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「その後」のファットガイ〜FAT GUYS IN THE WOODS

2016-03-19 | アメリカ



YouTubeから「FAT GUYS IN THE WOODS」の宣伝を探してきました。
どうも彼らが仕掛けた罠にはウサギがかかっていたようですね。

無邪気に喜んでいますが、この後殺したウサギの皮を剥ぎ、
捌くという、日常ではためらわれる作業が待っているのです。
しかし、この極限(っても1週間ですが)状態では、ウサギが獲れるなんて獲れるなんて
それだけでも彼らにとってはご馳走の期待で唾さえ出てくる体験だったでしょう。

サバイバル体験が価値観を変えるとすれば、それはきっと食べ物です。

前回、かつて番組で登場したサバイバルメニューによると、
普通にアメリカで暮らしていたら一生食べなくてもいいもの(皮を剥いだ蛇とか幼虫)
をも、口にせざるを得なかった三デブがいたということになります。

それを思えば、本日の三デブはとりあえずいい出だしと言えましょう。
クリークが提案したのは、周りにサトウカエデの木がたくさんあることから、
幹から樹液を採って、それを火で煮詰め、メープルシロップを飲むことでした。 



うーん、これなら是非やってみたい。

カナダで「メープルまつり」というのに行ったことがあります。
敷地一帯で伝統的な手法でメープルを採取して、それを雪の上で固めたのを食べたり、
食堂ではメープルシロップを使った料理を食べたり、という
アメリカではしたことのない楽しい体験でしたが、このメープルシロップ、
その時も見たように、木に穴を開けておくとそこから樹液が出てくるので
それを木に入れ物を縛り付けて受け止めて集めるのです。


ここでデブたちが驚いたのが、採れる樹液の少なさです。
一般にメープルシロップを作るためにはその40倍の量の樹液が必要といわれ、
ここでも散々時間をかけて貯めた樹液も、ほんの一口にしかなりませんでした。




とても4人の男が満足するほどのシロップが採れるはずもなく、
少しの樹液を煮詰めて、周りにこれはふんだんにある雪を溶かして
薄めた甘いお湯を飲むという感じです。


それでも、デブたちが一口飲んで感慨深げにいうには

「甘い!」「甘いよ!」

もっともっとドギツイ甘さのケーキやドーナツを食べてきた(に違いない)
デブたち、今までの生活なら「味がしない」と言い捨てたであろう
自然の甘みの付いたお湯を、まるで甘露のように味わっております。




「regurgitate」というのは「一度口に入れたものを戻す」と言う意味ですが、
一度に飲み込んでしまうのがもったいないので、口の中から出して
反芻しつつ味わっているというかんじでしょうか。

それほどまでにこのメープルシロップ(の混じったお湯)は
彼らにとって貴重でありがたいものであったのでしょう。



「メープルシロップがこんなに美味しいとは」

と感激しております。

今までスーパーマーケットで買ってきて、パンケーキにガバガバ掛けていた
メープルシロップは、大変な過程と苦労を経て製品になっていたことを知り、
またひとつ、感謝する気持ちを学んだのです。

それだけでも、参加した甲斐があったというものですよね。(適当)



一行は行きに通ってきた洞窟をもう一度抜けることにしました。
肘と左足を傷めてしまって辛い思いをしたようです。



そのとき、洞窟のどこか、あるいはこの上の方でものすごい音がしました。
どうも近くでクマが冬眠しているようだ、とクリーク。
大慌てでその場から脱出を図ります。



サバイバリストであり彼らの指導役のクリーク・スチュアート。
前回にも言ったように、彼はプロのサバイバリスト(サバイバーではない)で、
自然に身を置いたときにいかに生き抜くかを熟知しています。

ここでは、「もしこの火が消えたら、わたしたちも死ぬよ」と
割と当たり前のことを言っております。
そして、そのためには、乾いた木を見つけることが重要だ、と。




メープルシロップはよかったのですが、ろくな獲物が捕れないうちに
不幸にしてクリークが虫を見つけてしまいました(笑)

死んだ気でそれを食べる(この写真じゃなかったかも)デブ1。
もう、世界の終わりのような顔をして、

”Oh, that was gross! "

