昨日、カラーのイラスト製作過程をアップしましたが、今日は白黒と参りましょう。
軍人さんなどの写真はほとんどモノクロなので、この方法で描きます。
今日のお題は、若き日の(とはいえ36歳)丹波哲郎です。
本日画像は、ウィキペディアにも載っていず、勿論のことDVDも存在しない映画、
「不如帰」(1958)で、千々岩安彦を演じているらしい丹波。
原作は日清戦争が舞台ですが、どうやらこの映画では大東亜戦争に設定を変えたようですね。
「ネーヴイに惚れちゃってどう仕様もない」
という稿で、「川島武男さん」に憧れてネービー・エスになった芸者さんの話をしましたが、
この千々岩は、その川島武男の妻浪子に独身時代から横恋慕する陸軍中尉。
つまり「悪役」です。
歳を取って貫禄が出てきたら海軍少将や大将がよく似合った丹波哲郎ですが、
若いころはこういう役をよくしていたようですね。
この千々岩という男は、確かとてつもなく陰湿で卑怯な男だった覚えが・・。
それにしても海軍軍人の主人公に陸軍のわかりやすい悪役。
徳富蘆花には陸軍側から文句が出なかったのかしら。
それでは参ります。
まず、レイヤー機能を使って下絵を描き、
(画面を6~12等分に区切って配置を誤らないようデッサン)
本キャンバスに線を入れます。
レイヤーはアップロードすると一緒に画面に残ってしまうので、もうこの段階では削除済み。
だいたいこのような人物画像は、眼から始めます。(単なる好みの問題)
髪の毛は塗りつぶし機能でいきなり黒くしてみました。
デジタル絵画のいいところは、濃い色を入れても、後から修正できること。
顔以外は、基本的に画面の後ろから描いていきます。
バックの景色はボケているのがほとんどなので、後でもOK。
バックに描きたい景色があるときには、そちらから先に描きます。
そして、この方法の素晴らしいのは、画面を拡大できること。
極限まで拡大し、拡大したら一体何か分からないレベルまで大きな部分を見える通りに描きます。
しかし、それをしたら、一度は小さくして、元画像と見比べる作業をしないと、
焦点のおかしな絵になってしまうので、何度もそれを繰り返します。
髪の毛に当たる光を描きこんでいるのがお分かりでしょうか。
左と右画像の大きな違いは飾緒(ちょくちょ、かざりお)なのですが、
これを見て、というか、冒頭の写真の段階で
「これ、おかしいぞ」
と思った方、あなたは素晴らしい軍装オタク、じゃなくて観察眼の持ち主。
なんと、飾緒が左肩、つまり逆なんですねー。
もしかしたら衣装部の間違い?
しかし、この作品は1958年作品。
いくらなんでも関係者全員がこの間違いに気付かないわけがありません。
丹波さん自身も、学徒動員で軍曹どまりだったとはいえ、一応陸軍にいたことがあります。
というわけで、これは
「写真のネガが裏表逆なのではないか?」
っちゅう想像が成り立ちます。
そう言えばお猪口を持つ手も左。
お猪口はあまり逆手で持たない気がします。(丹波は右利き)
丹波哲郎の顔があまりにも左右対称に近く完璧なので(男前ですよね~)、
逆でも誰も気づかなかった、ってことでよろしいでしょうか。
後ろの床の間を描きこんだ後、左右逆転させてみました。
こういうことができるのもデジタル画像ならでは。
うーむ、こうしてみると右画像の方が丹波哲郎らしい。
やっぱり逆だったのかな。
でも、サインを入れてしまったのでこれで完成。
丹波哲郎について記事を書くときには、裏返しておきます(笑)