京都の67歳の女が、夫への殺人罪で逮捕された。
彼女の周囲では、今まで4人の夫、1人の交際相手が亡くなっている。
うち何人かの遺体から青酸化合物が見つかっているとか。
彼らの死で彼女が受け取った遺産は数億。
まだ犯人と決まったわけではないけれど、状況証拠は真っ黒らしい。
それとはまったく関係ないけれど、10年か15年位前の、妻が夫を殺した事件を思いだした。
二人とも70代半ば、事件が起きたのは本州の地方都市だったように思う。
妻は、結婚する数年前から、後に夫となる男性の家へ家政婦として派遣されていた。
男性は、当時奥さんを亡くしていて独り身だった。
そこで家政婦として身の回りの世話をしているうちに、望まれて後妻に入ったのだ。
70代半ばで家政婦として働いていたくらいだから、当時の彼女の生活は安泰なものではなかっただろう。
これで、老後は安定した生活が送れるとホッとしたことと思う。
男性は男性で、健康不安があって、いつも一緒にいてくれる伴侶が欲しかったのだろう。
お互いに良かったね、めでたしめでたしとなるはずだった。
ところが、夫が求めたのは、共に生きる妻ではなくて、無休無給で働く家政婦だった。
家事仕事から力仕事まで、休む暇もなく、次から次へと要求され、心身ともにへとへとになった彼女は、ある日寝ていた夫を、方法は忘れたが、殺してしまった。
毎日辛い仕事を彼女に押し付けながら、自分は何もせずのうのうと暮らす夫が、憎くて憎くて我慢できなくなったのだそうだ。
彼女だって、結婚が恋愛感情からでないことはわかっていただろうし、それほど甘い生活を期待していたわけではないと思う。
でも、無給無休の家政婦としてしか扱われなかったことへの屈辱感はあったことと思う。
夫のほうは、今まで家政婦として雇っていた女性を妻として扱う気は、初めからなかったのか、それとも、その夫にとって、妻とはもともとそういう位置づけで、単に賃金を節約するためだけの結婚だったのか。
どちらにしても、殺された夫に同情する気には、まったくなれなかった。
殺したあの女性は、あれからどういう人生を送ったのだろう・・・
人生の終盤で殺人犯になってしまった彼女が哀れで、記憶に残っている。