やっと、八日目の蝉を観た。
何週間か前に録画しておいたのだが、なかなか観る気にならなかった。
内容がかなり重そうなので、片手間に観ては申し訳ないような気がしてだった。
昨夜は夫が飲み会で遅くなるというので、コーヒーを用意してテレビの前にどっかり座って観た。
話題になった映画だから、ストーリーは有る程度知っていた。
それでも、実際観てみると、やりきれない思いと、心温まる思いが、同時にわきあがってきて
涙が止まらない。
誘拐した子に、溢れるほどの愛情を注ぐキワコ。
いつか引き離されると言う予感があるから、その愛は必死だ。
それを観ていると、どこまでも二人で逃げ延びて、と願ってしまうのだけれど、
一方に愛情を注ぐべき対象を奪われてしまった実の母がいる。
彼女の悲しみを思うと、キワコの罪深さは許せない。
誘拐犯と過ごした日々を懐かしむことに罪悪感を覚え、
幸せだった思い出も封印してしまった娘エリナ。
みんな切ない。
小豆島に旅をして、エリナに蘇る、愛に包まれた日々。
キワコへの、母への父への憎しみが、春の雪のように溶けていく。
人が生きていく時、一番必要なのは、きっと、
愛された日々の記憶なのだろう。