山口恵以子さんのエッセー集「おばちゃん街道」を読んだ。
山口さんは、2013年に「月下上海」という魅力的な題名の作品で
松本清張賞を受賞している。
受賞者が食堂のおばちゃんだというのでかなり話題になって、
お、読んでみたいと思ったけれど、
お金持ちの令嬢が戦時下の上海で恋と陰謀の大冒険する、らしいので、
なんか違うかな~という感じで読んでいない。
でも、食堂のおばちゃんの魅力は捨てがたく、
さらに、このエッセー集の「小説は夫、お酒は彼氏」という副題にも魅かれて読んでみた。
読み始めると、酒やら、猫やらの話題が続いていささか辟易、でも、お酒は彼氏なんだからしかたがないかと
かなり我慢しながら読んでいくと、やっと面白くなり始めた。
彼女の生い立ち、家族、人生を一変させた松本清張賞受賞に至るまで、
その後の激変した生活が、生き生きとしたやさしい文体で書かれていて、
そこかしこに、周囲への感謝の気持ちが溢ているのが心地よい。
彼女の成功が、幸運だけでなく、自分で引き寄せたものに違いない。
とても面白かった。
表紙の猫ちゃん、多分山口さんの愛猫ポニーだと思うけれど、見事に演技してますよね。