とか言っております。
この「gross 」は、日本語で言うと「キモい」という感じです。

ちなみに「醜いほど極端に太っていること」もgrossといいますが、
少なくともカウチを抜け出してここでサバイバルしている程度であれば、
この呼び名で彼らが呼ばれることはまずないでしょう。(アメリカ基準では)



おそらくですが、このサバイバルに参加した動機を語っています。
もちろん番組の性質から言って、自ら参加を申し込んだわけではないと思いますが、
それならどういう経緯で番組に出ることになったのか、そのわけを是非わたしも知りたい。

「自分自身を試してみる気で」

とかいう、そんな後付けの理由じゃなくってね。



死ぬよと言われつつ、火が消えてしまった模様。
テイクオフはこの場合プロジェクトの成功みたいな意味で、

「どうしてダメだったのかを考えるんだ」

と叱咤されているようですね。
その何をするにも寝転ばずにはいられない態度に問題があるのではないか。



火を起こすもう一つのやり方を試してみることにしました。

実はわたしはここまで見たときに眠くなってしまい、この続きを脱落したのですが(笑)
もう一度起きたときにまだ別の三デブが挑戦していました。



真ん中の人が火おこし棒を土台に押し付け、両側からロープを引き合って
棒の回転で火を起こそうという試み。

この三人、やっとのことで火を起こすことができたのですが・・・、



夜寝る場所を作っているうちに火が消えてしまいました。



覆水盆に返らず。ではなく、消えた火を悔やんでももう元に戻りません。
さあ、今晩どうするの?



こういうときのための脂肪とちゃうんかい!

三人でがっぷり6つに組めば、相当暖かいのではないかとも思うのですが。
火無しで一晩過ごすことを余儀なくされた三デブ、それでも
できるだけくっついて寒さをしのぎました。



長い長い夜が明け、ほっとしてシェルターから出てくる三人。

「俺たち三人みたいに仲良しだったことを神様に感謝しないとな」

とか言っています。
この言い方だと、夜の間は体をぴったりくっつけあっていたようですね。



そこにやってくる悪魔のサバイバリスト。
火のないところで男同士抱き合うようにしてしのぎ、寒さに耐えた
三デブに次なる試練を運んできたのでした。

ん?ところでなんだってこの人、左手を吊っているのかな?



そう、今日のお題は、

「右手だけでサバイバルしましょう」

左手が使えなくなったという設定で作業を行えと非情なお言葉。
同じように左腕を吊られた三デブ、全く嬉しくなさそうです。



そして、今まで以上に苦労して火を起こしたりするわけですが、
この試練はいわば「オプション」。

規定の期間を無事終えた三人に、

「ここで終わってもいいけど、もう1日だけ耐えれば、
この番組特製のサバイバルナイフを差し上げます」

という番組のいわばお約束チャレンジなのです。
これを断る三デブは不思議なことにまずいません。
デブというのは案外環境に順応したら打たれ強いものなのか。



そして、無事に訓練が終わり、晴れやかに感想を述べるのでした。



三人に、サバイバルナイフがプレゼントされました。
一つしかないような気がするのですが、これ、どうするんだろう。

ちなみに、クリークが理想のサバイバルナイフについて語るの巻。

Top 6 Survival Knife Features





にこやかに、そして晴れやかにクリークと握手を交わし、
厳しかったサバイバル生活を終えた自信を胸に帰っていきます。



家に向かう男たちの顔は、一つのチャレンジを成し遂げた成功に
光り輝くようです。


んが(笑)、彼らが家に着くなりまたカウチでポテトを抱え込んで、
今度は他の三デブの物語をあれこれうんちくを垂れながら楽しみ、
番組言うところの

「自然には発生しない飽和脂肪酸(ラードやバターに含まれる)やハイフラクトース
ぶどう糖果糖液糖:果糖42%に果糖を加え甘味を調整した甘味料)のコーンシロップ、
こういった最も健康的でない、しかし最も美味しく感じて便利で安い食べ物」

を、当たり前のように吸収する毎日に戻る姿がはっきり見えるのは、
おそらくわたしだけではありますまい。

しかも、なまじ「おれはあれだけのサバイバルに耐えた」という結果があると、
いつでもあんな生活に耐えられるという自信から、かえって厄介な
デブの道を歩んでいきそうな気がするのですが、番組はおそらく
そこまで責任取る気はないだろうなあ。