太く大きな音がするので、
朝の住宅街は少し気が引けるから、
ちょいと通りまで押して出て、そこで十分暖機運転。
ついでに日向ぼっこして体も暖気していたら、
3度ほどだった油温も13度まで上昇。
ここで軽くアクセルをあおってみてスムーズに回転が上がるか確認。
排気量を上げスーパーヘッドに乗せ換えてからというもの、
その日一発目の乗り始めはいくら暖気をしても、
その後無造作にアクセルを開けるとなぜか必ずストールする。
(ストール→エンジンの回転が落ち停止すること。)
だから、十分暖機をした後も、こうやってアクセルをあおって、
谷間にあたる6~7千あたりでスムーズに回るよう調子を合わせねばいけないのです。
まるで、寝起きの悪い子のご機嫌をとっているような、
そんな感じで…
でも一旦機嫌が直ると、こいつはもう絶好調!
下からよどみなく盛り上がるトルクに、どこまでも伸びようとする高回転。
特に今のように冷たく冷え切った空気の時は、
吸い込む酸素の量が増えるのか、一層エンジンの伸びが良い!
だから気持ちよくて気持ち良くて。
ことあるごとにギアを落としては回転を上げ、
その都度こちらの気持ちもどんどん盛り上がっていく。
その間、エンジンのパワーをロスするは嫌なので、
風の抵抗を少しでも受けないよう身体はなるべく低く丸く、
そうしてバイクにへばりつく。
で、気が付くとバイクとぴったり一体化。
実はただ走りたいから走り出しただけなので、
特に目的地もないものだから、そのまま意味もなく気持ちのよさそうな道を選んで走る。
そのうち暖かいものが飲みたくなったら、
少しお腹が減ってきた気もしてきたので、
一服しようと近のお店に行ってみると…
「こんにちは~!」「おはようございます~!」
と、可愛いもん軍団の熱いお出迎え。
そう、ここはテラスでコーヒーの飲めるパン屋さん。
この可愛い子たちは、偶然落としてしまったパンをめあてにこうしてよって来るのです。
で、私も気を付けてはいたのですが、
やはり偶然手を滑らせパンを落としてしまうことに…
(=^^=)ゞ
さて、そんなわけで私がこの日乗り回していたのは、
60年代のGPレーサーをイメージしたドリーム50。
でも私自身は、基本的にレースは全く興味がないもんだから、
智識としてのストーリーは押さえているものの、熱い思い入れはほとんどありません。
とはいえ、このスタイルと面白さには心底惚れ込んでおるのです。
その昔GPレース最盛期の頃、イギリスにおいてそういうレースに熱中した人たちが、
自分たちのバイクをレーサーのイメージに近づけるべくカスタムし、
毎週末夜にカフェに集まっては、その性能やかっこよさを競い合いました。
やがてそのカスタムの方向性が一つに絞っていかれ一つのジャンルができました。
いわゆる「カフェレーサー」であります。
基本的には、短く低いハンドルに、細長いタンク、
ほぼリアタイヤの上に乗っかる小さな一人用シートにバックステップ。
と、実用性は(時には乗りやすさも)一切無視された造りになっており、
またレーサーとはいうものの、本来のレーサーとも当然全く違っておりました。
しかし、バイク好きの一般の人々の思いというフィルターを濾されてきている分、
純粋なレーサーに比べ、そのカッコよさというものは非常に分かりやすく抽出されており、
バイク好きにはもちろんのこと、バイクに興味の無い人の眼から見ても、
「あれ、かっこいいね。」
と、思わせるそういう魅力を持つスタイルになりました。
まあこういうことは、ほかのジャンルでもよくあることで、
絵画でも音楽でも、そのルーツとなるもののエッセンスをうまく抜き出し、
あるいはデフォルメされたものが爆発的に流行するってのはよくある話。
ある意味分かりやすい翻訳みたいなもんなんでしょうね。
だから私なんかもその代表みたいなもんで、
レースに興味がないにもかかわらず、カフェレーサーというスタイルにはすぐに惹かれ、
気が付けば、このドリームはもちろんのこと、寸詰まりのゴリラまでそのようにカスタムを…
で、この日もこうして好きなスタイルのバイクを駆って、
そしてコーヒー片手に一服し、
これで競争できる相手でもいれば、立派なカフェレーサー!
無論そういう事にあこがれはありますが、
さすがに公道で無茶するほどバカでもガキでもない。
というか、
そもそも相手がいない!
う~ん…
これはやはり寂しい。
本音を言えば、バカでもガキでもいいから、一緒に競り合える相手が欲しい。
そうしたらどんなに楽しいだろう?
というわけで、友達のいない私はそういう時、こいつを相手に走るのです。
己が影!
そう、文字通り車道のシャドウ(shadow)を追いかける!
これ相手だと、いつでもどこでもデッドヒート!
まかり間違っても、抜かれるなんてこたぁない!
そんなわけで、天気の良い朝は、背中に陽を受けひた走っておるのです。
ヽ(^∀^)ノ
*おまけ*
この日はその後、こういう相手ともデッドヒートを繰り返しておりました。
と、
くわしい話はまた後日